Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

舞台慣れ-ファン・ディエゴ・フローレス@バービカン、ロンドン

2010-05-08 01:30:00 | コンサート

ファン・ディエゴ・フローレスをバービカンで聴いた。我がDudaと2012年にマチュピチュでコンサートを計画している彼、一体どんな声の持ち主なのだろうか、と興味津々で出かけた。

南米=濃い、という極めて単純な発想がいかに誤っているか、である。見た目も、思っていたほど濃くなく、声も張りがあってしっかりしているが「濃厚/濃密」ではなく「すっきり/くっきり」。

声の通り道が、まるで目に見えるようである。音波の伝わり方を絵に描ける-指向性の高い、エネルギーの高い音だ。自らのエネルギーでより早い音速(c=331.5+0.61t、1気圧)を獲得し、声が前に出て行き、エネルギーがある程度収まった地点から放射状にその声が全体に広がるイメージ(あくまでイメージです、念のため)。形でいえば、漫画の吹き出しのような。

低音は、あまり得意そうではなかったけれど、高音は聴かせたくなるのがわかる声。アンコール最後なんて、そこまで伸ばす~?と会場を喜ばせていた。オペラの曲は、特に抜粋をピアノ伴奏で聴いてしまうと、前後の曲を結びつけるための転調が無理やり?で粗雑に聴こえ、どうでも良いところでがっかりして(笑って?)しまったりするのだけれど、ベルカントタイプの歌を聴く時は、あまり深く考えずに、マイクなしでこの会場をこれだけ響かせる歌手達の、その生まれながらの才能と毎日の鍛錬、アスリートに対する敬意のようなものを感じられたら良いように思った。

拍手の受け方が、流石オペラ歌手。ピアニストやヴァイオリニストなど、世界的な人でもこれが苦手で、素晴らしい演奏をしたのに、そそくさと舞台袖に下がってしまう人も珍しくないが、堂々と、ちょっと長すぎ?と思うくらいに、客席を見渡し、まるで「もっと、もっと~、拍手~!!」とでも言うかのように正面を見据える。これが出来るのも才能だ。

もうじきロイヤル・オペラで公演がはじまる。楽しみだ。


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