徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

憲法とは何か、を読んで

2012年07月10日 | 法律

 長谷部恭男の、”憲法とは何か”という本を読んで、色々と考えさせられたのでちょっと書きます。

 これを読んで、一番衝撃的だったのは、国とは何か?戦争とは何を目的にしているのか?愛国とはどういう意味か?という事がズバッと書いてあったことです。

 国と言えば緑の祖国と、そこに住む国民をを思い浮かべますが、ところが、実は国の実質は憲法であり、戦争は敵国の憲法を書き換える事を目的に戦う... これが著者の結論です。

 中世以前には憲法というものは無く、人は単一の価値観;宗教で括られていました。ところがヨーロッパではカトリックとプロテスタントの間で宗教戦争が起こり、血みどろの戦いが続き、この経験から、人には決して相容れない価値観があり、その個別の価値観の範囲である私的領域と、お互いに殺しあわないようにルールを決める公的領域を明確に分離する必要がある。これが近代立憲主義の出発点だと著者は言います。私的領域というのは言い換えると基本的人権で守られた、個人の自由の領域を指します。

 戦前の日本を考えると、全ての日本人は公私の区別無く皇室を崇拝し、人の生活領域のすべては、天皇との近接関係によって評価され、自らの良心に照らして自由に判断し、活動しうる領域は誰一人として持ち合わせておらず、同時に、誰もが上位者への服従と奉仕を名目として、いかなる行動をも正当化しうる社会、これが日本型ファシズムです。

 20世紀初頭に長距離高精度兵器の発達で、戦争形態がナポレオンの一点撃破戦略は不可能となり、敵を塹壕で包囲し殲滅する総力戦に変わってきました。そして、この変化により国民皆兵の必要が出てきた。逆説的ですが国民皆兵の前提は福祉国家なのです。戦争で死んでもらうために高福祉を保障する必要がある。

 この時期には世界に三種類の国家が覇権を争っていた。立憲主義国家、共産主義国家とファシズム国家です。そして、第一次、二次世界大戦を通じて立憲国家と共産国家が手を握りファシズム国家を倒し、その憲法を書き換えさせた。日本では日本国憲法だし、ドイツでは東西に分かれ立憲主義憲法と共産主義憲法に書き換えた。

 その後、長く冷戦が続いたがコンピュータ、インターネット等の情報技術の発達により共産国家は崩壊し東欧諸国、ロシアは自らの憲法を立憲主義に書き換え冷戦は終結した。

 つまりは戦争は相手の憲法を書き換えるために起ったというわけで、日本が押し付け憲法を貰ったというのも、敗戦の当然の結果なのです。

 最後に愛国とは何かという点、 国の実質が憲法であるなら、愛国とは現憲法を守ることだと著者は主張します。公務員は憲法99条で愛国者であることを義務付けられているし、愛国的な国民も憲法を守ることがそれに繋がるという事ですね。

 ブータンも近年、憲法が発布されました。これでやっと近代国家になれたわけです。

 


JICAの任国外旅行規定はやっぱり変でしょう

2012年07月08日 | 法律

JICA 海外ボランティアには下記のような任国外旅行という規定があります。

私事目的任国外旅行制度とは、ボランティアが休養や生活物資購入等の私事目的で自費により受入国外へ旅行する制度です。

旅行日数 年間:上限20 日

実施要件
1.配属機関からの文書による休暇の承認が得られていること。
2.ボランティアの活動上支障がないこと。
3.旅行先国及び経由地について、安全管理上又は外交上支障がないこと。
4.受入国到着日の翌日から起算して90 日を経過していること。
5.旅行の目的地がJICA の定める国であること。

申請と承認
在外事務所長等が実施要件を満たさないと判断する場合には、任国外旅行の取り止め又は日程・目的地の変更を命じることがあります。

かなり、色々な規制があって自由に旅行できる雰囲気ではないですね。

ところが日本国憲法には次のような条文があります。

 第22条 

 2. 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 これは 何人も海外渡航の自由を侵されない、と読み替えることが出来るのですが、それに対してJICAの規則の、特に太字の部分はずいぶんと自由を侵しているように見えるのは私だけでしょうか? 憲法は日本の最高法規ですのでこれを逸脱する事は出来ません。でも、JICAはこれを逸脱している... 憲法違反では? 皆さんの御意見をお待ちします。

 


日本食

2012年07月01日 | ブータン ライフ

 10ヶ月ぶりに日本に帰って何がしたいって、日本食を喰らいたいに決まってる... それがどうした、と言うかもしれないが、この人生で10ヶ月間完全に日本食から離れたのは生まれて初めての経験です。

 アメリカやヨーロッパ、台湾、中国、韓国、フィリピン、イスラエルと海外には出張で散々行ったけど日本食レストランが無い国なんて無かったし、大体が数ヶ月ごとに帰国が出来るのが普通だったのですが、このJCAのオペレーションに限って言えば、帰国は(不当な)規制が厳しくて、間々なら無いのです。 (一応言っておきますが、日本食が無くても生きていける性格です...)

 それで、帰国したらすぐ狂ったように日本食を食べ始めた。 というより、選ばなければ周りは全て日本食なんです。帰国して、ホテルに荷物を置いて最初の昼飯(日本食)は何だと思いますか?

 私の場合は、浅草の角の蕎麦屋でカツどん定食 肉厚の豚カツと蕎麦... 堪らん それから、夜はうな重と日本酒をグビッとやってラーメンで絞めて、朝はコンビニのおにぎりとドンベイ またまた昼は塩鮭弁当と鴨あぶりを徳川家邸宅跡を見ながら食べ、夜は江戸前鮨 

 意外とコンビニのおにぎりは旨い 一番旨いと言ったらバカにされるかな... でも、変なのがワサビ 全然利かない 寿司屋で文句を言ったら、お客さんこれ普通ですが、と言われた ブータンのトウガラシ三昧の生活が私の味覚を麻痺させてしまったのであろうか? 明日は野田首相も行った駒方どぜう でも喰らうか とにかく極楽ですね これ以上は山陰か九州で刺身の船盛りを頂くしか無い

 でも、計算してみると、日本食はブータン食の10倍以上のコストがかかるが、まっ良いか...


スカイツリーについて

2012年07月01日 | 旅行

 今週は野暮用があって日本に一時帰国しています。(この内容は別途報告予定) ところが今日は日曜日で所用が無く、暇だったのでホテルから歩いていけるところにある、開所早々の東京スカイツリーへ行って来ました。

 この塔、世界一の高さの電波塔という触れ込みですが、これはかなりインチキ臭い言い方で高さは634mで確かに電波塔としては最高かも知れませんが、ドバイのブルジェ・ハリファは塔を含めると828mでこれより圧倒的に高いし、あちらはビルです。とは言うものの、そばに行くと首が曲がらないくらいに見上げる事になります。この塔、パリのエッフェル塔やそれを真似した東京タワーなどとはかなり違う印象を受けます。100年間の技術進化がこの構造の違いをもたらしているのです。

 この塔、従来の構造と違い、高張力鋼管を現地で溶接して組み立てた、世界で最初の高層建築なのです。そして、その溶接は機械でポンと出来たものではなく一箇所一箇所、熟練の溶接工が手作業で繋ぎ合わせている手作りの芸術品のようなもので、あっぱれ技術立国日本の熟練の技と言いたくなる代物なのです。上の写真を見ると判るように、主構造物は東京タワーのボルト・リベット絞めでは無く、見事な溶接です。http://www-it.jwes.or.jp/we-com/bn/vol_1/sec_2/2-1.pdf それと、これ注意してみないと判らないのですが三本足なんですね。これを請け負った大林組は、この構造に古代中国の鼎の文字を充てています。

 それで、上から見た眺めはどうかと聞かれると困るのですが、7月10日までのお上りは完全予約制で、手ぶらで行った私は登れませんでした。それでブータン人よろしく、ツリーの周りをお経を唱えながら、時計回りに回って帰ってきました。それにしても、すごい人出です、みんな高いところが好きなんだね...