小泉内閣の使命は郵政三事業の民営化である。貯金を集めたり、簡保に入るよう勧めたり、外で一生懸命働く郵便局を父親、そして父親のすねをかじって生活する特殊法人をどら息子と仮定しよう。どら息子(特殊法人)といっても、昔からどら息子だった訳ではない。戦後、息子には「経済大国」という大学入試を目指して頑張っていた。息子は父親に、「お父さん、経済大国という名の大学に合格する為には高速道路や住宅が必要」と言い、父親も息子の趣旨を理解し、公共事業(道路建設や住宅建設)という名の勉強道具の購入に必要なお金を息子に与えた。息子は勉強道具を買って一生懸命勉強し、父親の期待に応えてついに経済大国という大学入試に現役合格した。
しかし、大学に合格した途端、この息子は勉強しなくなり、遊びほうけるようになった。父親から貸し与えられていたクレジットカードで無駄遣いするようになったのだ。しかも父親から与えられたクレジットカードは1つではない。国債、地方債、財投債などいくつものカードをバンバン使っていたのである。湯水の如く金を使うこのバカ息子を見ていた悪友たち(抵抗勢力)が、「お前、羽振りがいいな。そんなに金があるのなら俺んところの選挙区にダムを作れ」と言い、別の悪友は「俺の選挙区には新幹線を作れ」と言い出した。バカ息子は悪友(抵抗勢力)にもジャブジャブ金を使った。
小泉氏は、このどら息子に「無駄遣いするな」と口で言っても聞かないことを知っている。ならば実力行使しかない。実力行使とはこのクレジットカード(財政投融資)を取り上げることである。悪友(抵抗勢力)は当然反発する。何故なら抵抗勢力はどら息子の金があってはじめて豪遊できるからである。
郵便局(父親)が特殊法人(どら息子)に資金を渡す"財政投融資(注意1)"を廃止しなければ、特殊法人(どら息子)は国民が預けたお金を勝手気ままに使ってしまう。長崎の諫早干拓に関して、ムツゴロウを殺して有明海苔を不作にしろと誰が頼んだか。誰も利用しない佐賀空港や静岡空港を作れと誰が言ったか。北方領土にムネオハウスが必要と誰が言ったか。誰も言ってはいない。郵政が民営化されれば、特殊法人への天下りも、無駄な公共事業も、700兆円を超える膨大な赤字も、日本のあらゆる諸問題は一気に解決する。これが小泉氏が言う"郵政民営化は改革の本丸"なのである。(注意1:財投は郵貯貸し出し方式から債権方式に移行しているが、事実上財投は存在していると言って差し支えない)
最後の「諸問題一気に解決」というのはいささか大げさな気もする。「解決の糸口を見つけられる」くらいでは。
槍玉に上がる財政投融資が日本的システムの最たるもので、これを廃止してもしかして予想以上の混乱を招くこともあろう。けれど、今までのシステムがだめだとはっきりしている以上トライする価値はある。
後世において小泉純一郎はどのような評価をされているのだろう?