Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

アスリートたち-Stephen Kavacevich 70th BD Concert@ウィグモアホール、ロンドン

2010-10-17 23:30:00 | コンサート

Stephen Kovacevich70歳のお誕生日コンサート。前妻のMartha Argerichも出演とあって満席、客席の期待度も高い。

まずは大好きなブラームスのピアノ五重奏曲。StephenとBelcea Quartet。予想に反して何も「思考」は浮かばなかったのだが、第一楽章を聴いている間、雪のベルリン、Gendarmenmarktを歩いていた景色が浮かび、涙が零れた。第三楽章-今年2月のこのWigmore Hallの演奏会でチェロが恐ろしい速さで入り、その後曲が崩壊した事を思い出していたら、同じくらいの速度でチェロがピチカートを弾き始めドキドキした。でも、皆このスピードで最後まで弾き切った。思わず手に汗を握り、こちらまで前のめりになってしまった。

2曲目はリストのピアノソナタ。演奏はKhatia Buniatishvili。トビリシ生まれの23歳。背中の大きく開いた黒のシルクドレスで登場。女性から見ても美しい。一方演奏は体つきからは想像出来ないくらいとてもパワフル。少々雑な感じは否めないが、速いし、エネルギーが感じられる。指の動きは目が追いつかない。

休憩を挟んで、バルトークの2台のピアノとパーカッションのためのソナタ。アルゲリッチ登場で会場からは大拍手。Wigmore Hallの舞台はもともと狭いのだが、ここにコンサートグランド2台、ティンパニ、マリンバ、小太鼓、大太鼓etc-ピアニストと譜めくりは今にも舞台から落ちそう。ピアノも打楽器といえば打楽器-初めて聴く曲、と、リズムを追いかけていたら、お腹が空いてしまった!

いずれも演奏家のレベルが高く、皆まるでアスリートのようであった。最後は会場全員でStephenにHappy Birthday to youを歌ってお開き。


あなたは誰?@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-10-15 23:00:00 | コンサート

私のOutlookのカレンダーには、既に予約の入っている演奏会のほかに、気が向いたら行ってもよいかな、という演奏会が「仮の予定」として入力してある。演奏会に行きたいモードの今週-今日はTruls MorkのチェロでエルガーのVc協奏曲、とある-Truls Mork、一度生で聴いてみたかったのよね、とチケットを取り、出かける。

Truls Morkって、かなり有名なチェリストだと思うけれど-会場が空いている。なぜ?雨だから?でもこの程度の雨はロンドン人には雨と認識されないはず-誰も傘をさしていない。

2曲目、エルガーのVc協奏曲。格好いいお兄さん登場。Truls Morkって、まだ若いんだ~。こんなに若い(若作りな?)のに、いろんなレコーディング出してるし、すごいなぁ。

なかなか綺麗な音だな。でも、なんだかとっても単純なところでミスをするような気がする。音程というのかしら-ハイポジションだからとか、早いパッセージだから、というのではなくて、え、こんなところでそういう音を出すの?というような。

と、会場の入り口を見てみたら、違う!演奏家が、違う!!Alban Gerhardtというドイツ人の若者らしい。そうよね、いくら若作りでも、50歳近い人があの容姿は無理よね。ノルウェー(スカンジナビア)人って、格好良いから、そんなものかと思ってしまった。あー、失敗、失敗。

後半はR.シュトラウスの「英雄の生涯」。CDが出たばかりの頃、カラヤン指揮のR.シュトラウス、良く聴いた(歳がばれる)。と、基準がカラヤン指揮、ベルリンフィル、というところがロンドンフィルハーモニー管弦楽団には申し訳なかったが、出だしのホルンでコケた。まさに転がり落ちるような8分音符の連なり。なんというか、欲しい速さが奏法A(ゆっくり)でも奏法B(速い)でも演奏できない、丁度その間に落ちてしまって、とりあえず奏法Bを選んだけれど、転がり落ちてゆく感がそのまま出てしまった、という感じ。最初は皆、この演奏空白域に速度がはまってしまったかのような演奏で、どうなることかと冷や冷やした。

終盤はそれなりにまとまってよかったが、最初の転がり落ちる感じが頭から離れず、ちょっと残念な結果に終わってしまった。


ワインが残れば。。。

2010-10-15 18:12:00 | ロンドン

先日訪問してくださった方は赤ワイン好き。で、残ったワインで再び、いちじくのコンポート。

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大好きなYao Valleyのヨーグルトと合わせて。完璧!!

いちじくのコンポートは赤ワインで濃い目の味付けが好み。Yao Valleyのヨーグルトは非常に脂肪分が高いので、下腹部に天然ヒートテックがつくのが辛いところ。


貴公子がせむしに!?-リゴレット@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-15 00:30:00 | オペラ

ヴェルディのリゴレットをロイヤルオペラで観た。本当は再来週のはずだったのだが、なんとなく今日行きたくなり、空席を見たら1列目に空きがあったので、即決断。

これまで、前から2列目で観たことはあったけれど、1列目と2列目では全然違う!歌手と指揮者とオケすべてを視野に入れながら観られるのは素晴らしかった。

また、今日は歌手も素晴らしい!ウィグモアホールでの「貴公子様」から「せむし(リゴレット)」に転向されたディミトリー・ホロストフスキー、相変わらず声質は少しくすんでいるのだけれど、上手い。それにしてもオペラって恐ろしい。あの貴公子様がせむしになって登場なのだから。

マントヴァ公爵のWookyung Kimは声量もあるし声質も澄んで2009年(Francesco Meliがマントヴァ公爵)に納得できなかった「日立の冷凍冷蔵庫」ことLa donna a mobileも素晴らしかった。ジルダのPatrizia Ciofiも、既に40代で体もとても細いのに、これだけの声量が出るのだと関心(なぜ昔のオペラ歌手は皆体格が良かったのか?)。張りがあって、輝かしい声質-素敵。願わくば最高音まで同じ声質/声量だったら-。

指揮のダン・エッティンガーも熱演(熱唱?)。彼自身が楽しんでいるように見受けられたし、オケと歌手をとても上手くコントロールしていた。歌手としても活躍していた彼、オペラの指揮は得意なのだろうか。なかなか素敵だったので、Gustavoのカルメンを観に行きたくなってしまった。

リゴレットは、ストーリーの現実性(実在可能性)が薄い分、先日のオネーギンほどは心は泣かずに済んだ。今日は本当に指揮と歌手を楽しめて素晴らしい舞台だった。ありがとう、Dan & Singers!!


人生は不条理である-バレエ・オネーギン@ロイヤルオペラハウス、ロンドン

2010-10-13 01:30:00 | バレエ

バレエ「オネーギン」。プーシキンの『エフゲニー・オネーギン』に基づく。音楽はチャイコフスキーの曲をクルト=ハインツ・ストルツェが編曲。

主な登場人物は、オネーギン(Thiago Soares)とその友人レンスキー(Genesia Rosato)、タチアナ(Roberta Marquez)、オルガ(Yuhui Choe)。

レンスキーの許婚オルガとその姉妹タチアナ。タチアナはオネーギンに恋をし、恋文を認めるが、それをオネーギンに目の前で破られてしまう。オネーギンはタチアナの気持ちを知りながらオルガに興味を示し、レンスキーの怒りを買い決闘に。オネーギンは決闘でレンスキーを殺してしまう。数年後、タチアナの元を訪れたオネーギンは、今更ながらにタチアナへの気持ちに気づき恋文を認めるが、逆にタチアナにそれを目の前で破られて幕となる。

「人生は不条理である」を地で行くようなストーリー。第三者の立場から見たら、ボタンを一つ掛け間違えただけなのに、主人公のオネーギンは、友人を殺し、その許婚に悲惨な運命を受け入れさせ、愛し愛された女性に別の男性との人生を与え、真実の気持ちに気づいた自らを拒絶させる結果を招く。タチアナとオネーギンは死ぬまで互いへの気持ちを持ち続けながらそれを幸福な形で昇華させること無く人生を生きる-死を迎えることが不幸なのではなく、求めるものが何かを知りながら、それが決して成就されない状態で「生きる」ことが不条理であり不幸なのである。

美は悲劇の中に宿る、といいたくなるような美しい舞台-装飾、照明-であった。バレエも、オネーギンを演じたSoaresが素晴らしかった。身体的に恵まれている上に-手足の長いこと-、バレエも素晴らしかったと思う。

我々一人一人の人生も、多かれ少なかれ、このようなものなのだろうか。タチアナ-最後、愛する人でありながら、おそらくずっと愛してきた人でありながら、道理を通して拒絶する-とても素敵だ。

でも、出来ることなら、不条理の中にではなく、幸福の中に生きたいものである。


お誘いしてごめんなさい@バービカン、ロンドン

2010-10-11 01:30:00 | コンサート

友人とそのだんな様、お嬢さんがロンドンを訪ねてくださった。ランチをご一緒した際に、寝台列車の時間までどんな風に過ごそうかと相談を受けたので、バービカンでの演奏会をご紹介した。だんな様がクラシックファンとのことで、チケットを入手。

コリン・デーヴィス指揮、ロンドン交響楽団、アンネ=ゾフィー・ムターのVnでドヴォルザークのVn協奏曲、ヤナーチェクのグラゴル・ミサ。

女流ヴァイオリニストの中では結構気に入っている、ムター、ヤナーチェクは昔シンフォニエッタを大学の先輩から紹介され、その独特の音階が好きで良く聴いていたので、グラゴル・ミサとはいったいどんな曲なのだろう、という興味で聴いた。

ドヴォルザークは、第一楽章、中間部分で、どうも音程が安定していない?というような部分があって、ムターなのに。。。と思われた。第二楽章は、ちょっとドヴォルザークにしては洗練されすぎているような気も。第三楽章は快活で楽しく聴かせてもらった。ムターにはどうしても期待が大きくなってしまうので辛口かしらん。

後半のグラゴル・ミサは、え、もうお終い?という感じであっという間だった。シンフォニエッタほど親しみやすい感じもせず。また、独唱者もメゾソプラノとバスは活躍の場が殆ど無くて気の毒。声質は嫌いじゃなかったのだけれど、あまりに歌う部分が少なすぎる。

それにしても、日本から到着したばかりでお疲れの友人ご家族をお誘いするにはちょっとお粗末だったか知らん。ごめんなさい。


キーシンの変容?@ロイヤルフェスティバルホール、ロンドン

2010-10-07 00:00:00 | コンサート

キーシンのピアノでショパンのPf協奏曲第2番を聴いた。先日のLang Langの印象が強く、どうしても比べてしまう。ピアノの音色に関しては曲(作曲家すら)もホールの違いもあるし、座席の違いもあるので一概には言えないが、キーシンの音色は少し神経質な感じ。そういう意味ではショパンに向いているのか。Lang Langのイメージはショパン(曲というより人となり)とは重ならない。平野啓一郎の『葬送』に相当毒されているのかもしれないが。

協奏曲を弾いている時のキーシンはまるでサイボーグのようであった。体→腕→指先までの神経が非常に綺麗に統制されていて、思わず真似たくなる。こうやって弾いたら、今まで弾けなかった曲も弾けるようになるのではないかと錯覚するほどだ。ただ、サイボーグ、という言葉が出る理由には、どことなくぎこちない、という印象があるからだ。

アンコールは同じくショパンのスケルツォ。これは思い切り自由な演奏-これがショパン?という程の。ショパンが作曲していた頃には、まだ現在のピアノは出来上がっていなかったはずだから、ショパンはこんな風に自分の曲が弾かれるだろうとは想像できなくても当然だろうけれど。キーシンがこんなにミスタッチを気にせずに、がんがんと弾く人だとは思わなかった。昨年6月に聴いた時と比べても違うような気がする。サインを貰いに行ったときの対応も、以前と比べてなんだか堂々としている。

知人夫妻に紹介されて購入したCD(モーツァルトのPf協奏曲20番、27番)では、キーシンはなんと弾き振りをしている。あのシャイに見えたキーシンが「指揮」?ちょっと俄かには信じられない-昨年バービカンでキーシンを見たときには、この人は一生変わらないのではないかと思ったけれど、キーシンも変わるのだ。私も変われるかな?

ショパンのPf協奏曲のほかは、最初がスークのファンタスティック・スケルツォ。これは初めて聴いたが、とてもよい演奏だったように思われた。曲自体も興味深い。最後のドボルザーク交響曲第9番は、最初こそ面白く聴いていたのだけれど、だんだんつまらなくなってしまい最後は拍手もそこそこにキーシンのサイン会に向かってしまった。ま、Gustavo&ウィーンフィルの同曲を聴いた後では仕方がないか。

なお、指揮者のネーメ・ヤルビは、とっても所作の面白いおじ(い)さんで、この人と一緒にカラオケかクラブに行ったら、すごく面白いことになりそうに思われた。一度誘ってみようかしらん?


ドゥダメル指揮、ヨーヨー・マ、ウィーンフィル@カーネギーホール、NY

2010-10-03 20:00:00 | Gustavo Dudamel

タイトルを書いているだけで、なんだか幸せのてんこ盛りのような組み合わせだ。2日は記載の通り、開始時間に間に合わなかったのでわからないが、この日は「チケット買います」の札を持った人を会場の周囲で多く見かけた。

ブラームスの悲劇的序曲で幕を開けた。ウィーンフィルの大好きな弦の音で聴くブラームス。幸せだ。今年Gustavoはブラームスの交響曲全4曲をLA Philと演奏する予定である。彼の最近のレパートリーと好きな曲がとても一致している私は幸せである。ああ、出来ることなら今年LA Philとのブラームスすべて聴きたい。

前半2曲目が、ヨーヨー・マのチェロで、シューマンのVc協奏曲。YouTubeで聴いたときには、あまりマのシューマンVc協奏曲は得意でなかったが-マはいつものように他の演奏者に気を配りながら-コンマスやチェロのトップ(二重奏になる部分がある)とまるで会話をしているかのように演奏をする。

マは今年55歳。既に全盛期は過ぎているのだろうか。ハイポジションの音に多少?な印象も受けたが、メロディを歌うところはとても素敵だった。ニューヨーク在住ということもあるかとは思うが、聴衆からの人気も絶大。本人もそれを良くわかっている印象。最後まで、周囲に気を使って、元気良く退場。

後半はドボルザークの交響曲第9番。ウィーンフィルやGustavoのすごいところは、こういうありふれた曲も、興味深く弾いてくれるところ。テンポやテヌートの掛け方。ここまで引っ張れるのはウィーンフィルが上手いからなんだろうな、とも思う。Gustavoはよくベースラインを強調する曲作りをするが、ウィーンフィルがそれに素直に(?)応えている感じもお互いプロフェッショナルな感じがして清々しい。

終わり方が派手だからか、聴衆の興奮は収まらず。バーンスタインのオーケストラのためのディヴェルティメントからワルツをアンコールに(チェロのトップはいつも同じフレーズで微笑む-可愛らしいおじさまだ)。

最後はGustavoがオケの団員を率いるようにして舞台袖に下がり、演奏会はお開きとなった。


普段着のNY@ニューヨーク

2010-10-03 14:00:00 | アメリカ

時差ぼけか何かわからないけれど、2時間強寝た後、眠れなくなり、mailを書いたりしていたけれど、日が差してきて、とても良いお天気だったのでシャワーを浴び、散歩に出かける。

まずは、リンカーンセンター。前回NYを訪れたときは、ここでオペラやオケを毎日のように聴いた。

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ここから1、2ブロックほど行くと、ちょっと広尾のガーデンヒルズのようなマンション群がある。このあたりに住めたら便利で良いだろうな。

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また、近くには素敵なイタリア系スーパーマーケット「Citarella」が。生ハム、パスタの充実度高し。ケーキも欲しかった。

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なんだかわからないけれど、素敵なオブジェと雲があったから。

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そして、勿論、セントラルパーク。

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ドゥダメル指揮、ウィーンフィル第1日目(後半)@カーネギーホール、NY

2010-10-03 03:10:00 | Gustavo Dudamel

アメリカでこのプログラムをGustavoがどう指揮をするのか、とても楽しみにしていた。残念ながら前半を聞き逃してしまったが、後半のバーンスタインを聴けるのは嬉しい。

カーネギーホールに来るのは初めてなので、まずは音響にびっくりした。金管が良く響く。全体的に響く感じだが、特に管楽器、金管。これはアメリカ人が好きそうな音-きらびやかな音-だと思った。そして、弦の音もふくよかに聴こえる。

バーンスタインでは、トロンボーンがお気に入り。彼はこの間のルツェルンの時も良かった。Gustavoは父親がトロンボーン奏者だったし、本人も奏者になりたかったそうだから、トロンボーンが上手いと特に嬉しいに違いない。あとはフルートのトップが上手いのと、オーボエのトップが知り合いに似ているので、ついつい見てしまう。

亡き王女のためのパヴァーヌ。すみません、ウィーンフィル。私はこのホルン奏者に納得できません(ルツェルンとNY、2回とも同じように半音下から入るので、思わずそう吹くべきなのかとスコアを確認してしまった)。ルツェルンとNYの間にウィーンで同じ演目の演奏会があったはずだけれど、その時はちゃんと吹けていたのだろうか?

最後はボレロ。このスネアドラムの音だけ、なぜかこの間のルツェルンの方がはっきりしていた気がする。そのために、スネアドラムとそのほかの楽器のバランスが今ひとつ。でも、最後はどんどん盛り上がっていって(スネアドラムが2台になるところ、2人の息がぴったり合って-セカンドがファーストの腕の動きを見て合わせているのが良くわかった-素敵だった)、Gustavoの運動神経良い指揮も会場を魅了し、大拍手で終了。

アンコールは今回こそピチカートポルカ。何が面白いのかよくわからないけれど、出だしで会場から笑いが漏れていた。