ほかにはなにも望まないほど
ほしいものはありますか
あしたのあなたの行き先に
ほしいものはありますか
あなたがいちばん望むこと
きっと理由はみつからない
きっと誰にも説明できない
あなたがうまれてきたことの
理由を説明できないように
ほかにはなにも望まないほど
ほしいものはありますか
あしたのあなたの行き先に
ほしいものはありますか
あなたがいちばん望むこと
きっと理由はみつからない
きっと誰にも説明できない
あなたがうまれてきたことの
理由を説明できないように
風がごうごう駆けてきて
夏のかたまり置いてった
走る時間のその先で
雨の雫を吹きとばし
風がごうごう駆けてった
花火もすいかも絵日記も
並んで昼寝もひまわりも
おとなになって思いだす
眩しいかけらでできている
夏のかたまり置いてった
うしろの半分の時間が
なつかしくて
泣きそうです
さきにある半分の時間が
これもなぜか
なつかしくて
泣きそうです
なにを取り戻そうとしているのでしょう
どこに帰ろうとしているのでしょう
なつかしくて
泣きそうです
ふと思いつくことありますよね
ひさしぶりにあの街に行ってみたいとか
あのひとが書いた本を読みたいとか
思いついて忘れていくことありますよね
信号ですよね
近いけど遠い 遠いけど近いところの
自分だけど自分じゃない
自分じゃないけど自分の
信号一瞬見えてるのにいけませんね
まじめに見なきゃいけませんね
さっきふと思いついたんですけど
今年は麦茶つくりたいなと
まじめにつくらなきゃいけませんね
わたし
なにをするひと
わたし
どこへいくひと
わたし
なにをこわすひと
わたし
なにをつくるひと
わたし
なにをするため
ここにきたひと
わたし
はじめまして
わたし
またいつか
わたし
えいえんに
わたし
ふわふわと
かたちがないままに
漂っていたのですが
あかるい光にひきよせられて
ふわふわとふわふわと
ちかづいてみたのです
そして扉をあけたとき
わたしはわたしになりました
わたしはわたしを受けとって
いまここで生きています
わたしがわたしをかえすまで
またふわふわになる日まで
旅するように生きています
狼煙があがり
ちいさな舟が陸を発つ
夢が漕ぎ出す音がする
波に揺られてゆく舟が
ちいさく遠くなるごとに
たしかに舟はゆっくりと
行きたい島にちかづいて
星が流れるそのときも
ちいさな舟に乗る夢は
空とも海ともおなじほど
ひろいきもちになるのです
とても遠いと思ってたけど
ほんとはすぐそこだったね
もう会えないと思ったけど
ふり向いたらそこにいたね
なんにもできないと思ってたけど
そんなことなかったんだ
だれにも届かないと思ってたけど
そんなことなかったんだ
たしかに世界は広いけど
たしかに人は多いけど
ほら 見えないけど ここにある
手のひらの上?
頭のうえ?
胸のなか?
ただひとつきり
だれにも奪われない
だれにも壊せない
ただひとつきり
ただひとつきりのもの
傘をさしてでかけよう
咲く花はみずみずしい
雨音につつまれて歩き
お店でコーヒーを飲む
ともだちと話すのも
ひとりで本を読むのも
いつもより落ち着くはず
傘をさしてでかけよう
たいせつな言葉を
思いだすことができそうだ
どこをめざして歩いているか
静かにこたえがみつかりそうだ
傘をさしてでかけよう
なにも怯えることはない
風はあなたの味方
波はあなたの子守歌
雨はあなたの夢を育てる
ひざしが道を照らすのだから
なにも怯えることはない
どんどん歩いていくんだよ
どんどん歌っていくんだよ
どんどん生きていくんだよ
さよならを言うことも
忘れてしまいそうです
いそがしいことは罪ですね
いちばん大切な言葉を
いちばん必要な時に
言うことができないなんて
どんながらくたが前にあっても
蹴散らしすすみたどりつきたい
そこにはもちろん
たくさんのさよならがあるのです
さよなら きのう
さよなら さっきまで今だったときよ