木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

若き日の思い出

2009-02-14 23:58:19 | Weblog
僕は一度読んだ本を再読することはめったにない
高校時代だったかな
そのジンクスを破ったのがあった
というかその頃はまだ再読するのに違和感を感じたことはなかったのだが・・
実にそんな時間を経ずに再読した本
武者小路実篤の「若き日の思い出」である


なんで再読したかと言うと 心地よいから

この小説が書かれたのが戦中戦後のあたりであって
その時点で「若き日の思い出」なので舞台は昭和初期なんだろう
僕が読んだのが高校生の時なら昭和45・6年あたりだろうか
主人公 野島厚行は学生 しかも学校も学習院とはっきりしている

その学友 宮津と静養中の海岸で出会うところから始まる
男女二人連れの宮津の隣にいたのは彼の妹の正子だった
正子だよ正子 どう?この名前
今じゃなかなかお目にかかれないこの名前
この正子への恋心が描かれてゆく

再読した理由を表に出せば この恋がどんな展開を見せるのか想像はつくでしょうがあえてここでは言うまい
この時代なので今からは想像がつかないくらいそれぞれの人間の位置というものが明確だ
年上の人は偉い という位置ね
今じゃなくなってしまった位置ね
その元で主人公の心の動きが克明に描かれてゆく
時には自信満々の彼になり、時には卑屈な醜い心を露呈する
でもそれはよく分かるのだ
自分でもそういう心に捉われることがある 
心当たりがあるから話に入りこめる

過程がいい
恋は過程がいいね

知りあってあの人は自分をなんて思ってるんだろう
その妄想が高じて恋こころが生まれる
それが成長するのかそのまま死ぬのか
そのドキドキ感が一番素晴らしい情景なんじゃないだろうか


というわけで何十年ぶりにまたその本を開いた
コメント (16)
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