二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ25 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-03-03 20:50:55 | 習作SS

日本国 東京 上野

『こちら紅1、目標地下鉄に入ったのを確認、引き続き追跡する』

「了解した、気付かれないように注意しろ。
 それと周囲に米帝にロシアの同志もいるはずだ、不用意な行動は避けるように」

『是、しかし…韓国の連中が、その……米帝と』

「その事はこちらが処理する。
 そちらは監視を続行せよ、終わり」

通信が終わると同時に男がワゴン車の中でため息を吐く。
なぜなら、連中の信頼性は皆無に等しく内通は予想していたが、
まさかここまであからさまとは思わなったからだ。

(だが、今更放り出すわけにはいかない。
 そうなれば連中は喜んで米帝に我々のエージェントの位置を教えるだろう。
 くそ、上の人間の意向で組んだはいいが、無能極まりない味方と組むことになるとは!)

男、共産党国家戦略企画局の局長である劉は内心で罵倒する。
もともと銀座の門から今後の特地との外交のカギを握る貴賓が来ることは知っていた。

ゆえに、その貴賓を拉致し自国に連れて帰り、
自国に都合のよい傀儡に育てることを考えてついた。

さらに、例えば「悪逆非道の日本からの独立」とその貴賓に騒がせ、
それに応じた国際世論を背景にあわよくば銀座の門から日本軍を引かせることすら考えていた。

しかし、似たようなことはどの国も考えていたらしく、
各国のエージェントが貴賓の周囲に張り付いているが確認できた。

だからこそ他国を出し抜くために少しでの味方を増やす。
ということで、KCIAと組んでいたのだが…。

(ここまで裏切る気満々な連中なんて冗談じゃない!)

本国政府の、それも首相クラスの人間のやり取りで決まったにわか仕立ての中韓連合だが、
半島のエージェントはアメリカのCIAと頻繁に連絡を取っており、何を考えているのか明らかであった。
いくら「外套と短剣」の世界であるとはいえ、隠す気もなくこうもあからさまであることに劉は腹を立てた。

(しかもさっきから妨害工作は失敗ばかりだ!)

加えて特地の貴賓とその護衛に対して行った妨害工作の矢面、
あるいは鉄砲玉となった半島のエージェントであったが、

国会から出た囮のバスに引っかかったり、
逃げられたりとその悉くが駒門や伊丹の機転で失敗に終わっていた。

しかもそのたびに周囲で騒動や注目を浴び続けたせいで、
警察の巡回が増えており、監視活動すら警戒する警察から職質を受けそうになる、
など工作活動がしにくい環境になりつつあった。

「鈴、この後対象の予定は?」
「是、局長。箱根の温泉施設に向かうようです」

部下に対象の今後の予定を聞く。
そして間をおかず手渡された資料を手にする。

(宿泊客はいるが人里離れた温泉施設か、
 気づかれずに行動に出るとすればここしかないな)

資料をめくりながら考える。

(が、米国とロシアも同じことを考えているはずだ。
 これまでは監視が行き届いた首都のゆえに行動を控えていたが、
 今晩を逃せばもう後がないの彼らも同じ、それに昨晩はまったくの一般人の家に行くなんて誰も思わなかったなしな…)

昨晩の貴賓の予定は本来ならば防衛省の施設で泊まることは知っており、
施設にボヤ騒ぎを起こして対象が右往左往している隙に貴賓を拉致するべく用意していたが、
伊丹の機転で迷わず元妻の家に泊まったせいでその計画は破たんした。

しかもエージェントの追跡を躱した上に全くのノーマークの場所に泊まっていたので、
昨晩はその姿を探し回ることに時間を費やす羽目になった。

そして予定は明日銀座の門の向こうに帰ることになっており、残り時間はすくなかった。

(ロシアに米国のエージェントとの遭遇戦は覚悟するべきだろう。
 で、半島の連中はその中で漁夫の利を得るべく動くだろうな…忌々しい)

属国の分際で調子に乗っている連中の面を思い出し顔をゆがめる劉。
相手は自分を祖国と並ぶ国と思っているようだが、中華思想に「対等」という概念はない。

あるのは「臣下」と「皇帝」の主従関係のみ。
劉はその「臣下」風情が調子に乗っている事実に腹を立てていた。

「局長、最悪米国にロシアのエージェントと交戦している間に貴賓を奪わた場合如何すればよろしいでしょう?」

「安心しろ鈴、最後に勝つのは我々だ、
 奴らが貴賓を手にしても本国政府が恫喝すればすぐに手放すだろう」

仮に半島のエージェントが貴賓を手にしたら?
その懸念に対して、威勢はいいが中国に対して腰が引けている半島の実態をよく知る劉がそう結論づける。

「しかし、そうだな…少し予定を変更しよう。
 こうも多数の勢力が蠢いていては我々も簡単に身動きできない。
 混乱を避けるよりもむしろ意図的に混乱を作り出すべきかもしれない。
 鈴―――旅館に無人のタンクローリーを突入させることは可能か?」

諜報の世界でも暗黙の了解はある。
すなわち全く関係のない一般人に対して害を与えない。
しかし、劉はそれをあっさりと無視し、巻き込むことを考えついた。

「…機材の準備時間さえあれば可能ですがよろしいのですか?
 派手な活動をすればいくら平和ボケをしたこの国でも大騒ぎになりますが?」

「その点は日本の良心的勢力の応援で対応する、問題ない」

2人の会話に人命を重んじる発想はない。
それよりも任務の達成に重点を置いていたし、

「所詮日本人だ、いくら死んでもかまわない。そうだろう、鈴?」

劉の言葉は中華の民にとってごく普通のものであった。


















コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« おススメSS Fate/EXTRA NEET | トップ | 続いたネタ26 GATE~夢幻... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

習作SS」カテゴリの最新記事