ぬえの能楽通信blog

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気仙沼弾丸ツアー(その2=ネットワークオレンジさんでの上演)

2012-05-05 01:59:44 | 能楽の心と癒しプロジェクト

あは。ご報告2回目ではすでに東京に帰って来ているという。。(^◇^;) さすが弾丸ツアー。
もう。。気仙沼の人々、大島の人々にやられっぱなしです。気仙沼最高、大島大好き。

さて翌5月3日は朝から大雨でした。東北地方での活動で雨が降ったのは初めてではないかしらん。
この日はなんと1日で3公演の予定です。3.11追悼集会で湊小で3回の上演はしたけれど、島内とはいいながら移動しながらの3回公演は初めてではないかしらん。しかも今回は移動の足がなく、地元の方にご迷惑をお掛けしながらの上演でもあります。。

旅館で朝食を済ませてから、NPO法人ネットワークオレンジさんの事務所である「三日町オレンジ」へ。事務所の中には会場となる作業所兼談話スペースである「チャの木」がありますが、まず入口に積み上げられた駄菓子の数々が目を引きます。まるで近所の駄菓子屋さんの風情で、いつも子どもたちで賑わっているのだそうです。ちょうど ぬえらが公演をする翌日にはこちらで「縁日」を開くのだそうで、そういえば天井には大きな鯉のぼりがいくつも吊されてありました。

それから、ここがこちらの団体の活動の大きな部分でありますが、知的障害児の支援活動をずっと行っています。この日にも手作りの紙バッグが販売されていたのですが、これは包装紙を利用して障害児が描いた絵をそこに小さなデザインとして印刷して仙台のデザイナーが仕上げたものなのだそうです。ちょうど ぬえたちが到着したその前日には子どもたちは大船渡で行われている「恐竜展」に遊びに行ったそうで、スタッフの方の話では展示はちょいと拍子抜け、という感じだったらしいですが子どもたちは大喜びで、気仙沼に帰って早速みんなで恐竜の絵を描いたそうです。これもまた紙バッグになる日も近いのでしょうね~

さて公演準備をしている間にネットワークオレンジのスタッフの方々ともお話をさせて頂きましたが、日本から世界に向けて発信するところは多い、子どもたちの可能性を信じる、と強い意志を持った活動には頭が下がる思いです。それなのに事務所では笑いが絶えない、元気なみなさんの様子にこちらまで勇気づけられました。

公演は11時から『菊慈童』を上演しましたが、うを座の方々も駆けつけてくださいました。上演時刻の頃はもう嵐のような風雨でしたが、お客さまは大勢さんお出ましになって頂きました! じつは翌日、ぬえは大島での公演を終えて東京に帰る途中にこの会場「チャの木」に立ち寄って挨拶しましたが、この日に予定されていたピアノ&ボーカルコンサートも満員盛況でした。こちらの団体が地元に信頼されているからでしょうね~

上演を終えてから、まずは笛の体験レッスン。あれあれ? いつもこのコーナーでは誰も音を出すことが出来ずに終わってしまうのですが、このときは ほとんど全員、苦戦しながらであっても音が出ましたよ? あとで思ったことですが、こういう意味も含めて、気仙沼という街は文化レベルの高い街なのかもしれませんね~。







続いて恒例の装束着付け体験でモデルさんに名乗りを上げてくださったのは、うを座の塾生のサヤべ~(この日は新体操部の部活を早引けして公演に駆けつけてくれました!)の(きれいな)ママで、解説をしながら『羽衣』の装束を着付けていったのですが、モデルが良いからこりゃ映えるだべっちゃ。









終了後、気がついてみれば予定時間を大幅に超過して、装束を片づけてネットワークオレンジのSさんに大島に渡るフェリー乗り場「エースポート」に送って頂いた頃はもう14:30分の乗船時間ぎりぎり。笛のTさんと二人だけで2時間も上演していた計算です。。

仮設商店街のコンビニでなんとか弁当を買い込んで乗り場へ。この風雨で欠航を恐れましたが無事にチケットをゲットできました。大島へ渡るフェリー乗り場は、本来はもっと気仙沼港の先にあるのですが、津波で壊滅。港内の一番奥にあたる「エースポート」からの乗船になっています。でも、こちらも桟橋はいまだに崩れて半分海中に没したままですね~。被害が甚大だった港の先端部はだいぶ片づいて、ほとんど更地に近い状態になっていたのは2月に見ていたのですが、それだけに町の中心地に近い港の奥には破壊されたビルがいまだに無惨な姿を晒しているのが目に付きます。

さて定刻通りに船が出航。海側から気仙沼の港地区を見るのはこれが初めてですが、先端部はまだまだ片づけが途中であることがよくわかりました。。なんにせよ とんでもない事がここで起こった。悪魔の所行のようなその爪痕は、まだまだ消え去るのには時間がかかるのかもしれません。



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