作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 解説(3) A級戦犯 】

2010-02-04 19:12:00 | ○ 小説「炎の商社マン」

高木なんて男は所詮小物であった。

六角と言う綿糸布しか知識を持たぬ、そしてヨドボウこそが
最高の工場と信じて疑わぬ骨董品が繊維統括の専務として
君臨していたのが、低迷の主原因であることは明らかであった。


あの六角と言うバカ専務を放り出せ。さもないとトーセンの
近代化が遅れると、連日のように社内で演説して回る中原の
ワルクチを、当の六角は当然耳にしていた。


それが中原の狙いであった。ご注進に及びそうな、六角の
子分を選んではワルクチというより正論を吐いていたのだから、
肝心の六角の耳に届かないと意味がないのである。


中原はまだ役職も無い身分で六角専務をA級戦犯と断じ、
その失脚を策していた。



トーセンは更に大きな錯誤を犯していた。
石油・化学品・鉄鋼・重機械・船舶などの新しい分野に、
途中入社の者を多く入れ必要以上に専門家として優遇したのだ。


繊維商社を意識し過ぎるトーセン人事部の錯誤が、こんな
過ちを犯したわけで、途中で会社をやめて転職してくる者に、
そんな優秀者が居るはずもない。


なまじ専門家意識を持つだけに、始末が悪い。大局に立った
戦略が持てるはずもなく、手柄を急いで小商売でゴマかす方に走る。


国立の二期校の工学部出身者を入れるより、文系で充分
だから優秀校の学生を多く採り、短期集中で鍛える方が、
より効率が高い。


そんなことも分からぬバカが人事担当の重役を長年やっていた。
こいつも戦犯である。




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「炎の商社マン」  

    
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