二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS もしもな世界のラウラさん

2015-02-12 22:44:36 | おススメSS

もしもな世界のラウラさん

軍人馬鹿でツンキャラ筆頭の、ラウラ・ボーデヴィッヒが、
もしも軍隊で立ち直れずに、落ちこぼれのままだったら?

というIFのSSです。

落ちこぼれたラウラは千冬に引き取られ、一夏の元で居候。
お互い衝突しつつも一夏の周囲の友人たちの助言と助けで徐々に和解。

そして世界で唯一ISを動かせる恋人と共にラウラはIS学園へ入学する……。

このSSでの魅力は主人公の姉や周囲の友人たちが、
迷える一夏とラウラを様々な形で助言し、導いていく過程です。
そこで生まれる信頼と青春の物語と描写が綺麗に描けて大変すばらしいです。

ぜひ見てください。




「知ってるか? 恋人っていうのはさ、離れててもお互いを想う気持ちは全然弱まらないらしいんだ」

 遠距離恋愛とか、よくある話だしな。
月に1回、あるいはもっと少ない頻度でしか会えなくても、彼らは互いに愛し合うことができる。

「だから、そう心配するなよ。ちょっと離れたくらいで、俺がお前を大事に思う気持ちは変わりようがないんだから」
「一夏……」
「もちろん、他のみんなだって同じだ。ちょっとやそっとで、お前を見捨てたりなんてしない」

不安を、恐れを、どこかにやってしまいたい。
その一心で、俺はもう一度ラウラの体を強く抱きしめた。

「本当に、大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。俺を信じてくれ」
「……そうか」

不安げな色を含んでいた彼女の声が、穏やかな調子のものに変わっていく。

「IS学園に行きたいという気持ちは、確かにある。あの場所で学びたいというのは、本当だ」
「ああ」
「別々の進路を選んでも、お前は私を見捨てないか」
「当然だ。離れていたって、一緒に歩くことはできるんだからな」

寂しいようなら、毎日電話したっていい。
今の世の中、連絡をとる手段なんていくらでもある。

「それなら……」

今までの兄妹という関係では、届かないものがあったのだろうか。
形はそれらしくても、血がつながっていないという事実は残るし、正式な手続きを踏んだわけでもない。
だから、本物になりきれなかったのかもしれない。ラウラの不安を消し去る、確かなものが得られなかったのかもしれない。
もちろん、時間をかければまた違った結果になると思う。本物の家族になれる可能性だって、ゼロじゃないと言える。
……ただ、半年という時間では、足りなかったというだけだ。

「それなら、私も選べるかもしれない。離れるという選択肢を」

恋人に血のつながりは必要ない。間違いなく、本物の関係になれるものだ。
そして、彼女はそれを信じてくれた。
そのことが、本当にうれしい。

「ありがとう、一夏。好きだ」

抱きしめていた体を離して、ラウラの表情をうかがう。
……それはもう、このうえないほどの満面の笑みを浮かべていた。
どうにも歯止めが効かなくなって、すぐまた彼女の背中に腕を回してしまうくらいの可愛らしさだった。







1週間後。考えを固めたラウラは、千冬姉にIS学園の入試を受けることを報告した。
千冬姉は満足げにうなずくと、ラウラの頭をぽん、と叩いた。頑張れ、という言葉とともに。

そこからは、俺もラウラも受験に向けての準備に明け暮れた。志望校は違っても、勉強が必要なことに変わりはない。
そしてその傍ら、一緒に過ごす時間を大切にすることも忘れなかった。
来年の春になれば、毎日同じ家に帰るということもなくなってしまうから。
入試までの半年弱の間、俺達はかけがえのない日々を大事にして。

そうして迎えた、次の年の春。
俺は前代未聞の出来事を経験し、思い描いていた人生は大きく形を変えることになる。
『世界で唯一ISを動かせる男』という肩書きとともに。











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