まるぞう備忘録

無題のドキュメント

あの会社はなぜブラックになるのか。後編。

2016-04-12 09:54:01 | まるぞう経営学

私の大学時代の後輩はブラック営業に就職しました。毎月月末は営業マンは一列に並べられて、成績の悪い営業マンはグーで殴られる社風だったそうです。しかし彼は数ヶ月でその会社を辞めてしまいました。入社して数ヶ月でありましたが、別の会社に引きぬかれたのでした。ブラック会社とは縁があるうちは逃げよう逃げようとしても逃げられませんが、縁がない場合はこのようにあっさりと離れられるものなのかもしれません。

私もいろいろな社会経験を通して感じますのは、ブラック会社の根底にあるのは恐怖の支配であるということです。とにかく会社側は、社員が営業ノルマを達成しないと暴力やパワハラで圧力をかけます。そしてその圧力が非常に強いので、多くの社員を乞食営業にさせてしまうのです。



しかしながら営業とは、その本質は「与える」ことです。乞食とは正反対真逆です。その会社のプロフェッショナルな仕事や、その営業マンの知識。そしてプロの誠意。困っている人にアドバイスしてあげたいという思いやり。そういう「与える」という姿勢が、本人の営業マンという土壌を耕していきます。
優秀な営業マンとは、人を「この人と仕事したい」と思わせる空気を持ちます。その空気とはなんぞや。それは「与える」空気でありました。本人がブラックのプレッシャーを乗り切り、人に与えることができる意志力の蓄積が、本人にそういう空気をまとわせているのでした。

そう、ブラックな企業ではその「与える」空気の醸成が難しいのです。そもそも上司たちは自分がそのようなブラック企業で生き残って来ました。だから部下たちもそのように育てます。営業の売り上げが悪いのは自分のプレッシャーのかけ方が悪いと思い、自分がかつてやられたように圧力をかけます。あるい受注したプロジェクトにおいても事前に準備したり調査することが軽んじられる土壌です。取り敢えずぶっつけ本番で臨み、炎上してから徹夜で乗り切るスタイルです。毎日毎日、炎上案件の徹夜火消しでありますから、次のプロジェクトは事前に準備する時間はありません。こうして負のスパイラルにはまっていきます。心の余裕のなさがその会社全体をますますブラックにして行きます。
営業マンは身を守るために、そして会社は会社を守るために、各案件のプロジェクトにおいても最悪を想定することが第一の仕事になるべきです。しかしブラック会社が社員たちを徹夜で仕事させる火消しが仕事と勘違いしておりますから、事前に調査想定することがないがしろにされているように思われます。みなが締め切りにに追われているなんておかしいです。それは事前の準備を誰もしていないぶっつけ本番ばかりの仕事のやり方なのかもしれません。
ブラック会社は営業の売上ノルマも段取りの悪さも、全て会社からの恐怖心でカバーさせるという会社のことです。



もちろんこれらのブラック企業の場合、暴力が行われたり度を過ぎた違法行為を強制する場合は、労働基準局への相談をすべきと思います。しかし、自分の中で昇華するべきものが残っている限りは、その会社で頑張る必要があることも多いように思います。

その昇華とは。営業さんの場合は、恐怖の圧力に打ち勝って、相手に与えられる姿勢を持てるか。という労力が昇華です。
私も経営者の端くれなので、最大の恐怖はやはり資金ショートです。夜でも嫌な冷や汗で眠れないこともしばしばです。そんな恐怖ではもう心は負けて奴隷営業でも何でもしたくなります。欲しい、欲しい、頂戴、頂戴。お金くれるのなら何でもします。値引きします。あの仕事もこの仕事もタダでします。支払いは半年後でも構いません。土下座します。靴舐めます。何でもいいからお金ください。発注してください。そういう奴隷になってしまいます。

しかし私もわかったことがあります。この奴隷根性は営業では逆効果だということです。自分が奴隷になるほどにお客は逆に警戒して離れます。あるいは奪われないようにという警戒本能から、更に厳しい条件を突きつけてくるだけです。

だから営業マンはどんなに恐怖に晒されても決して自分自身を奴隷にしてはいけないのでした。自分自身は、お客さんにどういうプロフェッショナルを与えることができるか。それは恐怖心に打ち勝つ自分自身との闘いでありました。結局。



上司や会社が自分に突きつけてくる恐怖から逃げるのではなく、あああのコワモテの上司も内心は怖いのだ怯えているのだ。そのように理解し、腹を括って丸呑みしたあと、自分はお客さんに与えられるかどうか。今この瞬間。この場所が、結局自分にとって一番最適な勝負場所ということでありました。

そしてこの場所でこの勝負(昇華)をクリアしたならば、自然と別の土俵へと移ることになります。また次の土俵で、また別の自分との勝負に挑戦することになります。

おわり



おひさま、ありがとうございます。
(本日は中潮ですね)



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まるぞうさん、ありがとうございます。 (Unknown)
2016-04-12 13:54:04
いつも素晴らしい記事をありがとうございます。私もミジンコ経営者の端くれ、いつもまるぞうさんの経営学が心に刺さります。特に今日の記事は永久保存級です。肝に銘じてこれからもがんばります。( 〃▽〃)

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