作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 働かないサラリーマン (4) 】

2006-10-27 17:03:22 | 12 幼き日々のこと


商社マンに限ったことじゃないと思うけど、
部課長、支店長、駐在員主席なんて役職者は、
あくまで前線部隊長であったり、中隊長、小隊長と
して先頭に立って戦うのが本分のはず。

それを「管理職」の言葉に酔い、部下を管理するだけで
仕事をしている気になっていた手合いがゴマンといた。

ハンブルグ赴任の半年前に、ヨーロッパ・南アフリカ
40日の出張に出たのだが、ヨハネスブルグの所長が
典型的な管理職に徹したオトコで、繊維を任せた現地
エイジェントとの食事ぐらいが仕事。

鉱業・食糧などは「俺は素人だから」と関与しない。
南アフリカとの貿易高は、鉱業・食糧が圧倒的な
シェアを占めるのだから、出身部課の如何を問わず
大いに関心を持って勉強し、会社の代表としての任務
を果たすのが当然。最初から投げ出しているんじゃ、
そんなオトコ駐在させる必要もないし、そんなオトコを
所長として派遣する人事に大問題がある。

ボクがハンブルグの業務を終えて本社に帰り課長の椅子
に座っていたとき、カレも任務を解かれて繊維部門の
閑職に甘んじていた。

ある朝、ボクの席に来て、ちょっとお茶をと誘うから
喫茶店について行きました。

「えらいこっちゃ」

「何が?」

「ハンブルグへ行けってよ」

「そりゃ、えらいこってすな」

「えっ? そんなにえらいとこか」

「あそこには奴隷もいないし、召使もいませんぜ」

若いときからアジア・アフリカの後進国ばかりに駐在し、
身の回りから何から他人に命じてやらせてきた人に、
ドイツ人が使えるか?

無理に決まってる。支店長=管理職に徹底するんだろう。
そう思い、一年後に出張したら、ボクの得意先に付いて
行きたいと言う。
同行を同意したら喜んで付いてきたが、どの会社に行って
も「初めまして」と名刺を出す。一年間何もしていなかった
ことが歴然。

管理職意識で赴任地でのうのうと遊んでいるヤツ。そんなのが
多かったから、会社名が消えてなくなる結果となったのです。




                                       パパゲーノ


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