銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

シュヴァルツバルトの黒い森と、アルザス・ロレーヌの小さな町めぐり

2024年06月24日 | のほほん同志Aの日常

初まりは2019年、もう5年前のことです。

ご姉妹で来店されたお客様が、
「フランスのストラスブールに友達が行ってきて、とても良かったというので」と、
一枚のメモ書きを差し出されました。

そこには、
〈アルザスの小さな町、 ナンシーのマジョレル邸、
 アールヌーヴォーの美術館・・〉などの文字。






「行きたいところを書いてきたのよ。お宅でコースを組んでくださる?」
なんと、海外旅行のリクエストです。
しかもご親族6名様で、とのこと。
これは大きなお仕事をいただいたものだと、身の引き締まる思いでした。

さっそく、長年ヨーロッパ手配でお世話になっているランドオペレーターの
担当者の方にルートを組んでもらい、
「では来年の5月に行きましょう」と話もまとまって、
あとは出発を待つのみかと思われました。




 ――それから4年あまり。
コロナが世界を飲みこみ、ロシアのウクライナ侵攻やガザへの攻撃が終息の気配を見せず、
さらには歴史的な円安まで…。

今も、海外へ行くには逆風です。
それでも、「もう行きましょう!」となったのは、
この機会を逃すと…との思いだったかもしれません。
ぽつりと仰いました。「私も80歳になるし、姉はもう、86だし」

5月末の出発日が近づくなか、東京のご家族ともオンライン電話での説明会を経て、
いよいよ関西空港関空に全員集合!
いざ、パリ行きの飛行機に乗り込みました。



私にとっても、実に4年ぶりのヨーロッパ。
以前、パリまで12時間だった飛行時間は、ロシア上空を飛べないため、
14時間に延びたと聞いています。
しかも、エコノミー席はぎっしり満席。
はたして耐えられるんかしら…とおののいているところに機長からのご挨拶。

“ボンジュ~ル、〇&△●◇▼~フジヤマ・・”

エーッと思わず伸びあがりました。
この飛行機、どっち向かって飛んでんの?

てっきり、ロシア上空を飛べないのなら、もっと下のほう、
中央アジアかインドか南回りで行くものと思い込んでいたのです。

でも実際には、飛行機は関空から東へ。
岩手・青森の海岸線から太平洋へとルートをとり、
アラスカ、カナダ北部、グリーンランドを経てヨーロッパ入りし、
無事、パリに到着したのでした。



“フジヤマの衝撃”からもお察しいただけるように、
添乗員としての4年のブランクは相当なもので、いざ現地入りしてからも毎日ドタバタ…。

「明日の出発時間を30分、遅らせて下さい」という今さら?的なものから、
「どうしよう、ドライバーさんと会えない!」という超緊急のものまで、
現地の“緊急”連絡先に毎日電話するはめに。

一方、ご家族6名様での旅行に同行するというのも経験がなく、

「シュヴァルツバルトの黒い森を歩きたい」(お姉さん)、
「パリはいいから、モネの暮らしたジヴェルニーに足を伸ばしたい」(妹さん)、
「パリ五輪のポスターを買いたい」(娘さん)、
「お菓子の仕事をしているので、地元のパティスリーに行きたい」(お嫁さん)

という皆さんそれぞれの希望にあたふた・・




シュヴァルツバルトの黒い森(バーデンバーデンにて)



トリベルクの滝



コルマールの運河








ナンシー派美術館にて、ドームの作品



バーデンバーデンのホテルはクラシックでした。



お昼はピザをいただいたり、





中央マーケットでキッシュにしたり。



夜は、ストラスブール名物、シュークルート(ドイツ語ではザワークラウト)
ビールが進みます。



アルザスのワイン街道



コウノトリとの出会いや



お菓子屋さんの前で、くぎ付けになる皆さん


最終日、パリから足を伸ばして、ジヴェルニーのモネの庭へ。



モネが晩年を暮らした庭は、花盛りでした。













邸宅のなかには、浮世絵のコレクションも。



たっぷり、モネの時間に浸りました。

…とモネの庭で写真を撮りすぎたせいか、
パリでは力(電源)尽きて、せっかくのエッフェル塔の写真が一枚もなく・・。

7月末から開催されるパリ・オリンピックでは、
選手団は、セーヌ川を船に乗って登場、
エッフェル塔を背景に、開会式が行われるそうです。


・・とこんな具合で、世代差もあってか、けっこうバラバラな皆さんのリクエストを
ひとつひとつクリアすること(だけ)に全集中。

最終日、パリの空港で、
「希望はぜんぶ、叶えてもらったかな」と仰っていただいたときには、
全身から力が抜けていきました。




――でも、口には出さないまでも、
このご旅行にかける本当の皆さんの願いはきっと、
「家族で良い思い出をつくりたい」


ですから、ずいぶん助けていただきました。長いブランク明けの添乗員を。
何から何まで、ありがとうございました。





〈追記〉

心地よい疲労に包まれて乗り込んだ飛行機では小さな偶然が重なり、窓側の席に。
眼下に海が広がり、モニターには黒海とあります。
北の海岸線には、ウクライナ、オデッサの文字も。

やがて陸地が現れました。
頼りなげに町灯りが瞬いています。

郵便飛行士でもあった、作家のサン⁼テグジュペリの言葉を思い出しました。

 試みなければならないのは、山野のあいだにぽつりぽつりと光っている
 あのともしびたちと心を通じあうことだ。 

                 『人間の土地』より


同じ空の下を生きている。

行き帰りの飛行機は、そのことを教えてくれました。

 

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