フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2015年08月①

2015年08月01日 | しゃちょ日記

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2015年8月15日(土)その2246◆パロマ対談

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〝フラメンコのモーツァルト〟の真相を探る。

九月の涼しくなる頃に対談しようやと、
フェイスブックやメールで、
パセオ新年号しゃちょ対談の下準備を、
ゲストのパロマ(小島慶子)さんとあれこれ進めていたら、
四月のあの熱狂パセオライヴ後、一度もお会いすることもなく、
先ほどその記事がほとんど出来上がってしまった  (@_@) 

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2015年8月15日(土)その2245◆二つひと組

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すでに四十年聴いてる。

独特の右手タッチから生まれる絶妙な音色に、オンリーワンの魅力がある。
クリストファー・パークニングのギターによるバッハ。
バッハの王道たる演奏とは決して云えないが、
波乱万丈の青春期を乗り切るための癒しの特効薬であったから、
私の受けた恩恵は限りなく大きい。

パコ・デ・ルシアは、さまざまに冒険するための知恵と勇気を与えてくれたが、
惜しくも私はことごとく失敗した。
まあ、いいじゃないか、何とかなるよって、
そう優しく語りかけてくれるようなギターがパークニングのバッハだった。

どちらを欠いても助からなかったような気はする。
人もしかりかと、改めて想いあたる。

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2015年8月14日(金)その2244◆テレビ出演

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やったー!
         
9月5日(土)13時より、BS-TBSの30分テレビ番組
特番「スペイン国立バレエ団」放映決定!
新作『アレント』『サグアン』の映像も流れるぞっ!
チケットまだの方、念のため、
☎03-3234-9999(チケットスペース)

その番組収録で、私の喋くり(約30分)が今終わったところ。
念のため、私は撮影クルーに尋ねた。
「おれの出番って、3秒ぐらいはあんのかな?」

担当の十川ディレクターはすかさずこう返した。
「僕の見積もりでは、最低4秒は出ます!」

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2015年8月14日(金)その2243◆キリがない

ドアを開く前からその予感はあった。
仕事が押して、車を飛ばしライヴのリハに駆けつける。
8/13高円寺エスペランサの矢野吉峰ソロライヴ。

奥の舞台では矢野がブレリアを踊っている。
心を射抜く格調高き男踊りのカッコ良さ!
バック四名(ギター2本、カンテ、パルマ)のもの凄い音圧。
フラメンコの疾風が吹きつける。

矢野のブレリアに、一瞬のうちに虜になる。
ああ、今宵のライヴもオッケーだ。これはプロデューサーの性。
安堵の次の瞬間、眼前の矢野の至芸に対する形容詞が脳裏を飛び交う。
これはライターの性。

まず第一に、文句のつけようのないカッコよさ。
にじみ出る色気、女も男も一様にそれを感じるだろう。
それは、チャラいところがひとつもない清冽なカッコよさ。
翳りを帯びた容姿の端正な美しさ。
格調高き矜持と気品を伴なう、正統にして正確なテクニック。
フラメンコの栄光の伝統に充たされた純粋な透明感。
芯をとらえたサパテアードの引き締まった快音。
すべてが必然、無駄のない真摯なアクション。
〝この世の華〟と〝ものの哀れ〟が共存する不思議。

ミュージシャンを休ませ、独り舞台で何かを確認するような矢野。
二階の楽屋での、人あたりの良い陽気さ。
休憩なし70分で五曲のソロ。すべて衣装チェンジ。
踊り終えた疲労困憊の矢野の表情に、トライアスロン勝者の笑み。
観客席の熱狂、鳴り止まぬ拍手。
楽屋に駆けつけ矢野に頼む。
「収まらないので挨拶だけでも頼む」

・・・次々とキリのない、明日入稿するパセオ10月号『楽屋裏』のメモ。
まあ、今朝はこんなところで。

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2015年8月13日(木)その2242◆お洒落

さきほどTBSより連絡あり。

9月のスペイン国立バレエ特番にコメント出演されたし、とのこと。
収録は明日午後パセオで一時間程度。
どうせ出るのは三秒がいいとこだろうが。

うっかり忘れて、裸足で短パンだとさすがにマズいので
「明日はズボンと靴下着用」と書いておく。

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2015年8月13日(木)その2241◆遠き道

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。
急ぐべからず。

不自由を常と思えば不足なし。
心に望み起こらば困窮したる時を思い出すべし。

堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。

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おのれを責めて人を責むるな。
及ばざるは過ぎたるより勝れり。

お調子ヤロー(小学生の私)に、最初にこれを教えたのは母である。
彼女の特技は、それを自らの背中で教えることだった。
好調時にはウザく感じるであろう家康公の遺訓だが、ここ32年、
安定不調をキープするパセオしゃちょ的には、もはや子守唄同然に響く。
学歴のない母の、シンプル骨太な教養と高きプライドにいまさら驚く。  

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2015年8月12日(水)その2240◆夢みる技術

睡眠中の夢と現実とは、等しく価値がある。

母はNHK連ドラの主人公『あぐり』。
戦時中に東大生だった吉行淳之介は、本気でそう考えていた。
徴兵された彼がすぐに除隊させられたのは、当時の死病、肺結核だったからだ。
充実した夢をみることで人生を二倍生きようとする想いは、
間もなく訪れるであろう死を覚悟していたこの大作家(1924~1994年)にとって
切実な発想であったに違いない。

まさかね・・・それが第一感だったが、よくよく我が身の過去を振り返ってみれば、
私の中にも思い当たる節が実はたくさんあった。
たしかに遠い昔の実体験の喜怒哀楽の記憶と、眠りの中で体感した喜怒哀楽の記憶は、
ほぼ等しい実在感を残していることに気づいたのである。
夢の中のファンタジーや恋愛体験などは殊に強烈で、今も生々しく想い出すものも多い。

吉行はそのエッセイをこんな風に結んでいる。        
「これから真剣に、私は夢をみる技術を開発してゆくつもりだ」
終生さまざまな病気に苦しんだ彼は、その病床にあって
本当に夢見るような実験を試みていたのかもしれない。

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2015年8月11日(火)その2239◆木曜は極上フラメンコ

1. ブレリア
2. カンティーニャス
3. マルティネーテ
4. ファルーカ
5. ソレア

「曲間にカンテソロやギターソロがあったりしますが、
 そのまま次の曲へと続いていきますので割愛しています」

矢野吉峰ソロライヴ
8月13日(木)20時/高円寺エスぺランサ             
矢野吉峰(バイレ)
マヌエル・デ・ラ・マレーナ(カンテ)
斎藤誠(ギター)
塩谷経(ギター)
末木三四郎(パルマ)

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男前バイラオール矢野くんから、
きのう8/13(木)パセオライヴ当日配布のプログラムに関するメールが届いた。
うおっ、ごっ、五曲!
気合い充分である。
彼のフラメンコで感動したい、おそらくはそのベスト選曲。

パセオライヴ初の本格男性舞踊手の初登場!
女性に偏向し過ぎというオレ批判は、これで僅かにかわせるのかっ!?

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2015年8月10日(月)その2238◆残り少ない人生の初日

起き抜けの朝風呂、ストレッチ、オレンジ&ソーダで聴くバッハ。
息長くしなやかに、淡々と爽やかなリンデのリコーダー。
トラヴェルソ(横笛)も同様だが、比類なきその美しい音色。

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残り少ない人生の初日、こんなイメージでさくっとご機嫌に仕事したい。
来週は金土日と新人公演に丸ごと持ってかれるから、せっせと前倒しストックを作る。
涼しくなったら、ゆっくり充電 ヽ( ̄▽ ̄)ノ

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2015年8月9日(日)その2237◆江戸紫

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暑いので、涼みの景色で一服。

湯島天神から見下ろす上野・不忍(しのばずの)池。
江戸末期の安藤広重『江戸名所百景』の人気作。

パセオ創刊の地「本郷三丁目」から歩いて六分くらいか。         
現在はのっぽで幅広なマンションが建ち、不忍池を直眺することは出来ないが、
かつて人々がこんな風景に親しんだ時代があったことに心が和む。

「一杯だけ付き合ってよ」
ダメ元でひと声掛けたくなる、
画面手前、江戸紫の姐さんのちょっと小粋な姿がいい。

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2015年8月9日(日)その2236◆この世の華

「お叱りありがとうございます」

きのうのトホホな反省日記のつづき。
この冒頭言を朝湯で何度も練習してみたが、
客側も提供側も普通にギブ&テイクする仲間同士と強く認識する私には、
どうもしっくりくる発声が出来ない。つまりウソ臭い。

だが、あのとき女性編集者がとっさに発したこの言霊は、
明らかにムイ・フラメンコの領域に達していた。
極めて自然で嘘のない、心のこもった好ましい響き。
理不尽に過ぎる暴客からの電話に、その受け手だけに可能なキャラで、
その瞬間必要とされるベスト対応を即興で生み出す。

一朝一夕では不可能な、その人だけの永~い歳月の積み重ねが咲かせる
〝この世の華〟。技術は極めて重要だが、技術のみでは空を切る。

私の愛するフラメンコというのは、各種タイプという括りを超えて、
そういうフラメンコなのだという現実に改めて気づく。
歌も踊りもギターもやらない私が、
そういうフラメンコ的日常シーンの積み上げを好み続ける限りは、
私なりにぎりぎり助かってる可能性もあるような気がしてきた。

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2015年8月9日(日)その2235◆苦情電話

「もっと私の好きな昔のアーティストを載せよ」

つまりはそういうことだ。
説教気味に欲求をガナりたて、ガチャっと電話を切る。
年に数回だが、そのほとんどはお友達がいなそうなお爺ちゃん。

だが、気持ちは分かる(おれだって爺ちゃんだし)。
私だって大好きなアーティスト(パコ・デ・ルシア)を
もっともっと知りたくて、パセオフラメンコを創刊した。
そしてやがて、フラメンコという巨大なアートそのものに惹かれた。

なのに、私の電話対応は苦情電話に生き甲斐を見い出す年長者に対し不親切に過ぎる。
「あんたはあんたで、自分の稼いだ金で好きな本を出しなさい」
           
だから、つい数日前の編集部の女性スタッフの対応には驚いた。
「お叱りありがとうございます」

う~む(汗)、
そりゃこっちの方が断然正しいに決まってまんがな。
ジェーと二人して反省の図。

だがな、先輩爺さんたちよ、もちょっと自分の人生に誇りを持つべきじゃねーかな
・・などと、近未来の自分にそう云って聴かせる苦笑気味ペーソス。

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2015年8月8日(土)その2234◆70years

「宇宙から眺める碧い地球」

鈴木大介さんのギターを聴くたびに、そんな情景が浮かんでくる。
ギタリストというより音楽家、音楽家というよりアーティスト。
偉大なる作曲家・武満徹は
「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と彼を評した。
ファリャ(スペイン舞曲第一番)をぶっつけで合わせた
カニサレスとのデュオ映像にもド胆を抜かれた。

彼はファースト・コール・ギタリストと呼ばれる。
何故かと云えば、音楽的にも技術的にも難しい作品の、
その初演者として指名されることの多いギタリストだから。
その作曲家たちに共通する気持ちはよく分かる。
つまり鈴木大介という人は、自分の命とも云える作品を、
安心して全面的に委ねられるアーティストなのである。

冴えた感性と、洗練を極める自在な技巧をもってすれば、
どんな表現も可能であろうが、彼は一切のケレン味を排除する。
ギタリスティックでないところが私には不満だったのだが、
飽かずに繰り返し聴くうちにやがて、常に音楽全体を俯瞰する、
その繊細で暖かい大きな知性に包まれてゆくような快感が生じ始める。
なので大ちゃんにハマるまでに三年かかった(笑)

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ジャケ写は数日前に入手した鈴木大介の最新CD『キネマ楽園Ⅶ/70years』。
映画音楽に注目するこのシリーズ七作目は、戦争映画に使われた曲のみを集めていて、
「70years」とは、第二次世界大戦終結70年を意味している。
ラストエンペラー、ディアハンター、戦場のピアニスト、シンドラーのリスト、
禁じられた遊び、蝶の舌、火垂るの墓など、ほとんど馴染みある曲を
ギターソロ(アルハムブラ以外は自らアレンジ)で奏でる。

この週末にじっくり聴くつもりだったが、土日も仕事となり、
早起きしてこれを聴いている。
リピートを聴きつつ濱田滋郎先生の解説文を読むと、
大ちゃん本人のこんな言葉が抜粋されていた。
「もしかしたら、戦争と平和について、音楽を通じて何かを考察するということは、
私がギターに出会った時から始まっていたのかもしれません」

ショパンの夜想曲(戦場のピアニスト)を聴きながら、
鈴木大介の〝透明なハイクオリティ〟の具体的理由が、
明瞭な輪郭をもって視え始めている。

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2015年8月8日(土)その2233◆変貌

来週水曜は、新宿エルフラでバイラオーラ権弓美さんの公演。
パセオ公演忘備録は人気ライター白井盛雄さんが担当する。

ソリスタとして、またアルテイソレラ公演などでも活躍する権さん。
彼女は覚えてないと思うけど、三十年くらい前に
御父上のギタリスト東権正男さんの取材でご自宅に伺った折、
学校帰りの可愛らしいお嬢(弓美)さんと「こんにちは!」
の挨拶を交わしたことがある。

ずいぶん前のアルテイソレア公演で、際立つ冴えをみせる本格舞踊手が、
あの時の少女だと知った時はビックリしたなあ。

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2015,8,12 wednesday
TIME 18:30open/19:30start
PLACE EL FLAMENCO
TICKET 5,000yen with 1 drink & tapas
INFO Studio Plie
048-887-4728/info@plie.co.jp
    
BAILE Yumi Gon
CANTE Manuel de la Malena
GUITARRA Masao Togon
Sebastian Carrasco Vargas "Chano"
Makoto Saito
Tsuyoshi Nishii
PALMA Shiro Ijuin

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2015年8月7日(金)その2232◆男前フラメンコ

パセオフラメンコライヴ
Vol.007
矢野吉峰ソロライヴ

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2015年8月13日(木)20時開演
会場◇高円寺エスペランサ
主催◇月刊パセオフラメンコ&エスペランサ
出演◇              
矢野吉峰(バイレ)
マヌエル・デ・ラ・マレーナ(カンテ)
斎藤誠(ギター)
塩谷経(ギター)
末木三四郎(パルマ)
料金◇3.900円(税込・ワンドリンク付)
予約◇残席あり
昼☎03-3383-0246(株式会社セルバ)/夜☎03-3316-9493(エスペランサ)
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

「素人から観ても玄人から観ても、
 ズバ抜けてカッコいい二枚目硬派の本格フラメンコ」。
私の大好きなバイラオール矢野吉峰をひと言で云うならこうなる。
実直でシンプルにカッコいいフラメンコは、
観客席に熱く爽やかな充実感をもれなくプレゼントする。
そこに彼の類稀なる才能と本領がある。

彼はフラメンコ協会新人公演の奨励賞受賞(99年)で頭角を現わし、
2003年のソロリサイタルでその確かな実力と大きなポテンシャルを私たちに印象付けた。
ソリストとして、また鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団のトップダンサーとして
活躍する彼は、『フラメンコ曽根崎心中』(プロデュース&作詞=阿木燿子/
音楽監修&作曲=宇崎竜童)における衝撃の悪党・九平次で大当たりを獲ったが、
その絶対絶妙なるハマりぶりは、すでにフラメンコ界の生きる伝説となっている。

矢野吉峰のソロ舞台はすべて観てるが、ソレア・シギリージャ・マルティネーテなど
重たい硬派系やブレリアが殊に素晴らしい(ちなみにこれまでのところ軟派系はイマイチ)。
その真摯な性格と持って生まれた容貌、シャープ繊細にして逞しい技術と
好ましい余韻のエンタテインメント性。そして、フラメンコへの深い愛と深い理解。

本誌では『矢野吉峰のフラメンコ用語解説』をレギュラー執筆していただいているが、
本当はそんなことを頼んではならない実力派の大物なのである(汗)。
このライヴシリーズ初登場の男性舞踊手となる彼の舞台を
あれこれ空想するだけで何やら楽しくなってくる。
では吉峰(よしお)さん、ご来場者へのメッセージをよろしく!

「フラメンコを始めて20年ぐらいになりますが、最近になって『あ、
こういう事がやりたいな』と思うようになったことがありまして。
いつどこでどうやってそれを形にしていこうかなあ、なんてボンヤリ考えていたら、
偶然パセオ社長がこんなスゴイ企画に誘ってくれました。
相変わらず変な嗅覚をお持ちの方のようです。
20代・30代の頃は舞台に上がるときには振付ひとつとっても
毎回何か新しいことをやってやろう、
それでお客さんに喜んでもらおう、なんて思っていたんです。
でもここ数年の色々な出会いや経験でその考え方を改めまして、
逆に『10年、20年、同じ振付を踊っていきたい』と思うようになったんですね。

例えば同じソレア、同じマルティネーテの振付だったとしても、
20代、40代、60代だったらきっと全然違うものになるし、
同じ振付を粛々と踊り続けることによって、
自分が年齢を重ねるように踊りにも深みが増していったら嬉しいな、と。
というわけで今回のライヴ、なんだかお酒を仕込むようなイメージで作っています。
あまり専門的なことはわかりませんがお酒って、仕込んで、寝かせて、
熟成させながらその過程も楽しむ、みたいな感じでしょうか。
今回はその一発目になりますので、仕込んだばかりのお酒みたいに
カドがあって荒っぽいかもしれません(笑)。
ここからこれを20年は踊り続けていくつもりですので、今回のライヴとともに、
この先の熟成過程も一緒に楽しんでいただけたら、さらにさらに嬉しいです!」

 パセオフラメンコ8月号より転載(文/小山雄二 写真/川島浩之)

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2015年8月5日(水)その2231◆ジュピター

「私はまるで天に居るかのような想いがした」
ツァラトゥストラで有名な作曲家リヒャルト・シュトラウスは、
この桁外れの名曲についてこう語った。輝かしく荘厳、だがその至高の透明度ゆえ、
やがて哀しきモーツァルト最後の交響曲〝ジュピター〟。

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十年ほど前、高円寺のタブラオでパロマ(小島慶子)踊るガロティンを観たとき、
冒頭の言葉が稲妻のように蘇った。天上の歓びを謳歌する彼女のガロティンには、
意外にもまるでソレアのような黒い奥行きがあった。
以来ジュピターを聴くたびに小島慶子のフラメンコが脳裏を清冽に疾走し、
小島慶子のフラメンコを観るたびにジュピターがくっきり耳奥に鳴り出すという、
ちょっとおもろいパブロフ現象が発生している。

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2015年4月のパセオフラメンコライヴ(高円寺エスペランサ)では、
小島慶子のソロ三曲(アレグリアス、ガロティン、ソレア)を
天にも昇る気分で味わい尽くした。
ライヴを締めくくった独り舞いを含め、すべてが極上の絶品だった。・・・

来月対談(パセオ新年号掲載しゃちょ対談27)する小島慶子さん。
朝湯のあとの珈琲で久々のジュピター(バーンスタイン指揮)を聴きながら、
ほぼ発作的にその記事のリードを書きたくなった。パソコンに打ち込む指は、
まるで自動速記機のよう。現在ジュピターは第三楽章だが、
珈琲をおかわりしながら、今も脳内でパロマがぐるんぐるん舞っている(笑)

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2015年8月5日(水)その2230◆夢の通い路

錆びた線路に一輛だけの古びた電車。
ひとり私は乗り込む。
懐かしい風景を心穏やかに眺めたい。

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うつらうつらと、ソフトフォーカスな映像を浮かべる。
あわよくば眠りの中でその続きを観たい。
しんなり柔らかで、まるで生産性のない夢。

そんな目論見が幾度か成功したこともある。
いずれも生産性の高い仕事をクリアした夜に。
さざめく興奮を鎮める意識と無意識のコラボレーション。

緩急・強弱のコントラストを好む平衡感覚。
神秘な矛盾が、心を惑わせながら深い皺を刻む。
波乱を厭うわけでもない淡き夢の通い路。

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2015年8月4日(火)その2230◆二つだけ

「反省はするが後悔はしない」

この言葉を君と私に捧げます。
愛とは後悔しないことです。
反省とは具体的に改善することです。

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2015年8月4日(火)その2229◆お懐かしいのは

無理やり仕事にひと区切りつけ、
明晩は十年通う元地元・代々木上原駅前ダンドンでズラを整備し、
そのあと愛しの呑み屋〝どさんこ〟予定。
女将、マイケル、あっちゃん、師匠、楯小路先生、新撰組大沢副長、松ちゃん、
かまちゃん等々、それぞれ際立つキャラの御仁らはご健勝なりきや。

中野に引っ越して早七ヶ月強。
パセオまで徒歩五分、家賃も物価も安いが、何せご近所には
親しい従兄弟ののような古くからのフラメンコ仲間たちがいる。
代々木上原も17年住んだが、街そのものに愛着は薄い。
私の場合、懐かしいのはやはり〝人〟なのだと分かる。

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2015年8月4日(火)その2228◆寒冷前線

勢いと勤勉と不条理が交錯するパセオな日常。

例によって日に数回、集中力が薄れて来るころ、ふと訪れる雑談タイム。
きのうの昼下がり、会話の流れが相撲に行き着き、閃いたチャンスに私はこう語り、
編集部はそこはかとなく冷たい氷の微笑を浮かべる。

君たち、ビックリしちゃった相撲取りが何と叫ぶか知ってるか!
「ドヒョ~~~!!!」

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2015年8月3日(月)その2227◆キジも鳴かずば打たれまい

さあ、今日は朝から気合い入れて行くかあっ!
って、ふだんどんなけユルいんかいっ

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2015年8月2日(日)その2226◆秋は恋しい

NHK将棋トーナメント観戦のあと出社。
そろそろ向島・百花園が恋しいが、そりゃ来週以降のお楽しみとする。

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派手さというものがひとつもない庭園だが、だからこそ飽きが来ない。
春夏秋冬それぞれに味わい深いが、真夏だけはちょと暑い。
飽きは来ないが、秋は恋しい。

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2015年8月2日(日)その2225◆

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あっと驚くシガーラ来日!

しかも招聘はあのKAJIMOTO。
これはちょっと面白いことになるかもな。
    
本当にフラメンコはしぶとい。
各方面に化学反応を生じさせるジャンルだ。
やはり本能を活性化させるアートというのは、
無視することが出来ない何かがあるんだろうな。
だからおれたちも頑張れるのだと想う。

http://www.kajimotomusic.com/jp/news/k=2253/

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2015年8月2日(日)その2224◆サラ・バラス

この秋久々に来日するサラ・バラスとその舞踊団、
さらにアンダルシア・フラメンコ舞踊団。

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彼らが出演するフラメンコ・フェスティバルにこんな特設ページが。
http://www.parco-play.com/web/play/flamenco2015/

加えて、スペイン在住のフラメンコ研究家・志風恭子による公式ブログも充実してる。
サラ・バラスの過去の公演やCM等の映像が列挙されてるのが凄い!
パコやカナーレスまで出ちゃってるCMなんかはチョー傑作!
http://flamencofestivalintokyo.tumblr.com/

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2015年8月1日(土)その2223◆口説き文句

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「フラメンコは飲まなきゃいけない。
 その源はいろんな意味があるけど、僕はそれを飲む。
 でも、最初から意図したわけでもないよ。
 僕はただ喉が渇いていたんだ(笑)。
 でも、今言った意味はそこにあるよね」

ずいぶん前のパセオに載せた、いかにもドゥケンデらしい象徴的な一節。
妖しく遠まわしに、ずばりフラメンコの本質を突いている。
そればかりか、女性を口説くのにもドンピシャの台詞だ。
一度として成功例がないことを、つくづく不思議に想う。( ̄▽ ̄)


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