放送大学で健康に関する面白い講義をやってた。現代人の死亡原因のTOPはガンと心臓疾患・脳疾患を含む血管障害だね。脳血栓、心筋梗塞、脳出血、動脈破裂などの血管障害のリスク要因は血糖です。血液中の糖が血管壁をボロボロにして障害を引き起こす。この血糖値を下げる事で死亡原因を半分に減らす事ができる。
血糖値を下げるのはインシュリンの働きだと言う事がこの半世紀の常識であったわけだが、最近別のメカニズムで血糖値が下がる事が見つかった。AMPキナーゼの発見です。
地球上の全ての生物は運動エネルギーを同じ方法で得ている。ATP(アデノシン3燐酸)ですな。細胞膜にあるプロトンポンプが内外電位差でグルリと一回転すると3個のATPが出来る。逆にATPがリンを放出しATP->ADP->AMPと変化する過程でエネルギーを放出する。ATPは生体におけるエネルギー通貨という訳だね。ちなみに人は一日で100kg以上のATPを消費している。といっても、ATPサイクルが回っているので100kgが消えてなくなっているわけではなく膨大なATP-AMPの変化が常に細胞内で起こっていることを意味している。
AMPキナーゼは酵素の一種でATPがエネルギーを失った状態のAMPと結合して活性化される。その活性化したAMPKは細胞内GLUT4を細胞膜上に移動(トランスロケーション)し細胞のグルコース取り込み能力を上げることが判ってきた。
いままで知られていた血糖を消費するインスリン受容体経由のメカニズムとは別の、GLUT4経由のチャンネルが発見されたのだ。そしてそのチャンネル発現の条件が活性化AMPキナーゼでその活性化の条件がAMPなのです。
AMPは運動によってATPを消費する事で発生する。<- 言いたい事はこれだけです。
適度な運動は単にカロリー消費するだけではなく細胞そのものを活性化し、糖消費型の体質に変えることが分子生物学の観点から確認されたと言う事です。運動する事は長寿のための何よりの特効薬なのです。
さあ、長生きしたければ朝30分走ろう!