秋の風をうけ
冬の雪を思う
春の花を思う
夏の雲を思う
これから出会う
幾度かの
限りある
季節の色を思う
いちばんだいじなものなのに
いたわらずかわいがらず
どうでもいいみたいなかおして
どうしてそんなに
ほったらかしてしまうんだろう
いただいたものなのに
うしなったらにどと
てにはいらないものなのに
どうしてそんなに
そまつにあつかうんだろう
いちばんだいじなものなのに
花びらが飛ぶ
ああ そうか
蝶だったんだね
いろんな色の
いろんな大きさの
蝶が飛ぶ日曜日
ああ そうか
きみたちの日
きみたちの季節
花びらが飛ぶ
きみたちの時間
まだ 見たい景色があるんだ
まだ 聞きたい音があるんだ
まだ 読みたい物語があるんだ
まだ 食べたいものがあるんだ
まだ 登りたい山があるんだ
まだ まだ まだなんだ
まだ 自分を見たいんだ
さて
どうもまえにすすまず
あしぶみをしています
でも
いつのまにか
あたらしい靴をはいていて
もう一本の道へと
うずうずしながら
あしぶみをしているのです
こどものころ
ひっこしのまえに
こんなきもちだったか
もしかしたら
うまれるまえに
こんなきもちだったか
そんなことをかんがえながら
あしぶみをしているのです
おとなも
こどもも
だれでもみんな
わんわん泣いて
なでてもらって
だいじょうぶだよって言われたい
わんわん泣けないひとこそが
だいじょうぶだよって言われたい
だいじょうぶだよって言ってるひとこそ
だいじょうぶだよって言われたい
空は大荒れです
早足で帰ります
傘の中で思います
まえの人生で
おなじようなこと
あったのかなあ
そのときわたしは
どうしたのかなあ
雨の音はいっそう強く
たくさんの人が
家路に向かいます
何度目かの人生で
傘をさしても濡れながら
早足で帰ります
迷子の夢をさがしにいった
道で泣いてる夢をみつけて
手をつないで戻ってきたよ
いろんな話をしながら歩き
やっと笑っておやつを食べて
いまは無心に絵を描いてます
もう会えないひととの約束を
さかのぼり呼びおこす
わたしの記憶よりも
もっと古いものばかり
満月を見あげて立ちつくした
あの場所はどこだろう
川岸でさよならをした
あのひとはだれだろう
なにもかもありがとうと言った
あの時間はいつだろう
ちがう名をもつわたしのときに
誓った言葉はなんだろう
ページをめくろう
まだ見えないあした
その先の日々
そして
わたしのからだが終わっても
そのあとにも続く時代の
ページをめくろう
わたしの手で
わたしのページを
めくるこのときを
覚えておこう
こんな大きなもの
もちあげるなんて
無理だろ
と思ってたけど
あれっ
なんとかなるもんだ
このくりかえしで
なんとかなってる
欲深く
強情で
過敏で
臆病で
でも
退屈が嫌い
不思議が好き
それはきっと
なにがあろうと
変わらない
だれであろうと
変えられない
だって
こんなわたしだって
神さまの作品
いつかまた
会えるよね
わたしたちが
おなじいきものでなくても
きっと
ああなんだかなつかしい
なぜかわからないけど
あたたかい
そうおもうよね
ながいながいときのなかで
こうして会うのはなんどめか
また会おうね
またあしたも
またつぎのじだいも
歩くのである
つまづいてもまちがえても
歩くのである
笑いながら泣きながら
雨でも晴れでも
なにがあろうと
歩くのである
ともだちに会いに
虹を見に
なつかしい場所に
知らない場所に
すたすたとぼとぼ
ぶらぶらとことこ
とにかくわたしは
歩くのである
さいごまでずっと
風や光をうけながら
歩くのである
トータル
