脱出

昨夜から今朝にかけて真冬の様な寒さだった

そう言えば先週は雪が降った

春分の日を過ぎても

まだまだ厚いコートやジャケットが手放せない


仕事帰りの駅での事

改札を抜けた私の耳元に耳慣れない言葉が聞こえてきた

振り返るとインドやパキスタン系の人たちが何人か

大きな鞄を提げて改札に向かっている

よく見ると小さな子供も一緒だ

何処かへ旅行でも…

大人たちは何か慌てた様子で子供を急かしている

ハッとして私は彼らが何処へ行こうとしているのか気づいたのだ

そう、日本を脱出して祖国へと向かっているのだ

抱えきれないくらいの荷物が何よりの証拠だ


水道水が危ないとの報道で

スーパーやコンビニのミネラルウォーターやお茶は品薄だ

昨日覗いたスーパーにはこんな貼り紙がしてあった

「乳幼児の居るご家庭には

　優先してお分けいたします

　スタッフまでお声をおかけ下さい」

確かそんな内容だった

売り場に並べるとたちまち買い占められてしまうので

倉庫にキープしているのだろう

原発の事故はこの先収束に向かってくれると良いが

まだまだ予断を許さない状況のようだ

少なくなったとは言え

未だに「地震速報」に脅かされる日々

身の危険を感じて脱出したくなるのは誰しも同じだろう


地震のあったその日の夜から

やけに大きな鞄やリュックを背負った家族連れを見ると思ったら

こう言う事だったのだ

実家や親戚の家に身を寄せる為であろう


明日からまた計画停電が実施される

週刊誌には政治家や有力者が住んでいるエリアには

停電を実施していないのでは？と書いてあったが

本当だろうか

それよりも夏が近付くにつれ

冷房に慣れた都会人は

節電なんて忘れてしまうのではないだろうか