遠方から

一昨日の開店早々フラッっと店を訪れた男性

お名前を聞くチャンスを逃したが

山口の防府から仕事の研修で上京してきたとか…

ちょうど宿泊先が当店のすぐ傍にあるビジネスホテルだった

居酒屋で夕食を終えたあとの道すがら

当店を見つけて何となく立ち寄ってくれた


オカマバーは初めての様だったが

何から何までバカウケしてくれて

とても楽しんでくれたようだった

私はマヤの出勤を待ってバトンタッチ

吉祥寺まで速水パパを迎えに行くためだ

ちょうどご贔屓のクラブ嬢が誕生日で

お祝いに誘われていた

プレゼントを持ってタクシーに乗る

小一時間席を外してパパと一緒に戻って来た時には

既に山口の彼の姿はなかった


そして翌日

やはり開店早々だった

私はメイクこそ終えていたものの

まだヅラを乗せる前で

カウンターの中で支度をしていた

其処へ昨日の彼が現れたのだ

「あらっ、もう山口へ帰ったものだと思ってたわ」

まさかの連泊で当店に再び遊びに来てくれた

研修の方は寝不足で大変だったらしい

この夜は彼の色んな話を聞くことが出来た

九星と血液型のミックスで性格も占ってみたら

これが見事に当たっていたらしい

かれこれ２時間は経ったであろうか

当店の営業は９時からなので

それまで居酒屋で時間を潰していたらしい彼は

やや眠そうな雰囲気になってきたので

お会計を済ませて宿へ帰ることになった

「また上京する事があったら覗いてね～」


彼を通りの向こうに見送った

明日はまたいつもの暮らしに戻るだろう

たまには当店のことを思い出してくれるだろうか

そして又、彼が当店に現れる機会は来るだろうか