King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『古都』読了

2011年12月11日 23時14分01秒 | 読書


『古都』を読みました。

京都は日本人にとって特別な町です。

昨今歴史ブームで注目もされ、テレビでも空海や仏像の展示で
何かと京都が映ることが多いこの頃。

その番組も実に様々で、有名歌舞伎俳優をレポーターにした
1200年の都の謎というシリーズを観ていてどうしても違和感を
感じづにはいられず、京都って実際どうだろうという疑問を
募らせていました。

そんなときに、以前買って置いた本『おひとり京都の愉しみ』を
また手にとりました。



この本の中身は以外と乏しくて見所という点では先の1200年の
みやこよりがっかりするようなものです。

その番組で一番気になったどうだと言わんばかりに紹介する遺跡
とか名跡などが実は言い伝えだとか、本物ではなくてレプリカの
展示だったり、一般の人は入れないものだったり、とにかく信憑性
というかテーマのくくりもあやしいもので何を信じ何を観るべき
なのかという疑問を募らせるものなのです。

そもそも京都の見所を何にするのかというとそれは人それぞれで
源氏物語から幕末まで様々な見所があるわけです。

しかし、そんな旅ガイド的なものをわざわざ本で読んで人が行く
ところでしょうか。

私は何度か京都を訪れていますが、見逃したなあというものも
いくつかあります。

当時はあまり情報がなくて、本でしる竜馬が襲われた池田屋旅館
とか今でも当時の刀傷の残る旅館とかみたいと思っても調べる術も
確かな資料も見つけられなかったのです。

ところが最近はそんな刀傷を観る人が多くいるということで、
多くのガイド本やら新撰組の足跡をたどるなんて本まであり、
史跡巡りもカルトな情報でマニア的に巡ることもたやすくなって
います。

それにネットの情報もあり、よりマニアックに好きなところだけ巡る
のも可能なのです。

また、最近文化財関係の予算が増えたのか新たな発見やら修復された
文化財が多く、それを目当てにしたツアーなどもあります。

そんなときに溢れる情報で逆に選べない状態に陥るのも京都です。

特に、困るのが食事の情報です。

おひとり…ではその店の情報や旅館の細かい情報が実際に旅するのに
役立ちそうです。

ただ、その食事の件で京都の案内書として一級などと『古都』を
出しているのがちょっと手抜きに感じました。

そんな縁で古都を久しぶりに読みました。

もちろんどんな物語かも忘れています。

読んでみてびっくりの内容のない本なのです。

恋愛小説なようであり、別に誰も愛していると言わないし、きわどい
シーンなどもなく、ただ京都の季節と寺を巡ってお祭りがあってと
日々がつづられて、現実離れした人の出会いがつづられていて、で
だから何が古都なのかという話です。

現代の24とかLOSTなどを見ている人が読んでも何がいいのか、
全然理解できないでしょう。

ただ、これが日本の美とか、日本人の心かとしみじみと感じる
物語なのか、じれったいと感じるか個人の問題なのでしょう。

それは人それぞれの京都への愛であり、求める美がそこに
現れるのです。

川端康成の京都への愛がここにはつづられていて、それは
楠や五山の山々や古い料理屋なのです。

祭りがやたら多いとか名所が多いといいつつ、実は埋もれて
あまりしられていないこともあり、よくそれを本にした物に
も出会います。

おひとり…で言えば北野天満宮の七不思議です。

しかし、私にしたら長年の竜馬最期の地や聚楽第や空海の東寺
やら龍の絵やら今日経連載中の等伯の絵だったりします。

イノダ珈琲も歌になったコーヒー店としては是非行ってみたい
ところです。

そんな色々長年たまった京都への思いが人それぞれあり、
それが人それぞれの古都なのだと思います。

それが美しい都なのか、謎に富んだワンダーランドなのか、
それとも美食の地なのか、それに答える度量がある町だと
言えます。
コメント
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