おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「自転車少年期」 竹内真

2009年01月15日 | た行の作家
「自転車少年期」 竹内真著 新潮文庫 (09/01/15読了)

 高校を卒業して東京で一人暮らしを始める時、ボクは千葉から中野へと自転車で向かった。東北の大学に通っている彼女に浮気がバレた時は、仙台まで2泊3日で自転車で許しを乞いに行った。大親友は失恋の痛みを克服するため、八王子から1日で山越えして日本海まで出た。ボクらが、大人になっていく節目には、いつも、自転車の旅があった。-そんなお話です。読んでいると、自転車に乗って、どこか行きたくなるなぁ。(もちろん、もうちょっと春の陽射しが暖かくなってからだけど…)

 で、大人になったボクらは、毎年1回、八王子と日本海を結ぶ自転車ラリーを運営している。高校のサイクリング同好会のOBメンバーが中心となって、その家族、友人に少しずつ輪が広がっていく草の根ツーリング会。ボクには息子が生まれ、息子もまた、自転車を通じて少しずつ大人になっていこうとしている。ボクらが毎年、大切に育ててきた自転車ラリーに、来年、ついに、息子も参戦する。

いい話だ! 登場人物はみんないい人だ。邪気がない。静かで、平和で、幸せな暮らしの中に自転車がある。でも、いい人ばかり、いい話ばかりで、ちょっと、物足りなかったなぁ。物語として、ドラマチック度がないというか、ひねりが足りないというか…。薄味過ぎると、食べた気しないんですよね。