木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

2009-03-29 21:48:34 | Weblog
宮部みゆきと離れて何年たつだろう
いつも行く書店はあまり大きくないから感じなかったけど
今日行ってきたイオンの大きな書店で彼女との距離を感じた
読んでない本がいっぱいあった


昔 彼女の本を読んで号泣したことがあった
多分その話でそこまで泣いた人はいないだろう
何が悲しかったと言って、その気持ちはオレしかわからないだろう わかるよ
という気持ちに支配されて涙だけでなく声まで出てしまったんだと思う
もしかしたら自分だけじゃないのかもしれないけど
本屋さんに行ったら彼女の短編集「とり残されて」のなかにある「私の死んだ後に」っていう話読んでみ
ふうん で終わるんじゃないかと思う
でも僕は大号泣
その説明がし難いが故に泣けるんだと思う

ちょっとしたあらすじ
ある夜、盛りの過ぎたかと思われるピッチャーの佐久間実は、酔っ払いとの喧嘩で刺されてしまう
若い女の子に起こされた実は、みぞおちをナイフで刺され地面に倒れている自分自身を見つける
「あなたは死にかけてるの、こっちのあなたは魂で、あたしはあの世への案内役。初めまして」
にっこりと笑う彼女の声が聞こえた
ここから二人の行動が始まるんだが・・・
この女の子は若い時に実少年によって死を迎えた
それ以来ずっと彼に付いてるんだ 憑いてるんじゃなくね
彼女は自分の言葉を彼に伝えることが長い間できなかった
僕が心臓を掴まれてしまったことはこのことに他ならない
自分の意思を心を この人に伝えられないもどかしさ
ただ勇気がなくて伝えられないんじゃなくて
もう機能的にできない この人がここにいるのにそれが出来ない恐怖

例えば 植物人間になって自分の大切な人に意思を伝えれなくなったら・・
もう完全に意識がなくなってればそれはそれでいい
でも意識があるのに 心があるのに どうしてもとなりにいる人に伝えることができないとなったら
そう考えると 恐ろしくないですか?
しゃべるのは勿論手も動かせない 意識があるのにその意識を伝える手段を奪われたら こんな恐ろしいことはない
この作品の女の子の立場を考えたら その気持ちが分かってしまったら泣けて泣けてたまらなかった
このことは言ってみればネットの世界にも言える
色んな人と知り合う
気になってる人もできるけどその人がある日突然この世界から姿を消すともうそれ以上何もできなくなる
その人が死んだがごとく自分の前から消える
その悲しさも思い当った


多分言っても分かってもらえないでしょう
人には人其々のツボがあるんだよなぁ
でも僕にはこんなに嵌った話はなかった


無数の物語がある
毎日本は出版されて読んでない本は毎日毎日その数を増してゆく
読書家と言われる人でさえそうなんだからましてや自分のような人間からしてみれば
それはもっと顕著な事実なのである
今日堆く積まれた本の山をみてため息が出た それを征服するのはあり得ないこと
その中で素晴らしい景色に出会えることの幸せをいつかまた掴みたいね
それにはその山に登らなければ・・
コメント (30)
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