きょうは上に行くつもりでいる。まだ路面の凍結がかなり厳しく、この独り言を済ませてから行った方がよさそうだと思っているが、目の前で読んでくれろと言っている本が3冊もあり、暖かくした部屋で、あるいは風呂の中で、そっちの世界へも行きたいという迷いもある。
先日は、雪の状況次第では車を捨ててと、威勢のいいことを呟いておきながらこんな軟弱なことを言っては、これを聞いた人たちから嘲われるかも知れない。「一度決めたら男はやるだけ」と、見栄を張っていたころを思い出す。
山では確かに進むべきか引き返すべきかと、迷うことがよくある。そういう時はあまりあれこれ考えず、身体の判断に任せてしまうことにしている。そうすれば、真ん中にいた針が右にでも左にでも振れて微妙な判断を下してくれ、気が付けばテントの中を片付け始めたり、湯を沸かしてもう一晩を過ごす準備を始めていたりする。
で、きょう、やはり上に来た。芝平の途中で間を置いて二人の顔見知りに会うと、両人とも枯れ木橋の先で流れ出た水が凍結していて、かなり危険だと注意してくれた。そのうちの一人は鉄砲撃ちで、電話が使えず峠まで歩いて戻り、助けを呼んだと話してくれた。年末年始を済ませて帰る時にもその場所は、あのままにしておいたらかなり危険で、下手をしたら大変なことになると予測はしていた。
第2堰堤の手前で先行していた轍は引き返していた。そこから先は20センチくらいの新雪の上をゆっくりと車を走らせた。枯れ木橋の手前で1速に落とし、問題の箇所と思われる辺りを慎重にゆっくりと通過した。新雪のお蔭でか、案じていたほどのことはなかった。オオダオ(芝平峠)に出ると、下ったのか上がったのか1台の新しい轍があったが、それも焼合わせで左の未舗装路に入っていって、そこからは再び新雪を快適に滑るように上がってきた。ただ、もう乗用車ではそれは無理だ。
昼少し前に上に着いた。2時間以上をかけたことになる。天気は快晴、昼の気温は零度、いつの間にか落葉松や白樺の小枝に付いていた雪は落ちていて、朝方の目の覚めるような白一色の眩い雪景色も、今ここからはゆるい午後の光りの中に弛緩しつつあるように見える。
この後一度でも雪が降れば、恐らく車で来ることはできなくなるだろう。降ったばかりの雪で乾燥しているから、車を走行不能の所謂"カメ"の状態にはしないが、根雪となれば湿った雪は車の底部に抱き付いて、そうなれば車はカメのように雪上でももがくだけで、前に進むことができなくなる。
山スキーを履いて少し歩こうと思ったが、専用の靴に履き替えるのが面倒でまだ決めかねている。これも身体の判断に委ねよう。
1日300万円もですか、恐れ入りました。toirinjunさん、いつも有難う。本日はこの辺で。