小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて18年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

北海道の医師不足問題 小樽市内でのお産は1箇所に

2015-01-08 00:25:50 | インポート
昨日の北海道新聞に掲載されていた医師不足の記事を興味深く読みました。

------------
北海道内の医師、あと千人必要 地方の不足さらに加速 
出典:北海道新聞

 道が、道内の医療機関を対象に必要としている医師の数を尋ねる「必要医師数実態調査」を実施したところ、昨年6月1日時点で、必要な医師が1万3157人だったのに対し、実際にいる医師の数は1万2013人で1144人不足していることがわかった。実際の医師の数に対し、何倍の医師が必要かを示す倍率「必要度」でみると、道内21地域の「2次医療圏」のうち、宗谷が1・23倍で最も高かった。
 調査結果は道が6日、道議会保健福祉委員会で報告した。調査は2010年に厚生労働省が全国一斉で行い、11年には道が独自に実施。3回目の今回も道の独自調査で、道内の病院572カ所、有床診療所468カ所の計1040施設を対象に行い、767施設から回答を得た。結果は、一般的な医療サービスの提供を地域内で完結できる単位である「2次医療圏」ごとに分析した。


(クリックで拡大)

------------
この調査だけをみると、例えば南檜山の必要度は1.03と医師が比較的足りていて、十分な医療体制が確保されているように見えますが、実際にはそんなことはありません。人口10万人当たりの医師数でいえば、南檜山は129人と全道平均の229人を大きく下回っています(平成22年)。
特に、南檜山地方には現在お産ができる病院はなく、妊婦さんたちは離れた函館市などで受診するという不便な思いをしています。
出産予定日が近づくにしたがって妊婦さんとその家族がどれだけ不安な思いをするのか。
想像に難くありません。

--

このお産の問題は小樽市においても人ごとではありません。
小樽・後志地区で唯一、周産期母子医療センターとしての役割を担っている協会病院が今年7月から新規分娩を中止すると発表し、このままでいけば7月以降、市内でお産できるのは民間クリニック1箇所となってしまいます。
札幌市のすぐ隣りにある小樽市でさえこのような状況なのですから、北海道全体を考えたときにどれだけ問題が深刻なのかが分かります。

協会病院では年間約400人のお産を扱っているとのことですが、2人の医師でみることが難しいというのは、近年の訴訟リスク、異常分娩の増加なども影響しているのでしょうか。
帝王切開遅れで1億円以上の損害賠償を請求されたとの新聞報道が過去にあったと記憶しています。
また、北後志6市町村に財政支援を求めているという記事もありました。
こうして考えると司法判断も厳しさを増す昨今では、産科の診療報酬が実態に見合っていないのかもしれません。

門外漢ながら、周産期医療に関しては、医師の労働条件改善、訴訟リスク軽減、助産師への権限拡大など、国において抜本的な対策が急務のような気がします。




ちなみに、よく出てくる「第○次医療圏」という用語ですが、医療法などに基づいて北海道が策定した北海道医療計画に規定されています。

■第一次医療圏 179圏域(各市町村別)
住民に密着した保健指導や健康相談、かかりつけ医などによる初期医療を提供

■第二次医療圏 21圏域 
比較的高度で専門性の高い医療サービスを提供し、入院医療サービスの完結を目指す

■第三次医療圏 6圏域 
高度で専門的な医療サービスを提供



参考(過去記事):小樽市の出生数