靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

「ずらす」、食べられたパンプキン

2011-11-19 01:11:16 | 子育てノート
何でも自分でしたい2歳児次男。時間がないからと周りから途中で手を貸されたり、したくてもまだまだ難しかったり、思うようにいかず手足をバタバタさせて泣き叫ぶこともしょっちゅう。

昨日も帰宅したガレージの車の中。自分ではずしたいシートベルト、なかなかうまくいかず。横から見かねた姉の一人がはずしたとたん、のけぞって泣き叫びカーシートから転げ落ち助けようとする手を振り払いまたよじ上ってシートの中でワンワンと。抱っこしようと手を差し伸べようが、お姉ちゃんは助けてあげようと思ったんだよと諭そうがワンワン。

荷物を降ろしたり整理したりとしばらくしたあと、相変わらず泣き叫んでいる次男に顔を近づけ目を大きくして少しささやくような声で言ってみる。

「ろい(名前)、お庭のパンプキン、ムースが食べちゃったかな」

ピタリと泣き止み、大きな目をして私の顔をじっと見る。ちょっと疲れた表情、何でこんなことになっちゃうんだろうって僕だってもうたまらなくって、という声が聞こえるよう。

コクリと頷きながらやっと腕の中におさまった次男を抱っこし前庭へ。雪の上にたくさんのひずめの跡。ほんの少しだけオレンジ色の皮が真っ白な雪の中に埋もれている。

「むしゃむしゃ食べちゃったんだね。今度ムースに美味しかったか聞いてみようか。今頃お腹いっぱいになって山の中で気持ちよく寝てるのかな」涙をためた目でうんうんと頷きながら、「むしゃむしゃ」「聞いてみるの」「ねんね」と相づちを入れる次男。

家に入るとすっかりご機嫌になって遊び始める。しばらくして膝の上にのってきた次男。
「ろい、えんえん泣いてたね」
「うん、えーんえーんて、自分でできるのおって」
照れ笑いしながら答えると、お気に入りの車の玩具を手にまた走っていく。


子どもが癇癪起こしたり取り乱しているとき、真正面から向き合いこちらもヒートアップして互いに火に油を注ぎ合い、ということを何度何度も繰り返してきた。そして徐々に少しずつまずは「ずらす」のがいいのだと学んでいった。今でもまだまだメラメラとしたやり取りにはまり込むこともあるけれど。

「ずらす」のは「ムースに食べられたパンプキン」だったり「ひんやりとした夕闇の空気」だったり「キラキラ光るつらら」だったり「遠くに聞こえる犬の遠吠え」だったり。五感への働きかけに、はっと「ずれる」瞬間。

まずは落ち着きゆったりとした気持ちになる、それから「はまっていた状態を客観的に見る」。もう少し大きな子とは「どうしたらそうならないようにできるか」「どうしたら改善していけるか」などと話し合ったり。

長い間かけて気づいたことのひとつ。

手塚治虫さんの言葉

2011-11-19 01:10:45 | 引用
手塚治虫さんの漫画を読んで育った。実家に手塚さんの作品ほとんど全部あったのじゃないかと思う。物心ついたときから周りに溢れいて、何度も何度も読んだ。小さな子にはかなり際どいエッチなシーンや、歴史や宇宙の壮大なシーンにドキドキしながら。(笑)

子ども時代のことを思い出していたら、以前読んだこんな手塚治虫さんの言葉を思い出した。

“ダメな子”とか“わるい子“なんて子どもは、ひとりだっていないのです。もし、そんなレッテルのついた子どもがいるとしたら、それはもう、その子たちをそんなふうに見ることしかできない大人達の精神が貧しいのだ、ときっぱり言うことができると思います。

『ガラスの地球を救え』光文社文庫より

子どもに返る

2011-11-19 01:10:37 | 子育てノート
一昨日三女のプレスクールで親ミーティングがあった。先生と親たちが集まり交流を深める会。

歌で始まる。久しぶりに歌った。子どものことから自身の幼稚園保育園時代の話。あんなことがあってこんなことがあって、皆が子ども時代を振り返って話す。

私は保育園で育った。祖母が経営していた保育園の二階に住んでいたので、本当に文字通り保育園で育ったのだった。0歳から6歳までの保育園、3つの校舎の内の「ベビー組」校舎の二階で大きくなった。祖母、親戚、母、皆その保育園や隣接する学童保育で働いていた。物心ついた頃からたくさんの子ども達大人達に囲まれた日常。家の中に家族以外の人がいるのが自然だった。

普段見慣れた友人の子ども時代の話を聞くうち、今の目の前の姿に小さな彼女達の姿が重なっていく。子ども時代を思い出し友人達と話を共有することで、いつしか子ども達と同じ高さで同じ視点から周りを見ているような気分になってくる。子どもに返っていくような感覚。

昔ウォルドルフのワークショップで大人同士手を繋いで輪になりスキップなどしながらくるくると回ったりしたことがある。「親ももっと遊ぶといいんですよ」そう講師の女性が言っていた。

あの毎日がワクワクとした感覚、その時その時の一瞬に全てがあって。そんな子どもの姿を内に抱いていけたら。


ミーティング後のプレイルームで。

砂で遊ぶ次男と次女。