下では昼少し前に降り出した雪は午後になると雨に変わって、夕方になってもまだ降り続いている。午前中、上の様子を見ようと雪の降る中千代田湖経由で行ってみたが、「国立高遠少年の家」方面はさすがにしっかり除雪してあるものの、途中の分岐から入笠・千代田湖方面へ向かうと、300メートルも行かぬうちにもう、雪のためそこから先に進むことはできなかった。
念のため引き返し、芝平経由も試してみたが、こちらも「百姓山奥いつもいる」氏が冬ごもりを始めた隠れ家へ行くための山道に、覚束ない轍があるものの、芝平峠に通ずる本道はそこで除雪が終わっていた。一昨日隠れ家に帰ってきた「山奥いつもいる」氏の言によれば、チェーンも併用したとのことで、なるほど悪戦苦闘したらしい様子がまだ雪道の上に残っていた。
ご機嫌伺いをしてみようかとその山道に乗り入れてみたが、雪道を荒らしてしまうことになりそうで、”まだ運転技量に難のある”氏をひと冬山奥に閉じ込めてしまってはまずいと思い、断念した。それにしても氏は、ここでこんなことを書かれていることも知らず、何が嬉しくて「One Man's Wildness]日本編をやっているのだろう。
「夕暮れの雪面の色を知っているか」
「白い色ではござらぬのか」
「何を言ってるんだ、薄い青、青色だよ。見たことないのか」
山奥センセイは勝ち誇ったように嗤ってくれた。
すっかり雪に埋もれた牧場の雪原上を、確かにブルーの薄い層が覆い、夕暮れの逆光の中に粉雪が風に舞い、踊る。噴煙を上げる御嶽山を真ん中にして中央と北の両アルプスが、夜の闇の中に沈みかけた眼下の広大な大地の防波堤となって、透き通る色のない冬の空を区切る。
寒さの中で幾たびそういう一瞬から、深い時間を得ることができたことか。
山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、11月17日のブログをご覧ください。12月5日、9日のブログも参考にしてください。そういうわけで、車での入笠牧場行きは困難となりました。富士見パノラマリゾートのゴンドラを利用するか、沢入からの入山がお勧めですが、伊那側の味わい深い「法華道」もお忘れなく。