『帝都物語』ってご存知ですか?
博物学者にして作家でもある荒俣宏氏の小説で、帝都・東京を破壊せんとする魔人・加藤保憲とそれを阻止しようとする人々との戦いを描いたものです。
映画化やアニメ化もされた人気作品でした。私は初期の頃のシリーズしか知りませんが、悪役であるはずの加藤保憲が魅力的で、大好きな作品でしたね。

加藤保憲(嶋田久作)
加藤保憲とは何者でしょう?
これは、おそらく日本という国家が形成される過程の中で、消されていった「まつろわぬ」ものたちの怨念の集合体でしょう。
荒俣氏は加藤保憲を通して、日本の歴史の裏側を語ろうとしていたのかも知れない。
私もそうした、まつろわぬものたちに心を惹かれた一人、だから加藤保憲に魅力を感じたのも当然なのでしょうね。
長い長い歴史の流れの中で、結果的に体制に反抗するというかたちで、倒されていった者たちは数えきれない。
そうした者達は歴史の闇に埋もれ、その無念の叫び声を聞く者は誰もいない。
だからせめて、せめて物語の中だけでも、その者達の無念の想いを描きたい。
加藤保憲は、その者達の無念の想いの象徴なのでしょう。

映画『帝都大戦』の加藤保憲
私も、かつて蝦夷と呼ばれた東北の先人達の無念に想いを寄せた。
幕末の会津藩士達に心を寄せた。
一時期は中央を怨みもした。いや怨もうと思った。怨まないまでも嫌いになろうと思った。
でもなりきれませんでした。何故なら私は、どこにでもいるただの、
日本人ですから。
私は加藤保憲にはなれない。日本が好きだもの。
もつろわぬものたちのことは、忘れては絶対にいけません。
日本の歴史の中で、そのような悲しい出来事があったのだということは、絶対に忘れちゃいけない。日本人として、
絶対に忘れちゃいけない。
その上で、我々は「今」と「これから」を生きて行かなければならない。
日本の、日本人の今とこれからのために、なにをすべきなのか。
あなた、知らず識らずのうちに、加藤保憲に憑りつかれていませんか?
加藤保憲は、あなたのすぐそばにいるかもよ。

普段の嶋田久作さん。盟友、佐野史郎さんと。
ゾクゾクの面白さを思い出しました。いろいろと注意しますでございます。m(ФωФ)m。お疲れ様です。ありがとうございます。
で、たまたま知り合いに「東京グランギニョール」という劇団の関係者がいて、その劇団で『帝都物語』を上演することになったのですが、加藤役にピッタリの役者がいない。そこで嶋田さんの「独特」な風貌に目を付け、加藤役で舞台に立たせた。それが映画化の際にもそのまま加藤役で出演することになった。
で、そのままズルズルと現在に至る。なんか面白い人生歩んでますね。
若い頃は佐野史郎さんとバンドを組んでいたこともあるとか。よくわかんない不思議な人だけど、好きだな、この方。
中央政権が触手を広げるとともに、逆らうもの、障りとなるものを「鬼」「蛮人」として平らげてゆく…。
ちょっとまてよ!!
一片の不屈の魂は、たとえ滅びるとしても誇り高きものとしてずっと心に残る。
伝説として語り継いでゆくのもまた、不屈の魂なのかもしれませんね。
陰陽座 「紅葉(くれは)」
http://www.youtube.com/watch?v=NeI98bqUviw
伝説とは若干違う、陰陽座流解釈になってますが、哀しくも気高い女性の物語になってます。