懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

オペラ「蝶々夫人」

2007-12-27 02:17:52 | Weblog
「♪ある晴れた日~」

と歌われると、涙が出てくる。

マリア・カラスのCDを聴いて以来、その時の感動がフラッシュバックしてそうな

るのか、それとも、今聞いている別の歌手の歌唱の力なのかは、判然としない。

カラスの「蝶々夫人」で、このくだり、岸壁で男の帰還を待つ蝶々さんの目に映

る、幻のピンカートンの姿が、私にも見えるようだと思った時がある。

自分の目が蝶々さんの目になって、今、今まさに帰ってきた待ち人を見ている、

そんな錯覚をした。歌声だけで。

別の歌手のCDを聴くと、鈴を転がすような美声で、これは、むしろ情景を眺めて

いるような気になった。

今年の1月、NHKのニューイヤーコンサートでこの歌を歌った歌手では、涙は出

るが、蝶々さんの純情が偲ばれる程度なのだが。

カラスには強いエネルギーがあって、負の現実を幻想が凌駕するかのような錯覚を

受け、瞠目した。

「観念の女の存在感って、もの凄い」

私事だが、二十歳の頃付き合った相手が、そんなことを言ったことがある。

マリア・カラスの歌声に潜むエネルギーは、ヒロインの胸に宿る不滅の恋、「観念

の男」の圧倒的な存在感を私にも感じ取らせた。

この頃、バレエやオペラを見て泣けてくる時、どうも目の前の好演によるという以

前に、鳴り渡る音楽により、過去の名舞台の記憶が蘇って、フラッシュバック現象

で泣けてしまうような気がする。

そういえば、今年の「くるみ割り人形」を聴いて、巨匠バレンボイムの指揮した舞

台の感動を思い出していた。

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