フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

オリヴィエ・アサイヤス自伝から UNE ADOLESCENCE DANS L'APRES-MAI

2005-09-23 19:04:40 | 映画・イメージ

今年の夏、映画監督のオリヴィエ・アサイヤスが自伝を出したことを雑誌で知った (11 août 2005)。少し前から読み始めているが、これまでにいくつか興味を引くお話が出ていた。

« Une adolescence dans l'après-Mai » (Ed. Cahiers du cinéma)

彼の話を聞いた時には30-40代かと思ったが、1955年生まれというから今年50歳になる。父親は1911年にユダヤ人家庭に生まれ、ミラノで育つ。ムッソリーニのイタリアでファシズムと戦い、終生その姿勢を貫いた。30年代にパリに出て、映画界の共産主義サークルに近づく。40年に、アルゼンチン人であった最初の妻の助けでビザを得て、翌年春にマルセーユからマルティニークに船出する。その船には、レヴィ・ストラウスやアンドレ・ブルトンなどナチに抗する芸術家が乗っていたらしい。5年後ニューヨークを経てパリに戻る。56年のハンガリー革命の抑圧を見て、共産主義との関係を絶つ。

彼の母親はハンガリー人で貴族と結婚して子供が一人いたが、46年にハンガリーが共産主義化されたのを機に亡命。彼の父親と結婚してフランス国籍を得る。彼女の素朴さ (la simplicité rustique)、揺るぎない良識 (l'indestructible bon sens)、発言の露骨さ (la crudité du propos) などは彼の性格に大きな影響を及ぼしたと感じているようだ。

68年5月に彼は13歳になっていた。子供でもないし思春期にも達していない不思議な年齢。彼は社会で起こっていることを文字通り遠くから見ていた。7月に私が訪ねたパリの南のシュヴルーズ (La Vallée de Chevreuse) に住んでいたのだ。以来そんなに訪れているわけではないのだが、今でも自分の家に戻ったような落ち着いた気分になる唯一の場所がこの町だと言う。何という偶然だろうか。

(à suivre)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする