はじっこがだいじ

はじっこがだいじ

はじっこがまるいとか

でこぼこしてるとか

みがかれて光っているとか

ほんとうはその特徴は

はじっこがきめている

どんなことばでおわらせるか

ことばのおわりの呼吸とか

みえている世界のはじっこで

だれがなにをしているとか

笑顔をみせたそのあとや

無愛想なかおのそのあとの

一瞬のはじっこがだいじ

真ん中で輝くひとは

じぶんのはじっこを

ひたすら追求しているのだ

はじっこがだいじ

はじっこがいちばんだいじ

違う道を歩いてみました

きょうは違う道を歩いてみました

知らないバス停を見て地名を知り

それなのにもう思い出の景色のように感じています

友だちが美味しいと言っていたお菓子をみつけて

それさえも宝もののひとつのように思うのは

時間の川がはやさを増しているからでしょうか

どこでなにをしながらいまを振りかえるのかわからないけど

あしたも違う道を歩いてみるつもりです

あもちゃばこ

かわりゆくすべては

あなたのおもちゃばこ

いっしんにあそんで

ねむるときもゆめにみて

あしたまたあえたら

それはきせきなのだと

しりながらきょうも

おもちゃばこをあける

スケッチブックをあけてごらん

スケッチブックを

あけてごらん

すこしまぶたを

とじてみて

クレヨンいっぽん

えらんだら

みえる景色を

かいてごらん

わたしのまえに

道がある

わたしをみちびく

鳥が飛ぶ

これから咲こうとする花が

これからうまれるにんげんが

これから溢れるうたごえが

これから読まれるおはなしが

すべての種がそこにある

わたしを呼んでる

ひとがいる

手紙を届けてくれるのは

わたしが書いたこの手紙

誰が届けてくれるでしょう

あて名は書いてないけれど

鳥が届けてくれるでしょう

鳥が途中でおとしたら

波が届けてくれるでしょう

陸に打ち寄せられたなら

風が届けてくれるでしょう

手紙は長い旅をして

はじめて誰かの手のもとで

読まれる日がくるでしょう

みえますか

みえますか　

キャラメルの香りただようお店

通りすぎてゆく自転車の風

きこえますか

横断歩道をたくさんのひとが

歩いている　語らっている

おとぎばなしのようなこの時間

靴音をたてて追いこしていくひと

硝子戸にもたれるちいさなこども

空はひときわあかるく青い

そこからみえますか

この声届きますか




　







　　

ふるさと

雪ふる　ふるさと

つららとける　ふるさと

小石蹴る　ふるさと

花散る　ふるさと

雲ひかる　ふるさと

雨に走る　ふるさと

木の葉もえる　ふるさと

鳥さえずる　ふるさと

手をふる　ふるさと

さがしてる　ふるさと

いま　みつける　ふるさと

春です

春です

これから懐かしくなる道を

歩いている春です

一日さきは

まるで

違う人生かもしれない

電線にとまる渡り鳥の

呼びあう声にたちどまる

この世界のあかるさに

おどろきみつめる春です

やっと

やっと

追いついた

このさきのじぶんに

やっと

受けとった

このまえのじぶんから

やっと

重なった

なんでもないじぶんと

しあわせななにか

ふとなにかをみつける

なにかをはじめる

なにかをつづける

なにかをふたたびみつける

なにかをほんとうにえらびとる

なにかがじぶんのいちぶになる

それはほんとうにしあわせなことだ

太鼓をひとつくださいな

太鼓をひとつ

くださいな

空気と

太鼓と

この自分

一緒に震える

一緒に響く

つまらぬ意味は

いりません

太鼓をひとつ

くださいな

過去と

未来と

いまの自分

一緒に震える

一緒に響く

いつ終わるかは

しりません

風吹く夜の小鳥へ

風吹く夜の小鳥よ

その足もとの樹の枝を

あたたかい夢を

かさなりあう仲間を

しっかりと抱けよ

この風が

たいせつなものを

吹きとばしたとしても

かならずやってくる朝を

その先につづく自分を

無条件に信じよ

ちいさなわたしがわたしに言った

ちいさなわたしが

わたしに言った

みたいな

しりたいな

ききたいな

だいすきなもの

みつけたいな

ちいさなわたしが

わたしに言った

なかよくしたり

けんかをしたり

いっぱいあそんで

くたくたになって

おやすみなさいって

いうのがいいな

うたいつづけよ

ちいさく

柔らかく

猛々しく

つぶらな眼の

いきものよ

立ちあがれ

なにもかも

目のまえにある

その心臓が

伝えるうたを

火花尽きるまで

うたいつづけよ

水たまりがあるから

こどもが

水たまりを跳ぶように

挑む

水たまりが

ちいさい日も

おおきい日も

あるさ

ただそこに

きらきら光る

水たまりがあるから

跳ぶだけなんだ