フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

「私には何の悔いもない」 NON, JE NE REGRETTE RIEN

2007-02-11 00:22:27 | MUSIQUE、JAZZ

LE POINT の2月1日号にエディット・ピアフの特集が出ていた。

エディット・ピアフ Édith Piaf (19 décembre 1915 - 10 octobre 1963)

彼女を発見するきっかけになったのが、"Non, je ne regrette rien" であることはこのブログでも書いたことがある。それまで名前だけだったこの大歌手が、突然自分にとって意味のある存在になったその瞬間のことを。

今回の記事は、Olivier Dahan 監督による彼女の映画 "La Môme" (このサイトで予告編、写真などが楽しめます) が2月14日から公開されるのを機に組まれた13ページ及ぶ大特集である。すべてはカバーしきれないので、私にとって因縁の曲を作った現在77歳の方がピアフを語っているところだけをつまみ読みしてみた。

シャルル・デュモン Charles Dumont (1929 -)

「私がピアフに会ったのは、まだ30歳の時です。それまでに、ダリダ、コレット・ルナール、ティノ・ロッシ、アニー・コルディなどに曲は書いていました。いつも彼女に曲を書きたいと思っていました。私にとって星のように輝くものでした。おそらく私だけではなく、フランスそしてナバラのすべての作曲家にとってもそうだったでしょう。

  "C'était pour moi l'étoile. Pas seulement pour moi, mais pour tous les compositeurs de France et de Navarre."

ミシェル・ヴォケール Michel Vaucaire が "Non, je ne regrette rien" を作った後、1960年10月5日午後5時、ランヌ街63番に行くと彼女の秘書が迎えてくれた。彼女がお風呂に入っていたので、一時間待つことになりました。私が弾き終わった後、彼女はこう言いました。『この曲を書いたのは本当にあなた?』 そしてこう付け加えました。『あなたが書いてくれたこの歌は世界を駆け巡るでしょう』と。

  "Est-ce que c'est vraiment vous qui avez écrit ça ? Jeune homme, cette chanson que vous m'avez écrit, elle fera le tour du monde."

私は家に帰って狂喜していました。彼女はその夜電話もしてくれたんです。それから朝の2時まで弾き続けました。オランピア劇場の支配人ブルーノ・コカトリックス Bruno Coquatrix が是非自分のところでやってほしいと懇願に来ました。彼女は "Non, je ne regrette rien" という曲があると言って、それから3ヶ月間オランピアで公演をしました。その舞台で歌う前に曲の作者を言ってくれるのは彼女だけでした。・・・それから私の人生は変わってしまいました。エディット・ピアフに会わせてくれたことを神に感謝しています」

  "Sur scène, il n'y avait qu'elle qui, avant d'interpréter une chanson, annonçait le nom de l'auteur....Ma vie en a été changée. Je remercie le bon Dieu, si on y croit, de m'avoir fait rencontrer Edith Piaf."

-----------------------------
この中で、彼女のアパートで 「一時間待った」 という意味で、彼は "On a poireauté une heure." と言っている。poireau (ねぎ) の植わっている姿が待つことを連想させるのだろうか。rester planté comme un poireau, faire le poireau という表現もあるようだ。

コメント (14)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 老子を読み、翻訳を考える QU... | トップ | 全的に考える PENSER D\'UNE... »
最新の画像もっと見る

14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
カレーラス (paul-ailleurs)
2007-02-13 20:55:43
カレーラスは骨髄移植までして病気を克服して復帰された方と記憶しておりますが、3大テナーの中では一番弾力と色気がある声の持ち主だったような印象があります。20年ほど前に聞いたきりで、最近は残念ながらその機会に恵まれておりません。

返信する
モンタン (ミコ)
2007-02-13 09:53:20
大事なお時間をお取り下さり、申し訳なく感謝いたします。

訳して頂いたその通りです。健康を害していますので、明日は移ろいやすい希望でもあります。

昨秋モンタンの最も素敵な舞台写真を専門家にA4判大にコピーしてもらい、額に入れ、玄関に飾っています。見て頂きたいほど、モンタンの呼吸が聴こえてきます。オペラ歌手ではカレーラスでミーハーですが、まだ無名に近い頃大阪公演を聴いて以来ですから、年季はちょっと違うと”自負”しています。

有難うございました。
返信する
haïku (III) (paul-ailleurs)
2007-02-13 00:00:20
今回の句は解釈が難しく困りました。枯葉を聞きながら今日から明日への時間を過ごす?というようなことかと想像しましたが、、、そのため直訳になってしまいました。

 モンタンの枯葉でめくるけふと明日  ミコ

  sur "les Feuilles mortes" de Montand
   je tourne
    aujourd'hui et demain

  (Miko; traduit par paul-ailleurs)

返信する
merci pour vos précisions (paul-ailleurs)
2007-02-12 20:35:57
句会のような感じなってしまいましたが、作者のお気持ちを聞くことができ、少しほっとしました。今回の特集にもピアフとコクトーの囲み記事が出ていました。まだ読んでおりませんが、、。いずれモンタンについてのお話を紹介していただければ幸いです。

返信する
俳句 (ミコ)
2007-02-12 11:54:06

勿論深夜ピアフを聴きながらの勝手な心境です。

俳句は自分を主語とする短詩と言われており、ここでは封印の溶けゆくのを感じているわたしが主語という訳です。

それにシャンソンを辛うじて口ずさめるのは、モンタンになったつもりの「枯葉」くらいです。越路吹雪や岸洋子ら、いえ本場歌手も含め「愛の賛歌」の真髄を歌える歌手は居るのでしょうか?ピアフの死を知ってジャン・コクトーがショック死したエピソードもあまりにも有名です。

また、折をみてモンタン秘話もご披露出来たらなあと思います。たびたび拙句への訳有難うございました。


  
 モンタンの枯葉でめくるけふと明日  ミコ
返信する
une nouvelle interprétation (paul-ailleurs)
2007-02-12 10:20:41
ミコ様へ

昨日のピアフの俳句ですが、ピアフが歌うのを聞いて心が開いていったと読んで仏訳しましたが、Nao様からピアフを歌っているのはご本人ではないかとの指摘があり、そう考えた方がすっきりするのではないかと思い、そちらの解釈でも訳してみました。

  en chantant le Piaf
   mon coeur se descelle
    le deuxèime mois de l'année

  (Miko; traduit par paul-ailleurs)
返信する
正確な解釈ありがとうございます (paul-ailleurs)
2007-02-12 10:05:38
確かにミコさまが歌われたと解釈する方がすっきりすることに気付きました。正確に読んでいただきありがとうございます。訂正したものを出したいと思います。
返信する
Unknown (NAO)
2007-02-12 09:44:27
ミコさんの「ピアフ歌い」はミコさんがうたつたのではないでしょうか?仏訳ではピアフがうたうことになりますが、これは当然お考えの上でおつくりになられたのでしょうか?あるいはミコさんがうたつたのではなく、ピアフをきかれたということなんでしょか?こんなこと問題にするほうがおかしいんでしょうか?コメントのコメントです。ミコさま、ポールさま、すみません。
返信する
haïku (II) (paul-ailleurs)
2007-02-12 00:19:52
東風吹かば千のシャンソン歌ひ舞ふ ミコ

 le vent d'est souffle
  un millier de chansons
    chantent et dansent

  (Miko; traduit par paul-ailleurs)
返信する
firefoxで (paul-ailleurs)
2007-02-11 21:43:35
フランス語の文字化けですが、ブラウザをInternet Explorer にしていた時はありましたが、Firefox に切り替えてからその問題がなくなりました。お試しください。

新しい俳句、ありがとうごさいます。

返信する
続ピアフ (ミコ)
2007-02-11 20:46:30

  Mercibeaucoup

以前からお聞きしようと思ってたのですが、仏文に醇という文字が時折入ります。訳して下さったのにもあります。eかiにアクサンがついてるのでしょうか?ポールさんが開かれて治っているのなら、難問題ですね。

調子に乗ってーー

  東風吹かば千のシャンソン歌ひ舞ふ ミコ
返信する
haïku (paul-ailleurs)
2007-02-11 17:03:42
試みですが、先ほどの俳句をフランス語に移し変えてみました。

ピアフ歌ひ封印溶けゆく如月かな   ミコ

  Piaf chante
   mon coeur se descelle
    le deuxèime mois de l'année

  (Miko; traduit par paul-ailleurs)

ありがとうございました。

返信する
ピアフ・モンタン・グレコ (paul-ailleurs)
2007-02-11 16:26:37
Le Point の特集に、小さなピアフを持ち上げてキスしているモンタンの写真が出ていますが、そこに面白いエピソードがありました。40年代にマルセイユから出てきた Ivo Livi が Yves Montand になる過程で、ピアフが彼のマルセイユ訛りや舞台での立ち居振る舞い(大げさな身振り、早足で舞台に出ていくこと)などを容赦なく突いた時、最初反抗していた彼は自らの成功のためにじっと耐え、彼女の言うことを実行に移して行ったようです。

グレコと言えば、2-3年前でしょうか。何を思ったのか彼女のコンサートに出かけました。その時、会場のシャンデリアが大きく揺れるかなり大きな地震があり、どうして来てしまったのかと思った記憶があります。そのためか、彼女の歌の印象が薄れてしまっているようです。
返信する
ピアフ (ミコ)
2007-02-11 15:02:32
 
 毎日のようにお邪魔してご免なさい。3日夜のNHK放送「ラジオ深夜便」の2時からがピアフとグレコの特集でした。精神性を秘めた歌唱の彼我の違いは歴然で、あらためてピアフとモンタンとの交流の日々などに思いをいたしました。

モンタンの来日は2度ともライヴを聴いてますが、晩年の82年の方がはるかに深い印象を残しています。グレコの記者会見で、わたしの顔を見ながら彼女が「あなたの歯並びはフランスでは幸せのシンボルなのよ」と言ったのですが、意味も判らず、その後矯正しました。今でもグレコを聴くと、あの初来日だった彼女の立ち居振る舞いをつい思い出します。

 ピアフ歌ひ封印溶けゆく如月かな   ミコ
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

MUSIQUE、JAZZ」カテゴリの最新記事