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ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

マリカ姫とはだあれ?(付・ぬえのネット史)(その9)

2008-12-11 01:12:06 | 能楽
ほかにも当時の「六百年らいぶ」のアクティブは東京在住の人、それも ぬえと同年輩の若い人が多かったため、ぬえ宅に集ってクリスマスパーティーをした事もありますし、京都にみんなで遊びに行くのが目的の「舞妓さんに変身ツアー」みたいなものも企画されたことがあります。このときは ぬえもついて行きましたが、さすがにこの時ばかりは ぬえはツアコンではなく、傍観者でありました~。関西のアクティブもみなさんお集まりになって、大騒ぎのオフ会でありました。そうそう、オフ会と言えば「炸裂オフ」というのもありましたね~。マリカちゃんって誰? という疑問が出されたのと同じで、ROMにしてもあまり頻繁には会議室を覗いていない方にはわからないような、話題の流れを把握している常連さんの間だけで符丁のように いろいろな言葉遊びで楽しんだのもこの頃でありました。ぬえも、若かったね~

が、しかし。

ここまでアクティブが親密になるまでには、結構いろいろと紆余曲折もあったのです。通信の中で ぬえが学んだ事も多かった。

先に書いたように、ぬえはニフティの能の会議室の中では初めての能楽師の参加でした。結局、最初で最後でもありましたけれども。。当時の ぬえは、まだ能楽界の中でも、ネット社会の中でも、右も左もわからない状態でしたが、ニフティの会議室では最初から常連さんに歓迎されて、いい気になって書き込みを続けました。

でも、書き込みを始めて2~3ヶ月もしないうちに、会議室の雰囲気が少し変わってきたことに、ネット初心者の ぬえも気がつきました。何と言ったらよいか、ひと言では説明できないですが、ぬえがそこに存在していることが、会議室全体の発言の内容に微妙に影響を与えていました。なんと言うか、常に ぬえがいることが意識されているというか。。今だから言えるんですけれどね。

能を見ることを楽しみに集って、舞台について、演者について会話を楽しんでいる方々の中に、実際話題にのぼっている演者とも楽屋で顔を合わせる ぬえも参加している。。そんな息苦しさのようなものもあったでしょう。当時は能の実技を、それも謡だけではなく狂言の稽古をしている方も、相当熟練したレベルで囃子を習っておられる若いアクティブもありましたから、そういう方を中心にしばしば実技についての話題も熱く語られていましたが、本職の人間を前にして、どうも書き込みがしにくい、という事もあったと思います。

しかし実際の当時の ぬえは、今と同じく囃子オタクで、大学の能研上がりという出自もあって研究好きでしたが、いかんせんまだまだ修行中の身で、知らないこともたくさん。。というか、知らない事だらけでした。だからこそ、ニフティサーブの会議室に初めてアクセスしたとき、そこでは好きな演者の舞台の感想などのある種のファンクラブ的な発言ばかりではなく、実技についての疑問点に関して情報を交換し合ったり、はたまた真摯な舞台評まで展開されていたのを目にして、大変興味を引かれて参加したのでした。

当時の ぬえは、今と同じスタンスだと思いますが、能楽師であることは公言して、そうして舞台について疑問があれば質問は歓迎致します、できる範囲内でお答えしたいと思います、と申していました。やっぱり勉強の機会と、会議室を捉えていたのです。当時の ぬえは若手の一代目の能楽師として、情報量の絶対的な不足にあがいていた時期でもありました。でも能楽師が能の会議室で、しかも毎日のように発言するという事は、結果的に会議室のそれまでの空気の流れを変えてしまったのかな。。とも思います。そうして、ぬえの登場を歓迎して下さった方々と同時に、去って行ってしまわれたアクティブの方もおられたのです。当時 Board Leaderと目されていた方をその手はじめとして。

ぬえが参加することで会議室の雰囲気が変わってしまうのは、考えれば必然であったでしょう。当時の ぬえはそこまでは考えずに、またそれを考えるほどの立場でもないと考えて会議室に参加しましたが。。結果的にそれまでの会議室の雰囲気を変えることになってしまった。。それが ぬえ以前に会議室での会話を楽しんでおられた方々にとって乱入に当たる行為であったならば。。申し訳なかったと、ぬえは今でも思っています。
コメント (1)
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