徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

おじろく・おばさ考

2013年10月23日 | 文明

おじろく・おばさという風習が伊那の山村に昭和まで残っていたようです。(下添付参照) これは今村昌平の映画、楢山節考でも描かれていた、長男以外は嫁取りを許されず、一生独身で終わる一種の人口抑制制度の当事者を指します。一体何処の話かというと下図Aのあたり、諏訪湖を流れ出した天竜川が飯田を過ぎて山岳狭隘部分を流れる南アルプスと中央アルプスの接合するあたり、伊那谷での話です。

ここで興味深いのは、おじろく・おばさと呼ばれた人びとの精神状態です。

以下、引用

そんな奴隷的な状況が、ある種の精神障害をもたらすのだろう。おじろく・おばさは無感動のロボットのような人格となり、言いつけられたこと以外の行動は出来なくなってしまう。いつも無表情で、他人が話しかけても挨拶すら出来ない。将来の夢どころか趣味すらも持たず、ただただ家の仕事をして一生を終えるのである。 なにごとにも無関心で感情が鈍く、自発性が無くなった様子がうかがえる。

 この「おじろく・おばさ」の取材に先立ち、近藤は二つの推論を持っていたようだ。一つは、もともと遺伝による精神障害が多い集落であり、そのような人々がおじろく・おばさになるのではという説。もう一つは、気概のある若者は村の外に出てしまい、結果、無気力な者だけが残ったという説。しかしこの二つともが間違いであり、長年の慣習に縛られた環境要因によって、人格が変化してしまったのではというのが近藤の結論だ。彼らの多くが子供時代には普通で、20代に入ってから性格が変わってしまうというのも、その裏づけとなるだろう。

ここで示される精神状態は決して当人のもつ異常性から発したものではなく、社会的状況がそのような精神状態を引き起こしたという事。そしてそこで示されるものは、意識の希薄なただ命令に従って動くロボットのような状態。これはジェイソン・ジェインズの言う 二分心(Bycameral mind)そのものです。

3000年前、古代における人類は全員この状態であったわけで、それが20世紀・昭和の日本にも存在したという事になります。以前私のブログでコメントしたとおり、ポル・ポト時代のカンボジア人も二分心モードにあったのではないかと思われるのですが、これもほんの30年前の話です。 (下の写真はポルポト政権下で虐殺されたカンボジア人の遺骨)

そう、ヒトは比較的簡単に二分心に退行する可能性がある。太平洋戦争、戦時下の日本人の精神構造も或いはこれに近かったのかもしれない。ヒトの意識というのは実に底が浅く、一皮剥けば 二分心=精神分裂状態 がすぐに姿を現す。 おじろく・おばさの話から、そのような思いを深くします。

 近藤廉治「未分化社会のアウトサイダー」精神医学1964年6月号11頁以下


グラハンで肋骨が...

2013年10月21日 | パラグライダー

今日は天気予報によると北西の風2-4m晴れ、だったので伊吹山にパラを担いで出かけた。ところが9時に着いてみると2合目あたりまでガスが掛かってとても飛べそうに無い。入山リストを見ると10月14日以降誰も来ていない。校長曰く、今年は天候不順でダメだとのこと。

それでも風は良いのでパラを広げてグラハンをする事にした。ヒラメちゃんがスクールのイプシロン5(アドバンス)を貸してくれたので試しに立ち上げてみた。楽に立ち上がるのだが、なんだか反応がタトゥー(NOVA)に比べてもっさりした感じがある。Aライザーにはたったの二本しかラインが無い、おまけにライザーに磁石が入っているようで、勝手にくっついてしまうのも良し悪しでちょっと慣れるのに時間がかかる。ヒラメちゃんからは、DHV1-2で安全性が高いので乗り換えたほうが良いんじゃないって勧められた。しかし、山ノ神があかんね...

そのうちゲレンデはパワフル幼稚園児に攻め込まれてしまった。遠足ですね。斜面をダンボールに乗って滑り捲くっていました、元気だね。

ゲレンデの奥でグラハンを続けていたら、だんだん風が出てきて身体が持ち上げられるようになってきた。今日は新しいハーネスでグラハンをしていたのだが以前のと違いバックルは股の二箇所しかなくチェストバックルは無い(チェストラインは有ります)。 この場合立ち上げて前進加速する際にチェストバックルに体重がかけられないのでどうもやりにくい。やはり馴れないハーネスだと使う筋肉が違うようでへんな所が筋肉痛を起こしてきた。おまけに左下の1番目の肋骨側部がかなり痛い。地面に叩きつけられた覚えは無いのだがひび位は入っていそうな痛さだ。肋骨は以前自転車転倒で折った事があるが、ギプスが出来ないので、ほおっておいて直るのを待つしかない。治るまでの間、くしゃみをすると泣けることになります... 肋骨は痛いし、雲は掛かったままだし、風も強くなってきたので昼過ぎに下山する事にした。

ところが、その後は下の通り、帰るの早まったかな...

ちなみに肋骨骨折で病院にいくと医者は骨折の点数が高いので喜んでレントゲンを取ったりするが、結局手当てとしては鎮痛剤を飲まされて我慢するだけなので、医者にかかるだけ無駄です。ただ、たまに折れた肋骨が肺や肝臓に突き刺さったりする事も有るそうなので、その場合は入院かな

 


熱帯低気圧の分布

2013年10月14日 | 地理

台風の件でWikiを見ていたら面白いデータがあった。1980年から2005年までの全熱帯低気圧の軌跡です。

これを見ると我が台風は世界で一番密度が濃いことが一目でわかる。次に多いのはメキシコ湾のハリケーン。意外だったのがメキシコの太平洋側で高密度に発生している様子だ。これもハリケーンと呼ぶのだろうか?

赤道付近を見ると帯のように空白地帯が続いている、赤道収束帯だ。赤道付近ではコリオリ力が無いため台風が起らないらしい。確かに北半球では左回りで南半球では右回りの渦が出来るが、赤道付近では打ち消しあって渦が出来ない道理かな...

南半球でも2ケ所ほど熱帯低気圧の空白地帯がある事に気づく。南アメリカ大陸の両岸沿いだ。実は良く見るとブラジル沖に一本だけ軌跡がある。これは2004年に発生したカトリーヌという低気圧でこの地域で史上初めて観測された熱帯低気圧(?)とされている。さて、なぜこの2ケ所で熱帯低気圧が発生しないのでしょう?

ひとつの理由は海水温にある。熱帯低気圧は海水温27度以上で発生する。下図は世界の海流を示しているが大陸西岸は地球の自転方向により寒流が流れる。チリ・ペルー沖のフンボルト海流とアフリカ西岸のベンゲラ海流がこのエリアに流れ込み海水温を下げているのが熱帯低気圧が発生しない理由だ。、

ただ、それではブラジル沖のブラジル暖流エリアで熱帯低気圧が起らない理由が解らない。熱帯低気圧の発生要因として海水温と地表と上空の気流が揃っていることが条件とされているがブラジル沖ではその条件が崩れているのだろうか?だれか知っている人がいたら教えてください。


今年は台風多発

2013年10月13日 | 物理

下の写真は本日(2013/10/13)の全球赤外衛星写真ですが、見事に3っの熱帯性低気圧(台風x2+サイクロン)が並んでいます。台風は低緯度海域から高緯度地域への熱輸送ポンプの働きをしていて、これが無ければ地球はとても住みにくい星になってしまいます。しかし、今年は台風の発生が多い...

追記 ちなみに写真左のサイクロンについて以下の記事が出ていました。

インドに大型サイクロン、最多の90万人避難

 【ニューデリー=田原徳容】インド東部オディシャ州に12日夜(日本時間13日未明)、大型サイクロン「ファイリン」が上陸した。

 2005年に米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」級の規模で、甚大な被害が懸念されたため、政府は過去最多の90万人以上を事前に避難させる未曽有の対策を講じた。関連死者数は13日午後現在で7人で、同州首相は「事前の避難措置の徹底が人的被害を最小限に食い止めた」と述べた。 インド東部では1999年、サイクロンで8000人以上が死亡し、減災対策が課題となっていた。
(2013年10月13日19時36分  読売新聞)