「まひるの月を追いかけて」 恩田陸著 文春文庫 2011/10/02読了
多作の人気作家であることは知っているけれど…多分、過去に読んだことがあるのは「ライオンハート」1冊のみ。今回「まひるの月を追いかけて」を読んで解ったのは、なんとなく私好みではないんだなってこと。
ストーリーは虚実が交錯して二転三転する。主人公の静の異母兄が取材旅行の途中で失踪。静は過去に数回しか会ったことのない異母兄の恋人に誘われて、2人で兄を探す旅に出る ―という設定の無理矢理っぽさからしてイマイチ好きになれない。
その上、旅の途中で、兄の恋人だと思っていた人は、恋人になりすましていた別人であると判明!!! しかも、レストランのウエィトレスがテーブルにぶつかってバッグを落としてしまった時に、中から免許証がこぼれ落ちて「あっ! 名前が違う」と気付くって… 安っぽいドラマにありそうな場面だなぁ。
兄がなぜ失踪したか、アッと驚くその理由は最後の最後で解き明かされるのだが…これもまた、ずいぶん昔に聞いたことがあるような昭和っぽい陳腐さ。
と、思っていたら、wikiによれば、「郷愁的な情景を描くのが得意で、郷愁の魔術師と称されている」らしい。でも、私には、そのフィルターが1枚挟まったような、セピア色っぽい情景描写がそれほど魅力的には感じられなかった。