懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

「天皇賞」回顧。競馬場が劇場となる時

2008-11-03 16:19:53 | Weblog
■競馬中継、フジテレビとNHK

既出だけど昨日の天皇賞、NHKとフジテレビで、見え方・勝ち負けが違って見えた。

私は、最初、NHKの競馬中継で見た。
自分は、ゴール前からゴールの時、ウオッカが「勝った!」と思った。

しかし、私にそう見えただけで、これは「どっちが勝ったか解らない」と、一般的には見えたらしい。番組アナ、解説者もそんなこと言ってた。

たまたま昨日は、フジテレビもレース録画しておいて、後で見た。
(もっと言えばフジを見てたらCM入ったので、NHKに変えたんだけど)

フジテレビでは、ダイワスカーレットが優勢に見える。
NHKの方も、私の主観では、ウオッカが刺したと思って見たけど、客観的には「微妙」「同着?」位にしか見えないものだったのかもしれない。

ただ、「レースの印象、勝ち負け」がどちらの番組を選ぶか、どちらの映像を見るかで「変わって見える」のは考えもの。

たぶんNHKの方が、カメラ設置の良い位置がとれるからこうなちゃったんだろうけど、できることかどうか知らないけど、フジの番組のカメラの位置、もしかしたら、変えた方がベターなのかも(?)。

自分はどちらを見ると決めているわけではないので、フジを見ていた可能性もある。そうしたら、レースの印象は、レースの感動は違ったものになっていたんだろう。

(競馬にはまっていた頃は、G1は3局位の映像は見ていた。)

ウオッカが勝ったと思える映像でレースを見ることができて、良かった。

■競馬場を劇場にする名馬

競馬史に残る素晴らしいレースだった。

史上最強牝馬は誰か、との議論にやぶさかではないが、この2頭はユニークだよね。

過去の名牝とは比べられないが。
近過去の日本の名牝。(超古いのは知らないので除外)
絶対能力の高そうだったファビュラスラフィン。脚がきれいだったヒシアマゾン。ナリタブライアン時代を彩る美女でもあった。脚質自在で賢く地力の高かったエアグルーヴ・・・etc.etc.。

ダイワスカーレットは、かなりいい線いってはいるんだけど、事実として「ウオッカに負けちゃったから」というのはある。

ウオッカが史上最強牝馬かというと・・・史上最強と呼ぶにはハラハラさせられすぎる。でも、それが逆にこの馬の魅力(?っていっていいのか。馬券的には有り難くないが)、個性なのかもしれない。

レース実況を見ていた私の主観では、府中の長い直線、逃げ粘るスカーレットを追う新旧ダービー馬2頭・ウオッカとディープスカイがまずゴール前での追い比べを展開。抜きつ抜かれつ。若駒の勢いあるスカイを、ウオッカがじわじわ追い詰め、そしてじんわり競り落としただけでも見ごたえ充分。

さらにゴール前すれすれで、1完歩ごとに大跳びのウオッカがじんわりとダイワに食い下がる。あの、食いつき方が堪らないのよね。あと、もう少し、もう少し、とゴール板のすれすれで、辛くもダスカを「抜いたーっ!」と思った所がゴール!


抜いた?わよね、たぶん抜いたわよね。
「惚れ直した、ウオッカ!痺れたよ」これが私の肉眼の主観。

ところが、ラップではダスカ超優秀。前後半とも58秒か59秒台。息の入れにくいハイペース。1ハロン11秒台でこんなにずっと行ける馬って凄くない?。

坂越え、長い直線で脚が上がらず、皆が称える「2頭にいったん抜かれた後のゴール前差し返し」までこなすのは、下馬評以上の地力!力量ならスーパーホースでしょう。(これで壊れなきゃいいけど、な激走!!!)

ちなみに、最後のダスカ驚異の差し返しは、横の馬が迫ってきたかららしいけど。
(つまり脇役もドラマづくりに参加してたのね)

ウオッカの驚異の勝負根性と勝負強さ、ダスカの数値的にも驚異的な地力。
この2頭が2頭とも、以前より成長した姿を見せたとも言える。

ラップとかで見ると、レース後にダスカも凄いって思った。「史上最強牝馬」候補の1頭だと思う。私も好きですよ、スカーレット。

そしてウオッカが日本史上最強牝馬かというと、それはちょっとデータ的には「保留」かもしれない。(それでいったらグルーヴなんかも結構いけてたんじゃ・・)

でもね。

スカーレット素晴らしい競走馬だと思う。でも。彼女がどんなに素晴らしくても、
ウオッカがいなければ、これほど興奮するレースにはならなかっただろう!!
競馬通でなく舞台好きの私が、自信を持って言えるのはこれだ。


競馬通が凄いと唸る要素以外に、ドラマを生む、という別の要素があると、改めて天皇賞を見て感じた。

穿った見方をすれば、大跳びでゴール前直線の追い込みで見栄えがして、素人受けする派手さ、という要素も入るが、それだけであるはずもない。あのウオッカの勝負根性というか、勝ちに行く時の集中力の高さというのか。

ダスカの絶対能力の高さも聴衆を魅せた。ダスカの精神力も凄い。ウオッカは最後は精神力のプラスアルファもあって勝ったように、私には見えたけど、これは見る者の思い込み主観かも。(私も競馬詳しくないんで、当たってないかも。)

ウオッカに最も顕著な属性は、「ドラマ性」ってことじゃないかと、私は考えている。ウオッカがいると、競馬が面白い。ただ強いじゃなくて、ドラマティックに競馬を盛り上げる。

ただレースがあり、かけっこの勝ち負けがあるというものを、いかに面白く見せるか。いままで意識しなかったけど、それも競馬の祭典の1要素だ。

「ウオッカは、競馬場を劇場にする名馬だ」というのが、私の天皇賞感想でした。

競馬場を劇場にする馬・ウオッカ。その限りにおいて彼女は、歴代名馬に比肩する歴史的名牝であること。絶対能力の高さだけでなく、競馬で何を見せるか。それを考えさせてくれたという点で、最強牝馬という称号以上のものを昨日は感じた。

もちろん2センチのハナ差は大きい。確実性ならダイワに一歩譲るはずのウオッカが、ダービー馬の牡馬を凌ぎ、スカーレットに食いついたあたりは、競馬通から見れば地力実力以外の何物でもないのかもしれないし。

理論ではダスカの方が上、っていう言い方は、終わってみれば、やっぱりタラレバの範疇なんじゃないかと思ってしまう。(と思うのは、先にフジテレビを見なかったせいもあるけど)

■過去の名馬たち

昨日ちょびっとウオッカに感じたものを、もっと強く感じたのは、ナリタブライアンだった。レースでの、集中力の高さとか、精神力で勝ってるように(?)見えるところとか。悲劇の名馬だけど。

秋・天皇賞というと、きのうふっと、サイレンススズカが途中までハナを切り、リレーのバトンタッチするように、後半、エアグルーヴが先頭に立ち、当時最強とされた牡馬を破ったレースを思い出した。

あの時は牝馬が秋天を勝った快挙とされたし、やっぱり興奮した。今回ウオッカも勝っちゃったけど。

その後年、同じ秋天で、ハナに立つサイレンススズカは死ぬほど高速して、壊れて逝ったのだった。秋天やこの競馬場、中距離で、今回のダイワスカーレットを超える先行劇は、あのスズカしかないだろう。これでスカーレットが壊れなければ、それも凄いことだ。無事で行ってくれれば。

最強牝馬には迷っても、最強馬っていうとディープインパクトでいいのかな、やっぱ。

■ジョッキー談話

アンカツは優れた騎手だが、この人の「レース前コメント」は、馬券買いの参考にはならないといつも思う。今回もやっぱりそうだった。

ダービー馬・ディープスカイはどうなんだ?という話について。結果は出したじゃないかと思うけど、横典が、自分がうまく乗ったらカンパニー3着もあったのではとかいうコメント出していた。

こういう本音負け惜しみコメントは、馬券買いの参考になるので大変結構。

つまり2強は2強だったけど、スカイには伏兵付け入る隙ありってこと?。
それでも結果は結果だけど。

■スカーレット
ウオッカさえいなければ、一人勝ち別格のスターホースだったのかも。

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