鼠丼

神の言葉を鼠が語る

<685>

2016-05-19 21:35:42 | 日記
 毎度!ねずみだ。

 出来の悪い部下がいる。

 などと書くとよくある話だと一蹴されそうだが、もうなんと言うかそのダメさが半端ではない。

 何度同じミスを犯して何度怒られても改善できない。数かずのダメなヤツを見てきたが、彼はダントツでダメ。
 笑うしかない位ダメ。その上姑息で卑怯。仕事が出来ないのはなんとか我慢できるが(いや、やはり我慢できない。)、人間として心根が腐っているのだ。会社に入ってから初めて声が枯れるまで部下を叱った。いや、叱ったのではなく怒った。

 前任者から引継ぐ際に「こいつは本当にダメなので注意してください。」という言葉があった。その時は「大丈夫です。私が教育してなんとか一人前にしてみせますよあっはっは。」と言い切ってから2年あまり。
 漫画やテレビドラマでダメ社員が出てくると、「いや、さすがにこんな酷いヤツはいないだろう!」と突っ込むが、彼のダメっぷりはそんなの比ではない。多分脳みその作りが我々と違っているのだろうが、ギネスブックに載るようなダメ加減である。彼のミスを列挙すると万里の長城は最初から最後まで埋め尽くされてしまうくらいだ。

 周囲からも「彼を押し付けられて御愁傷様。」と言われている。

 彼にも老いた両親がいて、なんとか一人前の姿を見せてやるのが親孝行だよ、という話をよくするのだが、その時は神妙な顔で聞いているのだが、翌日になるとケロリと忘れているらしく同じミスをする。
 なぜ同じミスをするのか問い詰めても、その度に他人のせいにしてみたり、システムのせいにしてみたり、要は自分をとりまく環境のせいにしているのである。
 周囲はそんなヤツはさっさと異動させてしまえば良いと思うだろうが、いかんせん悪評が知れ渡っているので引き取り手がない。上長も含め、周囲は「引き取り手がいない以上、死ぬまで面倒に見てやれよ。」と笑うばかりである。あちこち回されてきて流れ着いたのがウチの部署なのだ。

 何かのきっかけでやる気スイッチが入ればと思い、じっと待ち続けている毎日である。いつの日かスイッチが入るのだろうか。いやその前にスイッチがあるのだろうか。私の中では、諦めている自分となんとかしてやりたいと思う自分が毎日のように喧嘩している。今まで出来の悪い部下を独り立ちさせてきたのだから今回もなんとかしてやりたいような、投げ出したいような。

 もしかしたら何かの罰ゲームなのだろうか、と思う。

 ぢっと手を見る。


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