徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

裁判官はなぜ誤るのか

2013年04月24日 | 法律

”裁判官はなぜ誤るのか” というタイトルの本が岩波新書から出ている。

著者は秋山賢三、氏の略歴は1940年香川県生まれ、東大法学部卒、1967-1991裁判官、現在東京弁護士会所属 袴田事件再審弁護団、全国痴漢冤罪弁護団長、長崎事件弁護団長などを務める、とある バリバリのキャリアで且つ極めて良心的な法曹人です。この本は、よくある内情暴露本とは違い、真面目に現在の日本の司法の置かれている状況を淡々と書いてあり、是非一読をされたい。

第一章は裁判所と裁判官の生活を書いている。読むと裁判官も大変な様子だ。転勤の日々や忙しすぎる裁判官という項がある。 数字だけで言うと法曹一人当たりの人口は、アメリカで293人、イギリス679人、ドイツ763人、フランス1610人に対して我が国はなんと5986人らしい。桁が一桁違う。この状況の中で、裁判を効率的に裁かないと人事評価に関わる訳で、判決は自然と画一的、機械的なものになりがちだと書かれている。ただ、著者はこうも書いている ” 私は、現在の裁判官を取り巻く客観的状況の劣悪さを考えれば、日本の裁判官たちはむしろ「実によく頑張っている」と評価すべき側面が多いと考えたい。” と書いている。そのうえで、仕事と組織にがんじがらめにされた裁判官は「行政機関化傾向」にあり、次第にその傾向に釣りあった「俗吏」、「小役人化」した裁判官が増えてくることになる。と...

蛇足ですが、この先生パチンコがお好きなようだ。本文中2回ほどパチンコに言及している。ひとつは、先輩裁判官は日常の中で後輩を指導し、裁判官はパチンコなどするべきではない、などと小言を言う、とか判決文を考えていて行き詰ると、キーン、キーンという金属音が脳髄に良い刺激を与えるのでパチンコをしながら判決を考えるといった具合です。裁判官にも、なかなか人間的な面があるのです。

冤罪についても、有罪率で以下のような数字を挙げている。 イギリスでは、法廷で有罪を認めた場合には証拠調べなしに有罪とされ、無罪を主張した場合だけ審理され、そのうちの64%が無罪になっている。アメリカでは全刑事事件の12.8%が無罪、いっぽう日本では無罪になるケースはなんと0.1%なのである。いくら日本の警察が優秀だとしても、この数字には裏があるとしか思えない。

著者は徳島ラジオ商殺し事件や袴田事件、痴漢冤罪事件などの実例を上げて説明しているが、実際のところ日本の有罪判決は冤罪だらけだという印象を受ける。その原因のひとつは裁判所と検察の精神的癒着があると指摘する。我々素人は検察と被告人弁護士が法廷で対立して、裁判官は中立な立場で審理するものと信じているが、実際には (裁判所+検察) vs. (弁護士+法律) の構図だと指摘する。裁判所は検察の挙げた犯人を、忙しさや無罪判決の厳しさもあって有罪にしたがる、それに対して弁護士が法律と事実に基づき反論するという構図だ。

しかし、もっと言えば大半の国選弁護人は実際のところ、ほとんど何もしないのが実態のようだ。思い込んだ被告人を何がなんでも犯人に仕立て上げる検察、無罪判決を出したがらない裁判官、やる気のない弁護人 これらが揃って冤罪を生み出す。

 著者はこう書いている ”私は、日本人というのは、どちらかといえば、真犯人ならば「俺はやっている」と認める素朴な人びとが多いのではないかと考えている。...真犯人であるくせに、狂言で「俺はやっていない」と獄中で何十年間も叫び続け、しかも周囲にいる人間が、それを真に受けて援助活動をするなどということは、通常まずありえないことだと考えている。”

刑事裁判の原則は "疑わしきは被告人の利益に (in dubio pro reo)” である。しかし、日本では有罪率99.9%の現実がある。ここには、裁くものの論理と被告人の事実との間に隔たりがあると指摘する。松川事件でS裁判長は法廷で「やったか、やらないか神のみぞ知る」と述べた。この発言に対して被告人たちは「いや、違う。事実を知るものは被告人らだ。私たちだ」と答えている。

冤罪は他人事ではない。都市部に住む男性サラリーマンは常に冤罪の危険に晒されている。痴漢冤罪だ。痴漢は軽犯罪であり罪を認めれば5万円の罰金ですぐに釈放される。ところがやっていないので、やっていないと主張すると、簡単に3ヶ月間も留置場に拘留されるのだ。著者いわく、大体が痴漢の常習者は捕まるようなヘマはしない。捕まるのは初心者か無実の人だ、と。ただの普通のサラリーマンが突然逮捕され、留置場に長期間拘留される事になるのだ。

著者は言う ”否認して闘う被告人は、やっていない行為を「やっている」という虚偽の事実を認めることを拒否し、裁判で自己の無実を明らかにしようとしている。これは、彼らがいづれも日本の裁判所を信頼しているからにほかならない。” しかし、その被告人の99.9%に有罪判決が下る。あなたにも、その可能性があるのですよ...

 

 


ブログ アクセス

2013年04月24日 | 日記

世の中には知らない人もいるようですがブログを誰が、いつ見たかという事はすべて記録が残っていて、ブログオーナーはそれを参照できます。 実はここ数日、下記の2ヵ所からのアクセスが頻繁にある。よっぽど私のブログに面白いことが書いてあるらしい。

Network Information: [ネットワーク情報]
a. [IPネットワークアドレス] 219.113.255.160/29
b. [ネットワーク名] USTK8001-117
f. [組織名] シティユーワ法律事務所

Network Information: [ネットワーク情報]
a. [IPネットワークアドレス] 210.161.128.192/27
b. [ネットワーク名] JICA-GO-JP
f. [組織名] 独立行政法人国際協力機構

 弁護士殿がこのブログを覗くのは特に構わないが、税金で食っているJICA職員が職務中に民間人のブログを覗き見するのは如何なものでしょうか...


カーエアコン ガス補充 DIY

2013年04月22日 | 

先日気温が25℃を越える日があって、エアコンを入れたところ全く冷風が出てこないことに気がついて慌ててしまった。そこで車のボンネットを開けてエアコンガスの量をサイトグラス(下写真)で確認したところ白い泡だらけで、ひと目でガス不足と判った。

ガス漏れ(スローリーク)の大半の原因は冬場にエアコンを使わないことにある。エアコンガスにはコンプレッサーオイルが混入されていてガスと一緒に循環している。このオイルはパイプの接続部等に使われているOリングのシール剤の役割も兼ねていて、オイルが循環していないとシール効果が低下してスローリークを起こす。冬場もオートエアコンを付けっ放しにしておけばこの問題は解決するのだが、燃費は確実に落ちる。二週間に一度、5分くらいつけることで効果はある。私の場合はブータンに行っている間にオイルが落ちてリークしたものと思う。

ガスの補充をすれば解決するのは判ったがガソリンスタンドや修理工場に持って行くと5-6千円は取られるし、ガス漏れの原因を解決しないと入れても無駄だといって4-5万円のエアコンクリーニングをやりたがって煩いことこの上ない。そこでキットをヤフオクで購入して自分でガス注入をすることにした。購入したのはこれ(下写真)。フロンガスと追加オイルと注入ホースでしめて2150円

このコストの大半は注入ホースでフロンガス(HFC-134a)は390円、オイルは430円と安いものです。ホースはもちろん何回でも使用できる。スタンドで6000円もボッタクるガスが実は390円とはひどい話だ。

注入は実に簡単でボンネットを開けエアコン配管の低圧バルブ(L)にホースを繋いでシューと入れるだけです。

ここでの若干の注意点はホース内のガスパージ(繫いであるガスボンベを少し緩めてガスで空気を追い出す)と、絶対に高圧側に繋がないこと。注入量はサイトグラスで泡がチョロチョロになったらOKで、入れすぎは禁物ということぐらいです。あと、穴あけニードルは貫通した後戻さないとガスは出てきませんよ。

なお、多くのWEB記事ではエアコンガス補充には真空引きが必須で専門店しか出来ない、などと書いてあります。もちろん、ガスがスッカラカンで配管に水分を含んだ空気が入ってしまった場合には真空引きが必要ですが、普通はそこまで空になることは無く残留ガスが残っています。ガスが少しでも残っていれば大気圧に対して与圧になり、外部から空気が侵入する事はありません。まあ、普通は真空引きをしなくてガス補充をしても、問題ないと思います。

オイルは神経質に入れなくても問題は無いようですが、なんせ古い車なので念のため補充した。この車、平成10年型で古いのですが水平対向ターボ(250馬力)四駆のマニュアル・ミッションで、痛快な運動性能を持っているのに、女房殿は買い換えるならオAT・ノンターボだと強く主張しているので、とてもその気になれないで乗り続けている。

今回エアコンガスを補充したらキンキンに冷えた冷気が出てきたので、まだまだ現役でいけそうです。ああ、それと蛇足ですがガス交換のついでにエアコンフィルターも確認したほうが良いですよ。以前、5年ほどほっといたらゴミと埃にカビがびっしり取り付いて凄いことになっていました。フィルターが詰まると当然エアコンの効きは悪くなります。フィルターはAmazonで1600円位で売ってますので気軽に交換できます。

追記 : 

オイル切れによるガスリークの詳細情報が書いてあったので下記に追加します。年間10gというリーク量は、オイル切れが無いという前提での数値だと思います。エアコン不使用でオイルが切れるとリーク量はもっと増えます。

以下転載 

エアコン用コンプレッサには、エンジンの駆動力を伝えるための回転軸があります。この軸には、通常、リップシールという回転シール機構が使われています。ここからの漏れ量が約6g/年程度、またいくつかの継手から漏れ量をあわせると、年間平均約10g程度漏れます。

 

 


吉野山

2013年04月11日 | 旅行

春の陽気に誘われて、家内と奈良の吉野山に桜を見に出かけました。

今年は桜の開花が早く、例年だとまだまだの時期なのに吉野でも下のエリアは既に散り始めで花を追って上へ上へ登っていく羽目になりました。

駐車場のそばにある蔵王権現・金峰山寺が下の写真中央に見える場所にまで登りました。

吉野山は平安時代に役の小角が修験道の山として開き、桜を御神木として大切にし、寄進による植樹も多くあり今では全山が桜で被われています。

桜の種類は白山桜で、ソメイヨシノと違い開花と同時に葉が出ます。花の色もピンクというより白といったほうが良い色合いです。この桜に全山が被われる景色は本当に見事です。