フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2014年11月①

2014年11月01日 | しゃちょ日記

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2014年11月15日(土)その1912◆迷わず買いっ!

きのうは、赤坂見附のフラメンコ衣裳ソニアジョーンズの移転リニューアルのパーティー。

新店舗は旧店舗から歩いて1分なんだが、
迷子になったところをバイラオーラ小林理香ちゃんに救ってもらった。
到着すると会場は美女たちの群れ。すぐに村松夫妻に乾杯の音頭を頼まれたが、
音頭をとるタイミングをまつがえた(汗)。
おまけにオレだけフライングで呑んじゃってるし。

そのあとすぐ、まさかの今枝友加ミニライヴで、こりゃ大変な儲けもんだった。
明日発売の彼女のファーストCDも無事出来あがっていた。
すでに聴いたがこりゃ凄いよ、迷わず買いだっ!

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2014年11月14日(金)その1911◆翔べ、タカミツ!

あのタカミツ(石塚隆充)がオペラ出演!
          
あす土曜は日生劇場、待ちに待ったガルシア・ロルカ『アイナダマール』。
タカミツ最新CDの日本語タンゴスや津軽恋女(ルンバ)なんかは、
アイポッドに入れて毎日のように聴いてる。
オール・ロルカのプレコンサート(写真)ではカマロンなんかも歌いまくったが、
今年もっとも楽しんだ爆裂ライヴだったな。

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一般音楽シーンでいつブレイクしても当ったり前の底力を彼は持っている。
そこにタカミツを送り出したい。
フラメンコ全体にも灯りが射すからね。
そういうウィンウィンな循環には、アフィシオナードの応援がもうちょい必要だ。

さてこのロルカ公演、フラメンコからはギターの智詠とフェルミン・ケロル、
カホンの朱雀ハルナが出演。
オケは広上淳一指揮(←うまいよこの人)読売日本交響楽団。       
終演後は懐かしい戦友と呑み会。   

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2014年11月14日(金)その1910◆二極同居

わずか一音で聴き手のハートを震わせる。
ロマンティックを極めるその音色は、セゴビアトーンと呼ばれた。

クラシックギターの巨匠アンドレス・セゴビアはそういう怪物だった。
すべての録音を収集し、晩年の来日公演(新宿文化大)にも駆けつけた。
作曲者や作品の意図はまるで無視のセゴビア節。
コンパスなんかもしっちゃかめっちゃかで、ただし、
その歌心と音色に人々を感動させる強烈な魅力がある。
ああ、あのポルタメントの甘い官能!

そういう個人芸名人芸の世界の他方に原善伸という、
普遍性に充ちたギタリストがいる。
皆がセゴビアを追う中、原は音楽の源流に挑んだ。
ドイツの国立音大を主席で卒業した彼は、
音楽の本質と構造を徹底的に解明した上で、己の生命力を吹き込む。
作曲者や作品が望むヴィジョンはものの見事に反映され、
その音楽は過去から未来を展望しながら輝かしい生命力を帯びる。

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〝鬼平〟の池波正太郎なら迷わずセゴビアを選び、
〝この国のかたち〟の司馬遼太郎なら迷わず原善伸を選ぶだろう。
伝承不可能な名人芸にほとんど興味を持たなかった司馬遼太郎は、
未来に伝承できるであろう精密なシステムと普遍性を愛した。
永らく池波派だった私が、司馬派にも所属したきっかけは、
原善伸の弾く〝アルハンブラ〟だった。
そのギターはスペイン的でなく地球的だった。

これらラッキーな相乗体験は、自分のライフワークに選んだ
フラメンコの出版事業に大きな影響を与えたものと想われる。
そのわりに大した仕事もしてないのは実に不思議でありまた残念でもあるが、
少なくとも人生の楽しみ方だけは格段に上達したものと想われる。

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2014年11月14日(木)その1909◆ショーシャンク

『ショーシャンクの空に』。

フラメンコに惹かれる人の多くは、この映画も好きなんじゃなかろうか。
ついでに云うと、私を捨てた女たちもみんなこの映画が好きだった、、、
うっ、やっぱり云うんじゃなかった。

取材対象に座右の銘、血液型、愛読書、好きな映画などを
お聞きするのは私のルーティンなんだが、
ついこないだ信念のリサイタルを成就した土井まさりさんも、
やはりショーシャンクを一番に挙げた。

あのラスト近くの雨のシーン。
ああいうヴィジョンを自力で目指せるならば、
人はどうやら生きていける。
あの〝シジフォスの神話〟の如く、
その達成は実は次なるショーシャンクの始まりなわけだが、
それらを飽きずに繰り返すのが人間の宿命かつ希望であり、
神の意図がどうあろうと、また、冒険の結果がどうあろうと、
淡々とこれを楽しむことこそ暮らしの中の最良の知恵なのだと想う。

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だからと云って、雨の日の社長室(=屋上)で、
このポーズで一服する最近のマイブームを100%自己肯定するわけでは決してない。   

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2014年11月13日(水)その1908◆本能的教養

「教養」

キザでアホな夢。
近年はそんなイメージなのか、ほとんど死語になっている。

だけど、昔も今も、私はそれが好きだな。
鴎外・漱石なんかの腰の入った教養は人生の座標軸となり得るし、
それと、フラメンコは〝本能的教養〟だと想えるから。
とりわけ、行動と直結するこの人の教養の普遍性。

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2014年11月12日(火)その1907◆カード遊び

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「カード遊びをする二人の男たち」
   
年齢とともに、その好ましい落ち着きが募りくるセザンヌ。
何ともないようでいて、この世を肯定するような深く懐かしい響きがある。

何かがマイナスされている。
その引き算は例えば、伝統的な生々しい遠近法。
さらに、時の激動を嫌うスタンスは確かに視える。

ところでこの二人の老紳士は、どんなカード遊びをしているのだろうか。
男性オンリーなので、〝ばば抜き〟ではないかと推測できる。

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2014年11月11日(月)その1906◆未来にリーチ

いわゆる〝流行〟が苦手なのは、生来私がヒネクレ者だからだろう。
つまり、無理やり周囲の流行りに合わせるのがちょっとしんどい。

また近ごろは、ある時期の特定の〝古典〟に執着することも少なくなってきた。
最近の興味はどーやら、現在・過去・未来を自由に行き来するものに向いているらしい。

現在と過去を充たしながら未来にリーチする何か?           
まあ、そんな意味ではパセオも捨てたもんじゃねーかも。

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次号(11/20発売)のウリは、小倉編集長渾身、
今枝友加と吉田久美子の若手ビッグ対談。
表紙と列伝はパストーラ・ガルバン。
本田恵美(しゃちょ対談)もガッツリおもしれーぞ。
ラストにしゃちょ日記読んでガッカリしてくれ。

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2014年11月10日(月)その1905◆仲よき

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いろいろあるが、ま、基本これだわな。

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2014年11月10日(月)その1904◆しておく

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うーん、84歳にしてこのしなやかさ!

「しておく」っていう、現在進行形的な祈りが好きだ。

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2014年11月10日(月)その1903◆運命

「運命はその人の性格の中にある」 (芥川龍之介)

うーん、いまさら知っても手遅れなのが惜しい!

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2014年11月9日(日)その1902◆淡きがゆえに

「初フラメンコがカルメン・アマジャ」みたいなもので、
その原体験があまりに凄すぎると、
その呪縛から抜け出すことはなかなかに難しい。

のだめ以来、ずいぶん知られるようになったラフマニノフのピアノ協奏曲第二番。
高校時代にハマって、以来そのLPやCDを買い漁り続けたが、
最初に買ったモノラル廉価盤LPがリヒテルの超名盤だったので、
なかなかそれを超えてくれるものが出なくて困った。

ロマンティックなそのラフマニノフが古い洋画に使われていることを知り、
名画座に足を運んだのは二十代半ばのころ。
『逢びき』(1945年イギリス映画)という、
結ばれることのない双方既婚者同士の淡い純愛物語。
日本の『曽根崎心中』に比べればずいぶんと品のいいお話だが、
その淡きがゆえに〝ものの哀れ〟が痛く濃厚な点は共通している。

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同じ頃、惚れに惚れ抜いた憧れの女性の暮らす家を観に行ったことがある。
そんなことは後にも先にも一度っきりの愚行だが、
それはそれは噂通りの豪邸だった。
おまけに彼女は既婚者であり、また小さなお子さんもいた。
当然片想いだったが、敢えて観に行ったことで、半分くらい吹っ切れた気がした。
永い歳月を経ればそれもまた美しい想い出であり、
そんな回想に寄り添うようなラフマニノフの二番、
殊にその第二楽章アダージョの哀切なメロディが
ドタバタに過ぎた青春に一点の潤いをもたらす。

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2014年11月9日(日)その1901◆時代

「セフレになってもらえませんか?」

家のななめ前、地元行きつけ女将トモコ(独身/自称・山口百恵)が、
イチゲン客にこう口説かれたという。
真面目そうで、そこそこイイ男の〝変態紳士〟風なのだが、
話がつまらないのでピンと来ないのだという。
話とセックスは別物だろうと、彼女の幼なじみの超美女アキコがけしかける。
そのとーり、やってみなけりゃ分からん。

で、やったのか?と、腕も心も達者な女将に問うと、
いまだペンディング中なのだと云う。
な、なんだと、この優柔不断ががが、き、貴様それでも軍人かあ!
と叱る筋合いでもないし、またトモコは軍人さんでもないので、
やさしく穏やかに率直に、こう私は感想を述べた。

「ふっ、見損なったぜトモコ」

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2014年11月9日(日)その1900◆瞬間マニア

「人生は呼吸の数で決まるのではなく、
 どれだけハッとする瞬間があったかで決まる」

そんな瞬間を感じたいがために、今の商売を選んだ。
布石屋的で飽きっぽい私が、それでも31年続いてるのは、
フラメンコには常にそんなシーンが充ち満ちているからだ。

最初にそういう手応えの感触を知ったのは、
中学~高校にかけて熱中した将棋だ。
プロにはなれなかったが、「ハッとする瞬間」をつかまえるための方法論は
〝きびしい勝負〟という日々のトレーニングを通じて、
多少は身に着いたかもしれない。

今日は久々に、日曜午前のNHK将棋トーナメント観戦。
スポンサー(主に新聞社)の経営危機と、
コンピューター将棋の急激な追い上げというダブルパンチを喰らう将棋界だが、
志の高い極めて優れた頭脳集団ゆえ、
未来につなげる〝次の一手〟をきっと発見してくれることだろう。

午後からは仕事。山のような実務が待ち受けているが、
自分を必要としてくれるパセオがある限りは、
フラメンコの未来につなげる〝次の一手〟の発見に熱中できそうな気もする。

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2014年11月8日(土)その1899◆〝あな〟が好き

 山のあなたの空遠く
 幸い住むと人のいふ。
 ああ、われ人と尋めゆきて、
 涙さしぐみ、帰りきぬ。
 山のあなたになほ遠く
 幸い住むと人のいふ。
                (カール・ブッセ/上田敏訳)
                  
諦観と受け取ることもできるし、
また『青い鳥』的解釈も可能なところが、この詩の人気の理由だろう。
歳を重ねるごとに、その両面性のそれぞれの意味を噛み締めることになる。

ところでこの詩人ブッセは、本国ドイツよりも日本のほうがはるかに有名。
その理由は、な、なんと日本の落語家にある。

「山のあな、あな・・あなた、もう寝ましょうよ」と冒頭の一節をパロる、
二代目三遊亭歌奴(後の三代目三遊亭圓歌)の爆笑落語『授業中(山のあな)』は
1960年代に一世を風靡した。
「圓歌は〝あな〟で落語協会会長になった」と、鈴々舎馬風は断言する。

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2014年11月7日(金)その1898◆癒しの正体

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「実は気性の烈しい人だったと想うんだ」

物事の本質を瞬時に見抜き、誰に対しても穏やかに優しかった本間先生を、
入魂のフラメンコギターで知られる三澤勝弘さんはある時、意外なことにこう評した。

まだまだ渡航が困難だった半世紀も昔、サブロー師匠は単身スペインに乗り込んだ。
やがてマドリーのタブラオに出演する師匠(その頃の写真)は、
云わばフラメンコ修業のパイオニアである。

三澤さんの分析はおそらく正しい。
そして、その〝烈しさ〟を〝癒し〟に変換する覚悟と実践。
私の中に生き続ける師匠はつまり、
ダメ過ぎる弟子に、さり気なくそれを教え続けている。

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2014年11月6日(木)その1897◆師を偲ぶカラオケ

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「こんどの木曜会はカラオケ行こーよ。
 本間(サブロー)先生のレパートリーをみんなで歌おう!」
              
遠征呑み会からの家路、湘南ライナーのボックス席で、
あのチョー人格者バイラオーラ鈴木眞澄がいきなり吠える。

照明の井上巨匠も、田代の淳ちゃんも、このオレも、
みんなイッキに引いたが・・・
今日がその日だフォー! ( ̄▽ ̄)

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2014年11月5日(水)その1896◆この世の不思議

〝この世の不思議〟を肴に、ヒデノリ、サトル、ツトムらとわいわい呑む。

霊的体験、空飛ぶ円盤、ユダヤ陰謀説・・・
あーでもねえ、こーでもねえと不毛な議論は続く。
そのとき、地元最年長の通称・大将がこう叫び、
一同唖然としながらも拍手喝采の嵐!

「おめーらな、何が不思議かって、
 まXこにチXポ入れるだけで人間が出来ちゃう以上の不思議はねーぞ!」

ぷっ。だがこりゃ、単なる霜ネタではない。
柄にもなく大将が説きたかったのは、この世の最大の不思議、
それは実に〝愛〟なのであった!

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2014年11月5日(水)その1895◆両刀使い

「男とも女とも、私はやりたいな」
「へえ~、なんで?」
「だって、行き交う人がみんなその対象になるのって、すごい楽しいじゃないですか」
「ああ、そりゃちょっと忙しいが、偉いこっちゃ」
「でしょ、人類愛ですよ、人類愛!」
                
会話の主人公は、一応あのT大出身の女子である。
以来私は、人類平和にきっと貢献するであろう、
いわゆる両刀使いを評価することになった。
いやむしろ、女性を偏好しすぎる自分を恥じた。
それからしばらくして、トホホにフラれる夢をみた。

「わたし可愛い彼女が出来たので、あなたとはお別れです」

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2014年11月4日(火)その1894◆土の音

ラストのソレアは圧巻だった。
真摯に積み上げ続けた彼女のめざす世界がくっきりと視えた。

昨晩の土井まさりリサイタルは超満員の大盛況。

今枝友加がプレゼント受付係をやっていた。
吉田久美子が開演の挨拶をやっていた。
森田志保と新企画の詰めを話した。
右隣りにはパセオ忘備録を執筆する白井盛雄。
大沼由紀が開演直前にやって来て左隣りに着席した。
右横の私に気づいた瞬間、明らかに引いた彼女に追い討ちを掛ける。

「由紀ちゃん、ここはアベックシートなんだぜ」
「エッー、手をつながないと座れないのっ?」

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2014年11月3日(月)その1893◆表裏一体

彼は信念の人です。
(単なる頑固者じゃないっすか)

理想は高く、男同士の友情にも厚い。
(世間知らずで、女にはモテない)

趣味は、落語・将棋・散歩と実に渋い。
(あわわっ、こりゃ引くわ)

こんないい男があなたの目の前にいる!
(い、いらないっ!)

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2014年11月3日(月)その1892◆狩人

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『雪中の狩人』

農民画家ブリューゲル(ベルギー/1525~1569年)の代表的油彩。
素朴な田園風景に、人間の哀歓を浮き彫りにする構図が素晴らしい。
潔いバランスの暖かな遠近法は、会話や文章にもそのまま活用できそうだ。

40歳のブリューゲルが名作『雪中の狩人』を描いたのは1565年。
この年スペインはグアム島、マリアナ諸島、ミンダナオ島を植民地化。
日本では松永久秀と三好三人衆が足利義輝を滅ぼし、
足利義栄が室町幕府14代将軍に就いたのが1565年。
ちなみに、日本を代表する狩人が
〝あずさ2号〟を歌ったのは1977年だと云われている。

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2014年11月2日(日)その1891◆秋のセピア

好ましい秋を存分に味わう散策から戻り、
晩メシを準備しひとっ風呂浴びてのスコッチ&ソーダ。
ふと本棚の端にある古いノートをめくって苦笑。

若いころに感動してガッツリ摂取したつもりの偉人たちの名言の数々が、
意外なことに、歳とともに色あせて来ていることに気づく。

この先も〝普遍性〟はもっとも興味あるテーマであろうことに違いないが、
やはり人は人、我は我なのだと想う。
永い歳月を過ごした経験は、ほんとうに好ましい景色や人や物事などを、
改めて率直な心で選択する。

生きてる限り何事にも成就はなく、
ただシンプルで素敵なプロセスそのものを
死ぬまで追い続けたい自分が視えてくる。

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2014年11月2日(日)その1890◆丸もうけ

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そこそこの天気。

午前中は原稿整理。
午後からはこんなイメージ(シスレー)でのんびり散策。
心穏やかにフランスバロック、あるいはイギリス近代を聴きたい。
ド・ヴィゼ、クープラン、ディーリアスあたり。

帰路はおそらく、私鉄沿線センチメンタルジャーニー。
夜は家で熱燗ちゃんこだな。

往く秋をサクッと味わう、丸もうけの一日。

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2014年11月1日(土)その1889◆失われた夢

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あのベートーヴェンと同時代に活躍した、
愛国と神秘の画家フリードリヒ(1774~ 1840年)はドイツ浪漫派の巨匠だが、
この『失われた夢』は、それとはまるで別人のフリードリヒ(1803~1887年)の代表作。

ハプスブルグ家の宮廷画家だった彼とは誕生日が同じなので、
何となく縁を感じて興味を持った。
殊に美しい女性の一瞬の哀しみを捉えるこの肖像画は印象深い。

気のせいかもしれないが、
初対面の女性にこんな表情をされることがある。
気のせいかもしれないが、
『失われた夢』(=失望)というタイトルにもちょっと引っかかる。

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2014年11月1日(土)その1888◆ご機嫌よう

機嫌よく暮らすこと。
結局、そこに尽きるな。

うっかりそれを忘れると、
何かと面倒が起きるから。

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2014年11月1日(土)その1887◆若旦那

「君はまるでヨーロッパ人の如くだな」

音楽の世界では知られたそのベテラン編集者は、
半生レバ塩が絶妙な下落合の焼き鳥屋で冷や酒片手に、
三十半ばの私をこう評した。
是々非々ではっきりモノ云う私を軽く持ち上げながらも、
協調性に問題のある私の言動に苦言を呈してくれていることに、
しばらくしてから気づいた当時の私も相当にドンくさい。

タダ酒とセットで有益なアドバイスを振る舞ってくれる、
こんなふうに柔らかで味のいい先輩たちが、かつては周囲にたくさん居た。
けれどもずっと私はボヘミアンな立ち位置でいたから、
実際にそれら良薬がトホホなこの身に沁み始めたのは
五十の坂に差しかかった頃だった。

季節はめぐり、そういう先輩役の順番がとっくにこちらに回って来ているわけだが、
相変わらず落語ワールドの若旦那気分が抜けない。
場をにぎやかすことだけは達者だが、
即効性のある良薬を振る舞うことも出来ず、
ただ若いもんと一緒になって下らねえ霜ネタに興じている。(T_T)

だけどな、もうあとちょっくらだけ待ってくんな、
オレのヨタ話ってのは漢方薬みたいなもんでさ、
オレが死んだあとでじわじわっと効いてくるんだよ。(大うそ)

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