徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

期末試験

2012年06月09日 | 海外ボランティア

 大学では今期末試験の真っ最中で、学生達は毎日ヒーヒー言いながら試験を受けています。私の担当教科は初日が試験日だったのですでに終わっていて、採点もやってしまいました。

 試験範囲をかなり明確に示していたので、ちゃんと勉強すれば点が取れる内容の試験だったのですが、結果はやはり真面目に勉強したと見える女子学生の得点がおおむね良好で、手抜きの男子はあまり芳しくない結果でした。最高点は47.5点(50点満点)で女の子でした。最低点は男子の20.5点で20点未満だと落第なので、まあお目こぼしというところでしょうか...

 学生は試験で苦労しているのですが、逆に学生は講師の評価を行い、結果は学部に報告されます。下表が私の講義の評価で、まあまあ概ね良好な結果でしょうか。とにかく生まれてこの方、他人に体系だって物事を教えた経験は無く、おまけに英語での講義となると、一体どうなることやらと、自分自身かなり不安でしたが、一学期が終わってみると、まあなんとか学生に講義が出来たのかな、という感じですこし自信が付きました。

 下記以外に教師の強み、弱みという評価もあって、私の強みはなんと博識で、弱みは講義が下手、だって... (あたりまえやろ)

 


ブータン事務所での出来事

2012年05月12日 | 海外ボランティア

 

 

【JICA】シニア海外ボランティアの実際

1 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/18(月) 20:13:19.27 ID:LUO22Zfi
事務局から見た、シニア海外ボランティアの困ったおじ様たち 

1.毎朝事務所のオフィスに来ては、「事務所員は挨拶もできんのか!」なんて言わないで下さい。 
私たち、オフィスの入り口を見て仕事している訳ではないんです。 
朝は東京の本部から来るメールチェックで忙しいんです。 
そんなに挨拶して欲しいのなら、そちらから挨拶して下さい。 
そうしたら、こちらも挨拶してあげますので。 
それに、毎朝何しに事務所に来るんですか? もう少し配属先の活動に集中して下さいっ 

2.会社の人事部にいたからって、事務所員の勤務評価しないで下さい。 
それを、SVの飲み友と話して何が楽しいんですか? 
あなたによる勤務評価、私たちの給料には全く関係ないんです。 
さらには、JOCVの報告会などに参加して、他のSVやJOCVの勤務評価までして。 
そんな暇があるんなら、配属先での本来のボランティア活動を真面目にやって下さい。 
ちなみに、事務所内のあなたの勤務評価、AからDまでの評価基準で最低のDです。 
この評価、意味ありますよ。2回目のSVありませんので。 

3.社長をやっていたからって、事務所内の組織や役割分担にまで口を出さないで下さい。 
一応「アドバイス、ありがとうございます。」と言ってあげると、うれしそうな顔するけど、鬱陶しいだけなんです。 
事務所員全員で議論し、これまでの経歴を考えて役割分担を決めているんですっ。 

4.現地業務費で、日本で機材を購入して輸入できないからって、電話口で大声で怒鳴らないで下さい。 
私の鼓膜はデリケートなんですっ。 
現地業務費は、現地でしか使えないから現地業務費って言うんですぅ 
大声で怒鳴ったって、何の解決にもならないんです。ちなみに、すぐに大声で怒鳴る人、何て言うか知ってますか? 
「老人病」っていうんです。これは不治の病ですけどっ! 

2 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/18(月) 20:15:00.77 ID:LUO22Zfi
5.事務所から「警告書」を渡されたからって、逆恨みして事務所の職員の個人攻撃しないで下さい。 
業務渡航禁止の地域に事務所に無断で行ったあなたがいけないんですからっ 
所長は「冠婚葬祭業」しかやらないとか、職員は俺のやっていることは何も分かっていないとか、強制連行のSV飲み会で愚痴っているそうじゃないですか? 
そうゆう情報はすぐに入ってくるんですぅ。そりゃあ、あなたのやっている内容は分かりませんよ。 
もし全部わかったら、私あなたの代わりができますから。 
でも聞いてますよ! 
配属先ではネットしかやっていなくて、配属先のカウンターパートが作成した資料を地方局に配布する際に、出張名目でいっしょについて行ったことを...。 
これこそ、JICA予算ひいては税金の無駄使いですね。あっ、でもその時に業務渡航禁止の地域に行って「警告書」を喰らったんですよね。 
私なら、そんなヘマしませんけど。 
最後に「警告書」ですけど、これは「もう二度とSVはできません」という絶縁状の意味ですっ。 

6.やたらと事務所の職員を飲みに誘わないで下さい。 
飲んでいるほど、暇じゃあないんです。飲みに付いていっても、あなたの加齢臭はするし、JICAの批判とエロい話しかしないから誰も行きたくないんですっ。 
それに誘いを断ったら、飲み会でその人の悪口をひらすら言っているそうじゃあないですか? 
誘ったら付いていくからって、自分に人望があるとは間違っても思わないで下さいね。他のJOCVやSVも、いやいや行っているだけですから。 


JICA青年海外協力隊事務局 選考課 殿 
もう少しまともなSVを選考して現地に送って下さい。 
派遣国にとってプラスではなく、マイナスのSVが大杉です。 
JOCVの方がまだ扱いやすいわっ (`_´) 

3 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/19(火) 18:58:39.55 ID:0mgpITwe
>>1-2 
ものすごくリアルだ。 
JVで活動した経験があるけど、有りそうな話と感じる。 
もちろん真面目に仕事に取り組んでいたり、 
配属先から尊敬されていたSVもたくさんいたけど 
何様?と聞きたくなるほどふんぞり返った 
わけの分からない人もまたいたのは確か。 
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」じゃないけど 
本当に実力のある人は誰に対しても温厚に接していた。 

今は現地生活費とかもJVと余り変わらないらしいが 
昔のように準専門家クラスの待遇を与えれば、 
優秀な人材を呼び戻すことができると思う。 

JVと一緒に訓練することになってるらしいが、 
良かったのか悪かったのか。。。 

4 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/21(木) 17:23:55.87 ID:xljShGRA

>JICA青年海外協力隊事務局 選考課 殿 
>もう少しまともなSVを選考して現地に送って下さい。 

選考できるほど、SVの応募がないのでは? 

期間短縮で、さようならという手もありますよね。 (^_^) 


5 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/25(月) 21:22:02.12 ID:qjuK+NrE
>>2 

5の人って、B国の3Kの中で、頭髪の薄い人? 

6 :バリアフリーな名無しさん :2011/07/25(月) 23:05:52.88 ID:v+OQoHPV
土岐 泉翁を思い出したW 

7 :バリアフリーな名無しさん:2011/07/26(火) 01:08:04.67 ID:KVhrhL/j
ボラ調も大変だな。 
そういや、SVが何かイベントやって専門家が行かなかったら、何か大怒りして 
絡まれた。いや、僕ら平日は普通に仕事してんのよ。 

期末試験 準備

2012年05月12日 | 海外ボランティア

 二月に始まった学期も、ようやく終了に近づいてきました。私の講義も指導要領の内容はほぼカバーしたので、来週残件を幾つか話して重要な項目のおさらいをしたら講座終了です。

 その後は6月初から期末試験が約一ヶ月間あります。期末試験も指導要領で決められていて、講座得点の半分を占めます。(残りは宿題、グループワーク、中間試験等)時間も3時間とかなり濃厚な試験を準備する必要があります。この試験問題と回答を来週初めまでに、2セット作成し内外部レビューを受ける必要が有り、いま準備に追われています。

 なぜ2セットかというと、この2つから教務課はランダムに選び期末試験を行い、それに落第した生徒は次学期始めにもう一つの試験問題を受けることになります。僕はここに来るまで大学の先生と言うのは、のん気な家業かと思っていましたが、これはこれで結構忙しいものです。


中間テスト結果

2012年04月15日 | 海外ボランティア

 一日延期の4月12日に中間テストを実施して、その採点を一応終えました。6問出題して計算問題3問、記述問題3問という内容です。計算問題のうち一問は簡単な引っ掛け問題だったのですが、21人中2名を除き残り全員、見事に引っ掛かってくれました。(2名のうち1名はカンニング臭いので、実際の正解は1名だけかもしれません)

 ブータンの大学はイギリス流インド方式を導入していて中間試験、期末試験、アサイメント、出席日数等がシラバス(指導要領)で厳密に規定されています。 私の担当している科目では中間試験は全体の10%の点数を占め、単独では40%以上取ることを規定されています。だから学生達も落第はかなわ無いので、結構真剣に対応します(と言っても一夜漬けですが...)

 CST(工科大学)の学生を見ていると、他のブータンの大学生に比べ、やや可哀想な感じもします。というのも、工学系の先生たちは兎に角、学生に知識を詰め込むことにやっきな印象があり、宿題や試験をガリガリ学生に強制しています。おかげで、他の大学ではクラブ活動などを楽しんでいるのに、CSTの学生はそんな課外活動の時間など無く、ひたすら教授陣に煽られて詰め込まれている状況に見えます。

 自分の狭い経験からで恐縮ですが、身についた学問、社会にでて己の身を助けた学問、というのは、全て自分が興味をもって自ら進んで学んだ事柄に尽きるような気がします。まあ、学問をする基礎部分の数学や語学などは、否が応でも学ばなくてはなりませんが、高等教育である大学では詰め込みより、学生の個性、才能を自由に伸ばす観点も重要ではなかろうかと思います。

 ということで、採点した結果、全員可もなく、不可もなく、という感じで卒なくこなしている印象です。しかし、前述の引っ掛け問題は、その事象を深く自分で考えていれば正しい回答に至るべきもので、卒なくこなすブータン学生の、実は底の浅さが露呈した感じも受けました。(因みにHoleのフェルミ分布密度を求める問題なのですが、ほとんどの学生が考えなしに電子密度を回答していました) ただ、採点していて、一名だけ極端に出来の良い学生が居ました。普段の講義では目立たない学生なのですが、見事な答案でした。このような才能は大切に育てて行きたいものです。


GLOF 氷河湖決壊

2012年03月16日 | 海外ボランティア

 今日は3年をかけてGLOF(Glacial Lake Outburst Flood)の調査をブータンで行なってきたDr.小森JICA専門家にお越しいただき、CSTの土木科学生と教員に対するレクチャーをしていただきました。

 きっかけはJICAニュースで先日の日曜(12日)にティンプーで高校生対象にこのレクチャーをやるという情報が入り、それならCSTでもやってもらおうかと学長に相談したところ是非に、ということになり小森さんも二つ返事でOKという事で開催の運びとなりました。

 約一時間のレクチャーで非常に充実した内容でした。私の観点で内容をサマリーすると、

1.氷河後退は18世紀末から進行しており、その主な理由は小氷期(14-17世紀)の終了に伴う気温上昇による。

2.古典的な氷河湖のモデルは見直され、新しいモデルでは飽和含水領域と表面湖水の接触により氷河湖が形成される。

3.古典的モデルではモレーン端の部分が最も水深が深く、決壊により全水量流出を想定していた

4.新モデルではモレーン端では水深は浅く、氷河端で水深が深くなる。実測もそれに合致する この場合はモレーン・ダムが決壊しても流出水量は10%ー30%で収まる

5.決壊の可能性はモレーン端のスロープ角が10°以上になると高くなり、衛星写真分析でも裏ずけられた。

6.スロープ角でブータンの全氷河湖の決壊可能性を評価した結果、決壊危険性のある氷河湖は1ないし2湖に絞られる

7.GLOFの発生確率を時系列分析した結果、近年その発生頻度が増加しているとは言えない

結論; ブータンにおけるGLOFは過剰評価気味で、実際の発生可能性は比較的低いと言える

 レクチャーの後、小森さん、学長を交え昼飯を食べながら話をしたのですが、今回のプロジェクトはブータン政府のDGM(Depertoment of Giology and Mine)という官庁が仕切っていて、学長の個人的なコメントでは、そこの次長がやや頭が古いタイプで新旧の世代交代が上手く行っていない様な事も言っていました。ただ、小森さんは発表の中でDGMから同行したメンバー達は調査の経験を積むことで非常にスキルアップしていった、とコメントされていました。科学的・客観的な視点というのは、こういう地道な蓄積の上に成り立っていくのでしょう。

 100人以上の土木科学生も今日のレクチャーを真剣に聞き入っていました。日本人が3年間で150日以上も高地に分け入り実地調査した事実は、日本がお金だけ出すような支援をしている訳ではない事の強力な実例として彼らの記憶に残ることでしょう。

 小森さん、今日は本当に興味深いレクチャー、ありがとうございました。


オーストリアの建築家

2012年03月09日 | 海外ボランティア

 今日は朝から何だか忙しい一日でした。 金曜日は授業が無いので普段はのんびり歩いて大学まで行くのですが、今朝は9時前からJACAと学長のMTGに呼び出され、あたふたと出かける羽目になりました。大学には我々の所属している電気科、電子通信科の他にIT科、土木科があり、特に土木の講師が不足していて非常に困っています。そこで大学としては前々からJICAに講師を要請していた所、今回やっと派遣が決まりその報告というのがMTGの一義的な目的でした。これはまことに結構なことなのですが赴任が10月と言うことで、もう待ちきれない土木の長からは何故にそんなに時間がかかるのですか?との当然な質問がありJICAサイドも回答に窮する場面もありました。確かに我々応募する側から見ても合格後1年の期間は長すぎるので、ここは日本のお役所も真剣に期間短縮に取り組んでいただきたいものです。

 その後すぐ、オーストリア・ウィーン工科大学から二名の建築科教授が見えてレクチャーがあり参加しました。 我が学長は講師不足にも関わらず、大学に建築科の増科を目論んでいてオーストリア政府の援助を引き出そうとして教授の招聘に及んだようです。この二人の先生、なかなユニークで一人はもうちょっと耳が遠くなっている頑固なご老人と、もうひとかたはドイツ・メルケル首相のような恰幅のご婦人でした。このご老人がプナカを訪問して怒ること、とにかく伝統建築をぶち壊すような我JICAの新設道路なぞ、誠にお気に召さないようでご立腹然りでした。

 しかし、確かに建築家というのは芸術家に属すると思わせるネパールやスリランカにおける建築作品を紹介していただくと、確かに美しい。美しいものは経済的なものを超えて美しいんだから仕方がない。それに比べて、日本の支援による道路や橋が美しいか?インドのコンクリートビルが美しいか、と言われると悔しいがこの爺様の作品には勝てない。ヨーロッパ人は贅沢だが美しいものをつくる。爺様いわく、ブータンの若者に美しいものを教え、美しいブータンの伝統建築を高めるような教育をすべきだ...とのこと 

 しかし、私は学長の思惑、つまりなぜ我が大学に建築科が必要かとの思いも解る。実需があるのです、醜いコンクリート建築を乱設する... まあ、いずれにせよブータン唯一の工科大学である我がCSTはブータンの明日を担う技術者を輩出し続ける必要があるようです 

今日はなかなか面白い一日でした。


チュートリアル

2012年02月17日 | 海外ボランティア

 大学では講義と実験の他にチュートリアルという担当時間があります、直訳すると個別指導。 実際に何をやっているかというと、講師によってバラバラで、問題を解かせたり、自習させたり、全然何もやら無い、など自由裁量に任されているようです。

 そこで私はいろいろ考えた挙句、テーマを与えてグループでプレゼンテーションをやらせる事にしました。 担当しているクラスは電子工学の3年生で21名なのですが、それを5名・6名の4グループに分け発表者を持ち回りにしてテーマを与えて、20分の持ち時間で2週間ごとに発表してもらう。 ちなみに準備が出来てない場合は5分以上ブータンダンスをみんなの前で披露するというペナルティー付きです。

 昨日その第一回目の発表をしてもらいました。 テーマはインターネットとソーラーセル(太陽電池)。 たぶん、まともに準備できていないだろうという此方の推量に反して準備万端、非常に立派にこなしてくれました。 アッパレ、ブータン工科大学生。 おまけに、立派なサマリーレポートまで提出してくれて大したものです。 ただ、今回の内容は最初とあって簡単なものでしたが徐々に難しいテーマに移っていく予定です。

 次回のテーマはシュレジンガーの猫と電子二重スリット、その後は量子もつれとか... 彼等を徐々に量子の迷宮に引き込んで無知の知、を思いっきり味わって頂くつもりです。


今週から大学での講義が始まりました

2012年02月11日 | 海外ボランティア

 今週から講義を始めています。 オプトエレクトロニクスの今週のテーマは ”光” 最初の週はイントロだけで済ますつもりでしたが3時間は持たない。それで仕方なく本題へ突入です。

 ブータンはIT大国インドの隣なので教育システムのオンライン化がずいぶん進んでいて、講義もそれを使ってやっています。板書で重要な式や基本的な考え方を説明した後、下のようなシステムにセーブしてあるデータを使って詳細な説明をしています。(もちろん、自分で事前準備したデータです) 板書だけだとこちらが疲れるし、システムデータだけを見せ続けると学生がトロンとしてくるしで、組み合わせてやるのが、ちょうど具合が良いようです。

 ご心配をおかけしてます英語の方ですが、例えば屈折、反射はRefractionとReflectionで私の発音ではR,Lの違いがほとんど無いので、学生は混乱する可能性があります(と言うよりか、どう見ても混乱してるな...)。 また、誘電率と透磁率もPermittivityとPermeabilityでヤヤコシイ まあ、なるべく板書でカバーするしかないか...

 ということで、これから6月まで講義を続けます。

 

 


新学期が始まりました

2012年02月02日 | 海外ボランティア

  http://www.cst.edu.bt

 やっと昨日から新学期が始まりキャンパスに学生たちが帰ってきました。なんだか、お天気もとたんに春めいてきて、なんとなくウキウキした気分になってきます。だいたい冬休みが1ヶ月半もあって長すぎです。因みに夏休みは二週間しか有りません。これは全ブータンの小中高校を含め同じようで、きっと寒く厳しいティンプーなどの高地を基準に設定された学期区分なのでしょう。

 こちらも、講義の準備やらeラーニング(WEBを使った教育システム)のセットアップやらで、とたんに忙しくなってきました。可笑しいのは、今日から授業開始なのに大抵の教授連中は来週から講義を始めるつもりでのんびりしていて、学生が先生の来ない教室の前で屯していて教務担当の偉いさんがカンカンになっていました。(私もその一人ですが...) まあ、ブータンだからね。

 来週から張り切ってやるぞー!


前期試験 立会い業務

2011年11月21日 | 海外ボランティア

 大学では18日から試験が始まっていてこれから一ヶ月間、学生は試験漬けとなります。この試験の立会に我々も駆り出され、今日一回目に立会いました。一般的な試験は午前9時から12時までの3時間あるいは午後1時から4時で、今回は朝の部でした。立会はただカンニングを見張るというだけではなく、問題用紙、解答用紙の配布から始まり、学生証と当人を確認してサインしたり解答用紙が足りない学生から要求があれば追加を配って確認のサインをしたりと結構忙しいです。

 その合間をみて問題と学生の回答を見ていました。教科はEngineering Chemistryで一年生の教養過程です。ところが最初の問題がシュレジンガー波動方程式の定常解を求める問題で少々のけぞりました。この証明は結構長ったらしくて日本の工学系の学生なら結論の式だけ知っていれば十分だ、位の事柄なのですが、ここではそれを延々と2-3ページに渡って記述させています。結構な数の学生がこの回答を書いているのですが、見ているとなんだか途中が飛んでいたり、結論がいきなり出てきたりしているのに気がつきます。どうも、証明式を丸暗記している感じです。もちろん、あれを丸暗記する気力と努力には敬意を払いますがそれがどの程度、彼らの将来の役に立つかと言うと極めて疑問です。これが、ブータン式なのだと思います。それがどのように応用展開するかとは関係なく、出題する方は高度な内容を出して、回答する方はその丸暗記を記述するといった所でしょう。この最初の設問に華麗に回答している学生が、CNT(カーボンナノチューブ)の医療応用を記述せよ、といった設問にはチャランポランな回答していたりするアンバランスが面白いところです。

 ともかく、学生は学期ごとの試験で3教科以上落第点を取ると留年になるので必死です。また留年は二年までで、それを超えると放校になります。という事で必死の学生達と一緒に、これから12月初めまで試験立会いが続きます。


ブータン国王 国会演説(全文)

2011年11月20日 | 海外ボランティア

 ブータン国王御夫妻が訪日され、衆議院で演説された内容の全文和訳が入手できましたので掲載します。(Hさん、ありがとうございます。)

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 天皇皇后両陛下、日本国民と皆さまに深い敬意を表しますとともにこのたび日本国国会で演説する機会を賜りましたことを謹んでお受けします。衆議院議長閣下、参議院議長閣下、内閣総理大臣閣下、国会議員の皆様、ご列席の皆様。世界史においてかくも傑出し、重要性を持つ機関である日本国国会のなかで、私は偉大なる叡智、経験および功績を持つ皆様の前に、ひとりの若者として立っております。皆様のお役に立てるようなことを私の口から多くを申しあげられるとは思いません。それどころか、この歴史的瞬間から多くを得ようとしているのは私のほうです。このことに対し、感謝いたします。

 妻ヅェチェンと私は、結婚のわずか1ヶ月後に日本にお招きいただき、ご厚情を賜りましたことに心から感謝申しあげます。ありがとうございます。これは両国間の長年の友情を支える皆さまの、寛大な精神の表れであり、特別のおもてなしであると認識しております。

 ご列席の皆様、演説を進める前に先代の国王ジグミ・シンゲ・ワンチュク陛下およびブータン政府およびブータン国民からの皆様への祈りと祝福の言葉をお伝えしなければなりません。ブータン国民は常に日本に強い愛着の心を持ち、何十年ものあいだ偉大な日本の成功を心情的に分かちあってまいりました。3月の壊滅的な地震と津波のあと、ブータンの至るところで大勢のブータン人が寺院や僧院を訪れ、日本国民になぐさめと支えを与えようと、供養のための灯明を捧げつつ、ささやかながらも心のこもった勤めを行うのを目にし、私は深く心を動かされました。

 私自身は押し寄せる津波のニュースをなすすべもなく見つめていたことをおぼえております。そのときからずっと、私は愛する人々を失くした家族の痛みと苦しみ、生活基盤を失った人々、人生が完全に変わってしまった若者たち、そして大災害から復興しなければならない日本国民に対する私の深い同情を、直接お伝えできる日を待ち望んでまいりました。いかなる国の国民も決してこのような苦難を経験すべきではありません。しかし仮にこのような不幸からより強く、より大きく立ち上がれる国があるとすれば、それは日本と日本国民であります。私はそう確信しています。

  皆様が生活を再建し復興に向け歩まれるなかで、我々ブータン人は皆様とともにあります。我々の物質的支援はつましいものですが、我々の友情、連帯、思いやりは心からの真実味のあるものです。ご列席の皆様、我々ブータンに暮らす者は常に日本国民を親愛なる兄弟・姉妹であると考えてまいりました。両国民を結びつけるものは家族、誠実さ。そして名誉を守り個人の希望よりも地域社会や国家の望みを優先し、また自己よりも公益を高く位置づける強い気持ちなどであります。2011年は両国の国交樹立25周年にあたる特別な年であります。しかしブータン国民は常に、公式な関係を超えた特別な愛着を日本に対し抱いてまいりました。私は若き父とその世代の者が何十年も前から、日本がアジアを近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っています。すなわち日本は当時開発途上地域であったアジアに自信と進むべき道の自覚をもたらし、以降日本のあとについて世界経済の最先端に躍り出た数々の国々に希望を与えてきました。日本は過去にも、そして現代もリーダーであり続けます。

 このグローバル化した世界において、日本は技術と確信の力、勤勉さと責任、強固な伝統的価値における模範であり、これまで以上にリーダーにふさわしいのです。世界は常に日本のことを大変な名誉と誇り、そして規律を重んじる国民、歴史に裏打ちされた誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、そして秀でることへ願望を持って何事にも取り組む国民。知行合一、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さを併せ持つ国民であると認識してまいりました。これは神話ではなく現実であると謹んで申しあげたいと思います。それは近年の不幸な経済不況や、3月の自然災害への皆様の対応にも示されています。

  皆様、日本および日本国民は素晴らしい資質を示されました。他の国であれば国家を打ち砕き、無秩序、大混乱、そして悲嘆をもたらしたであろう事態に、日本国民の皆様は最悪の状況下でさえ静かな尊厳、自信、規律、心の強さを持って対処されました。文化、伝統および価値にしっかりと根付いたこのような卓越した資質の組み合わせは、我々の現代の世界で見出すことはほぼ不可能です。すべての国がそうありたいと切望しますが、これは日本人特有の特性であり、不可分の要素です。このような価値観や資質が、昨日生まれたものではなく、何世紀もの歴史から生まれてきたものなのです。それは数年数十年で失われることはありません。そうした力を備えた日本には、非常に素晴らしい未来が待っていることでしょう。この力を通じて日本はあらゆる逆境から繰り返し立ち直り、世界で最も成功した国のひとつとして地位を築いてきました。さらに注目に値すべきは、日本がためらうことなく世界中の人々と自国の成功を常に分かち合ってきたということです。

「ブータンには寺院、僧院、城砦が点在し何世代ものブータン人の精神性を反映しています」 ご列席の皆様。私はすべてのブータン人に代わり、心からいまお話をしています。私は専門家でも学者でもなく日本に深い親愛の情を抱くごく普通の人間に過ぎません。その私が申しあげたいのは、世界は日本から大きな恩恵を受けるであろうということです。卓越性や技術革新がなんたるかを体現する日本。偉大な決断と業績を成し遂げつつも、静かな尊厳と謙虚さとを兼ね備えた日本国民。他の国々の模範となるこの国から、世界は大きな恩恵を受けるでしょう。日本がアジアと世界を導き、また世界情勢における日本の存在が、日本国民の偉大な業績と歴史を反映するにつけ、ブータンは皆様を応援し支持してまいります。ブータンは国連安全保障理事会の議席拡大の必要性だけでなく、日本がそのなかで主導的な役割を果たさなければならないと確認しております。日本はブータンの全面的な約束と支持を得ております。

 ご列席の皆様、ブータンは人口約70万人の小さなヒマラヤの国です。国の魅力的な外形的特徴と、豊かで人の心をとらえて離さない歴史が、ブータン人の人格や性質を形作っています。ブータンは美しい国であり、面積が小さいながらも国土全体に拡がるさまざまな異なる地形に数々の寺院、僧院、城砦が点在し何世代ものブータン人の精神性を反映しています。手付かずの自然が残されており、我々の文化と伝統は今も強靭に活気を保っています。ブータン人は何世紀も続けてきたように人々のあいだに深い調和の精神を持ち、質素で謙虚な生活を続けています。

  今日のめまぐるしく変化する世界において、国民が何よりも調和を重んじる社会、若者が優れた才能、勇気や品位を持ち先祖の価値観によって導かれる社会。

そうした思いやりのある社会で生きている我々のあり方を、私は最も誇りに思います。我が国は有能な若きブータン人の手のなかに委ねられています。我々は歴史ある価値観を持つ若々しい現代的な国民です。小さな美しい国ではありますが、強い国でもあります。それゆえブータンの成長と開発における日本の役割は大変特別なものです。我々が独自の願望を満たすべく努力するなかで、日本からは貴重な援助や支援だけでなく力強い励ましをいただいてきました。ブータン国民の寛大さ、両国民のあいだを結ぶより次元の高い大きな自然の絆。言葉には言い表せない非常に深い精神的な絆によってブータンは常に日本の友人であり続けます。日本はかねてよりブータンの最も重大な開発パートナーのひとつです。それゆえに日本政府、およびブータンで暮らし、我々とともに働いてきてくれた日本人の方々の、ブータン国民へのゆるぎない支援と善意に対し、感謝の意を伝えることができて大変嬉しく思います。私はここに、両国民のあいだの絆をより強め深めるために不断の努力を行うことを誓います。

  改めてここで、ブータン国民からの祈りと祝福をお伝えします。ご列席の皆様。簡単ではありますが、(英語ではなく)ゾンカ語、国の言葉でお話したいと思います。

 「(ゾンカ語での祈りが捧げられる)」

  ご列席の皆様。いま私は祈りを捧げました。小さな祈りですけれど、日本そして日本国民が常に平和と安定、調和を経験しそしてこれからも繁栄を享受されますようにという祈りです。ありがとうございました。

 


ブータン国王夫妻 来日

2011年11月18日 | 海外ボランティア

 ここ数日ブログ閲覧数が増えていて、昨日は一日で1000Hitを超え知らない間に累計15万Hitを達成していました。何事かと思ったら、国王夫妻が訪日してるからですね。

 国王は国会で立派な演説をされました。日本の家内もTVで見て知っていて、日本はちょっとしたブータン・ブームのようです。女性の話題はもっぱら王妃様の事のようで、銀座でユニクロに寄って、ピンクのサーモテックと黒のウルトラライト・ダウンを購入されたとか... ティンプーでも流行るかな?


大学のこと

2011年11月17日 | 海外ボランティア

 あまりインドのことばかり書いているとお叱りが来そうなので、大学のことを書きます。大学には一応毎日通って資料調べや、会議、学生のプレゼンレビュー、前期試験レビューなどに参加しています。

 学生の卒論中間レビューに参加した感想ですが、4グループほど電気・電子関連のテーマで卒論研究を進めているのですがその内容レベルはあまり高くありません。というのも、教授陣が今現在、自分の研究テーマというものを持っていないので、学生がそこら辺に転がっているテーマを適当に拾って取り上げている感じで継続的な学究的探求に基づく内容、といった感じが見られないのが現状のようです。ただ、先任の村松さんが指導しているグループだけは内容的に飛び抜けていて、しっかりした物になっています。また、レビューの進め方ですが驚くことに、教授陣が徹底的に発表している学生たちをヤッツケルというスタイルです。おいおい、そんな質問をしても答えようが無いでしょう、といった事をびしびし聞いて学生が返答に詰まる場面が多々ありました。また、指導教官までが同様な立場で質問するのにもあきれました。当方は企業で30年以上働いて来て、部下の育成や従業員の指導はまず”モチベート;動機づけ”が最重要だという頭が有りますのでなんともついていけない感じでした。

 また、前期最終試験が11月18日から開始されるに当たって、同僚同士で試験の相互確認を行います。私自身は今回は受け持ちは無いのですがこのレビューには参加しなくてはなりません。2教科・4試験ほど見た結果ですが特に留学帰りの若い教官の試験ではとにかくヤヤコシイ出題が多いのに辟易します。もともと、ブータンの教育は記憶、丸暗記が基本になっているので知識を詰め込んだものがここでの勝者な訳です。その勝者の先端が留学組で、彼らはとにかく教科書に書いていることは良く覚えています。しかし、ここでも言いたいのは実社会で必要なのは応用力であって、知識は丸暗記しなくても何時でもマニュアルを引けば出てくるという事です。もともと、丸暗記などということは無文字社会の語り部が最も得意とする技術であって文字の発明以来、紙がその代わりを務めてくれる様になっています。ましてや、誰もコンピュータと記憶力で張り合おうなんて無理な事は言わないでしょう。とは言うものの、サルも木から落ちる、出題の回答に計算違いが有ったのでしっかり指摘をしておきました。

 昨日はRUB(ブータン王立大学)の総長がこられてミーティングが有りました。総長はダショー(ナイトに類似の称号)ですが気さくな人物で且つ、実務的な内容の話をされていました。ブータンの全ての大学はRUBに統括され、今年の7月から独立行政法人の形態に移行しています。最大の問題は経費をどうするかという事で、日本の大学が数年前に蒙った事態がブータンの大学で起こっています。つまり、いままで全ての運用経費は政府が負担していて、大学はお金の心配などした事が無かったのに、7月からは自分の経費は自分で稼げ!と言われたので大変な訳です。こうなると、経費を削るかお金を稼ぐしかない訳で、ただでさえ教員が足りないのにどうすれば良いのか、と総長に迫る同僚もいました。この背景は良くは判りませんが政府の予算縮減とともに、大学にダイナミズム・実社会とのリンケージを深める、といった意味合いが有るようです。まあ、ブータンの大学もシャングリラの象牙の塔、という訳には行かないようです。


担当授業

2011年11月03日 | 海外ボランティア

 担当の授業ですが、着任翌日に学部主任と話をして、デジタル回路とオプト・エレクトロニクスを来学期から担当することにしました。先任の村松さんの話では、今まではボランティア着任当初は、スターターとして一授業のみの担当だったのが、講師数が不足しているので二教科割り当てになったようです。

 デジタル回路は村松さんも担当したことがあり、資料が揃っているようなので、それを拝借して進めようと思っています。オプトの方は前任者が居るのか、居ないのか?シラバスには記載がありません。私自身はデバイス屋で半導体と液晶はある程度解りますが、オプトデバイスやファイバーに関しては素人です。日本から本を手配などして勉強しなくてはなりません。

 ところで今は11月で前期講義の終盤です。前期の最終試験は11月18日から一ヶ月間ありその後、冬休みになります。後期授業が始まるのは2月からです。という事は、これから三ヶ月間は担当授業は無いという事です。早くボランティア活動を始めたい! (と言うのは、タテマエ....)

下の写真と本文とは何の関係もありません。 ただ、夕日がすっきり見えたので...


キャンパス紹介

2011年10月31日 | 海外ボランティア

 CSTでは毎週月曜日8:00AMより全校生徒と全教員が集まって朝礼を行います。朝礼は、まず長い読経から始まり、二分間の黙祷の後、生徒から選抜されたスピーカー(二名)がゾンカと英語でスピーチします。その後、学長から訓示、伝達があり終了となりますが、これ等に全部で一時間を費やします。どうも、ブータン人は長いスピーチがお好みのようで、聞いてるこちらはだんだん要点が解らなくなって来ます。我々もこの朝礼で学長から紹介され、新任の挨拶を行いました。最初ゾンカで挨拶したのと、ブータンに比べ、隣のジャイゴンはうるさくて汚いと感想を言ったらずいぶん受けました。学生の反応は日本でもブータンでも同じ様なものですね。

   

 上左が正門、次がおしゃれな学生寮、次が図書館、上右がグラウンドです。

  

 我々のオフィスは電気科のラボに個室をもらっています。あいにく、今日は霞んでいたのであまり良い写真が撮れませんでしたがCSTの有る丘からは、素晴らしいインドの大平原が望めます。