サカイちゃん

店に出るたびに喉の具合が悪くなったり悪寒が走ったり

もしかして、また風邪をひいたのだろうか


最近またよく顔を出してくれるサカイちゃん

ここの処ご無沙汰だったのだが

２週間くらい前に久々に覗いてくれた

平日の暇な日だった

私は風邪のひき始めで体調は悪く出来れば早上がりしたいくらいだった

しかし遠距離通勤なのでそうもいかない

サカイちゃんは相変わらずボソボソと聞き取りにくい話し方だ

「元気だった～？」から始まって近況を聞く

彼の住まいはこの町と少し離れた場所の２箇所

何故そうなのかはいちいち聞かないが色々とワケありな様だ

彼のケータイ番号はまだ聞いていなかった

メアドも含めて今回初めて登録した


彼はこの町の中学校を卒業したらしく

その当時は結構ヤンチャだった様だ

身体のアチコチに勲章の傷跡が残っている

その頃は柔道をやっていたそうで

３０年近く経った今でも面影を残すガッシリした体系だ

ある時、たまたま中学時代の同級生と鉢合わせした

その人はどうやら昔、サカイちゃんに苛められていた様だが

今は大人になって「あの時とは違うんだぞ」と威嚇する

サカイちゃんも「何イキがってんだ」と鼻で笑うが

一触即発ムードだった

何とかお互いをクールダウンさせて事なきを得たが

それ以来サカイちゃんの足は遠のいた


時計の針は３時を回った

他のお客様はとっくに帰って彼１人だけだ

相変わらず店内はマッタリとしている

私の体調は更に悪くなって来た

きっと風邪をサカイちゃんにもうつしているはずだ

いつもより３０分早く店じまいする事にした

「ゴメンネ～

　もしかしたら私の風邪うつしたかもね…」


それから１週間くらい彼はご無沙汰だった

来始めると集中して連夜覗いてくれるのに

やはり風邪をうつしたのかも

そう言う私も翌日は店を休んで安静にしていた


そして今週の木曜日

「１週間入院していたんだ」

えっ？まさか風邪で？

病み上がりだと言うのに

またまたオープンラストで飲んで行ってくれた

更に金曜日もラストまで

今夜も来てくれないかしら…なんてね