部屋の主の同意を得たので入室する。
ドアを開けると、わたしの戦友にして上官である赤毛の少女、
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは書類を処理し終えたらしく、
ペンを脇に置き、変わりに珈琲を手にしてその香りを堪能していた。
「弾薬と機材の消耗に関する報告書が完成した。
それと各隊員の訓練の進行具合と今後についての概要もだ。
この間入ったリーネに関してだが、一応ここで説明する必要はあるか?」
「いえ、結構よ。リーネさんについては午後に私も様子を見に行くから」
「ん、そうか。
ではわたしの役目は終わりだな。
引き続き珈琲ブレイクを楽しんでくれミーナ」
「ちょっと待って、トゥルーデ」
書類を置いて立ち去ろうとしたが、ミーナに呼び止められる。
彼女は執務机の棚から一枚の書類を取り出し、わたしに差し出した。
「新しいストライカーユニットが本土から貴女向けに届いたわ、これはその概要」
「わたしに?」
思いがけない言葉に疑問を口にした。
なぜなら【原作】では宮藤芳佳が来る前に新型ユニットが届くなどなかったことだ。
第2期にジェットストライカーユニットが届くが、今はまだ第1期に相当する時期である。
が、考えても仕方がないので書類を受け取りさっとその内容を読む。
『フラックウルフTa152H-0型』
速度:751キロ(高度9100メートル)
速度:765キロ(高度12500メートル)MW50水エーテル噴射使用時
高度:14800メートル
武装
30ミリMK108 機関砲 :弾薬90発
20ミリMG151/20機関砲×2:弾薬各150発
ブリタニアは海で隔たれているため、ネウロイの特性侵攻は低調なものである。
しかし、近年高高度から高速で侵入する個体があり現状のユニットではその迎撃は困難だ。
ゆえに本ユニットは高高度から侵入するネウロイを迎撃するものなり。
ゲルトルート・バルクホルン大尉にその試験運用を任命する。
「……驚いた、すごいのが来たな」
一説では究極のレシプロ戦闘機とも言われたTa152の試験運用、それをわたしがするようだ。
史実では活躍する場はなく、燃料不足と低い工作精度の三重苦のせいで究極レシプロ戦闘機であるかどうかは異論があるのだが、
この世界では人類全体が団結しており、そうした問題はなくもしかすると本当にスペック通りの性能を出すかもしれない。
時速765キロ。
これがどれだけすごいかといえば、
シャーリーのP51で最高速度が時速703キロ(まあ、加速魔法を使えば時速800はいくが)。
坂本少佐の零戦は低中高度の旋回性能は抜群だが最高速度540キロ程度でしかない。
しかも高度1万となると501に存在する一部を除けば多くのユニットは浮くだけで手一杯になるはずだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます