フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ブルトゥイユのシャトー CHATEAU DE BRETEUIL

2005-07-03 23:39:59 | パリ・イギリス滞在

昨日はMDのお宅に招待を受けた。パリを車で南に下り、50分ほど行ったところにある中世の街、シュヴルーズ Chevreuse の森の中に彼の家はあった。フランス語の先生をしている奥さんの出迎えを受け、その素晴らしい家を案内してもらう。パリでは到底手に入らない大きさなので気に入っているようであった。今回驚いたのは彼自身が彫刻や絵などをやっていて、その作品を家に飾っていることだった。中にはコクトー張りのものや目の錯覚を利用した見る位置を変えることによりものが動いて見えるもの、コカコーラのボトルを処理して不思議な形にしたり、女性を表現した作品などがあった。パリに住んでいたらこういうことをする気にもならないし、作業スペースの面でも無理だっただろう、と郊外に住む利点を説かれた。あなたもパリ郊外に家でも買って移ってきたらどうだ、などと冗談を言っていた。

早速フランス料理を意識したという昼食をいただいた。シードルを飲みながら、サラダ、ラパンと野菜の煮物、それから赤い果物4種の組み合わせ (fruits rouges? と言っていたようだ) にアイスクリームと焼いたばかりの la langue-de-chat という口当たりのやさしいクッキーがデザートに出された。それから庭に出て、トルコ・コーヒーを飲みながら、これからの予定を説明される。この近くの中世から 16-17 世紀にかけての街を数ヶ所回った後、Château de Breteuil でゆっくりするとのこと。Dampierre と Choisel の名前が頭に残っている。

中世の建物のなかで生活している人、廃墟に近い教会の墓地では大人と分けて埋葬されている子供の墓や過去の大戦で亡くなった人の墓(この小さな町で第ニ次大戦で3-4人の戦死者だったのに第一次大戦では30人くらいが死んでいる、それだけ guerre 14-18 が激烈だった証だと彼は言っていた)、中世に使われていたという小川の脇に作られた洗濯所など、を見た後、目的地のシャトーへ。フランス庭園の特徴を持った、左右対称できれいに刈られている木や植物が広い空間に置かれている。解放感がある。2時間ほど庭園の中を歩いた。ここは日本人にも人気の場所らしい。日本語のパンフレットもあった。どういう訳か、当日は人をほとんど見かけなかった。さらに庭の周りは野生の森が広がっている。下まで行ってみないかと言うので森の中を3時間ほど歩いて帰ってきた。

帰りにミッテランの友人でもあったという作家のミシェル・トゥルニエ Michel Tournier (1924-) が近くに住んでいるというので、その家に立ち寄ってくれた。

お宅にたどり着い時はすでに8時を回っていたので失礼しようと思ったが、夕食をとってから帰らないかということになり、もうしばらくお邪魔した。夏に庭で食事をするのが楽しみだと言っていたが、確かに気持ちがよい。どんな音楽がいいかと聞くので、古いもの、例えば中世の音楽はどうだろうと言うと、流れ出した音楽が先日中世美術館のコンサートで聞いた Cantigas de Santa Maria だったのには驚いた。その音楽を聴きながらゆったりとした週末の夜を過ごした。さらに別れ際に奥様がギリシャ・ローマの神話についての本(学校でも使っているという)をプレゼントしてくれたのには、朝訪れたモロー美術館で感じていたことを見透かされているようで驚くと同時に、感激した。やっと暗くなりかけた10時過ぎにお宅を失礼した。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ギュスターヴ・モロー美術館 ... | トップ | 出会い RENCONTRES AVEC DES ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

パリ・イギリス滞在」カテゴリの最新記事