想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

神文伝 人これをさとらざるも‥‥

2023-02-23 18:49:20 | 
先代旧事本紀大成経伝(五)は神文伝。
発売中です。
師、安房宮源宗先生の解説を本にする
お手伝いを致しました。

昨年のほとんどをこの本に費やした、
というと分厚い大著のようだけれども
厚さ1センチ96ページのサイズです。
片手で持つことができバッグに収まる
ことを考えて作ってあります。

そして表紙カバーをあえてつけていません。
この本の用途は神文を唱えることです。
カバーがめくれたり外れたりする面倒が
ないようにしました。
カバー本来の目的は本の問屋や書店が
商品が傷むのを防ぐためです。
帯の幅を広めにとり本を扱うときに
そこを持ってもらうと表紙に汚れが
つくのを防げます。
これ、実は知人の編集者のアイデアです。
なくてもいいよ〜、と実際にカバー無し
の本を持ってきて教えてくれました。
すっきりしててよかったのです。



この本にとっては「すっきり」は大事です。
神文は四十七文字で表されているのですが
そこに人生まるごと表現されています。
実にすっきりとしていて、単純明快でした。
それを理解できたのは本が出来上がる頃、
編集中は深い霧のなか、頭も靄っていて
あああああ、もうだめだと声に出して
言っていたほどでした。

入稿寸前の校正のための読み合わせの時、
ふっと視界が明るくなって、ああそうかと
四十七文字がくっきりと見えてきたのです。
先生に、これって意外と単純ですね、と
電話で話すと、そう、単純ではないけど
明解ね、と言われました。
それで余計なもの、色をつけないでと
言われた意味もわかり、猫の手のような
仕事をしていた私も元気になりました。

元気になってからは校正が重なり入稿が
ずれていってもへいちゃら、いつもならば
イライラするのだけれど粘りました。



聖徳太子が当時も謎だった神文を解読し
人々に意味がわかるようにされたという
ことなのですが、太子が尊い方であるのは
いうまでもないですが‥実は私のアイドルは
そばに仕えた秦河勝なんですぅ・・・・。

河勝の文が好きで大成経の序伝の伝の文
といい、この神文に添えた神文伝という
文も熱いのです。熱すぎて泣けるほど。
(本のタイトルの神文伝は河勝のこの序文
を指すのではありません)

河勝が太子から賜った弥勒菩薩像が本尊の
広隆寺(京都)はよく知られていますが
聖皇本紀には秦氏一族の庄を太子が訪れた
日のことが書かれていて現在の広隆寺辺り
とおぼしき地名が出てきます。

そして秦河勝を祀った神社は大避神社です。
神職憲法に人を祀らないとありますから、
ここは後世に里の人々が創建した社ですね。
秦氏と赤穂市坂越のつながりは瀬戸内海を
挟んだ対岸の土地も含めて六世紀前後の
古い時代からあったと思われます。
その地を歩くことでまた何か感じられる
ことがあればという淡い期待を持って、
春になったら旅に出て赤穂市の海辺に
寄り道してみようと思います。



河勝といい儒学者の学哿といい太子に仕えた
人がどのようであったかを大成経各巻の
行間に読み取り、その熱情とまっさらな
忠信にいつも心打たれています。

神文伝の12ページにある秦河勝の文、
「その言(ことば)には数あって数の実に
理を含みこの理は玄(おく)にあって
人これを知(さと)らざるも、
これ先天(たかあまはら)の伝なり」
とあります。

人これをさとらざるも‥‥と人である河勝が
書く、それがとても大事なのです。
聖人である大王、太子は訓と解きを成した
という次の行の前にそれがすんなり書かれた
それが河勝その人を語っているようで。

河勝は太子にすべてを教わり、順じた人
でした。素直さと私心のなさ、そして
そうあることができる聡明な知性が
備わっていた人なのでしょう。

四十七文字の人含道(ひふみ)祝詞は
神職者でも唱える人は少なく(皆無かも)
一般書籍にしたのには源宗先生なりの
お考えあってのことかと思います。
私自身は三十数年来つねに手元にあり、
その重みも知っていました。
秘書ともいうべきこの文が書棚に並ぶ日が
くるとは思いもよらないことでしたが、
今だから必要ということかと思います。

吉と出るか凶と出るかという踏み絵のような神文を口誦する。
人生の節目を作ることになるかもしれない。
そんな本です。

現在アマゾンよりもhonto が早く配送します。
または最寄り書店か版元でお問い合わせください。

ISBN978-4-908665-07-3
書店に注文するときは、これをプリントしていくといいです。






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