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『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン著

2008-06-28 | 読書
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数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。ある夜、近所の飼い犬が殺された。彼は探偵となって犯人を捜しながら、事細かに記録を取る。やがて驚くべき事実が明らかになり…事件を通して成長していく少年の心を描いた、『アルジャーノンに花束を』をしのぐ感動作。(解説より)

以前自閉症者のことを書いた、世間の認識と違うこと、彼らのなかには有名な学者や芸術家もいること。彼らは知能的に劣っているのでなく健常者の常識が通じないマイノリティなだけであること。
この本では自閉症を観察するのでなく、自閉症者自身に語らせる形式を取ることでリアリティが出ている。

この本の特徴であるひとつに章立てが素数になっていることがある、つまり2章から始まり3,5,7,11と続く、最初いきなり落丁かと思った。クリストファーが素数が好きで4桁の素数まで諳んじていることに由来している、このエピソードで『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出した。そういうキャラが出てくるのだ。

他にも数学に関わるエピソードがたびたび出てくる。けれどベースは犬殺しの犯人探しであり、クリストファーの人生に関わることである。そのてんこ盛りななかで絶妙のバランスがある。今までにない面白さを味わえた。

しかし、この本が児童書というのは驚きだ。あ、そうか、自閉症だから健常者の複雑な心理描写がない分こどもでも読みやすいってわけか。いや~新鮮だわ、これ。