壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)読み始め

2013年02月18日 | よむ

『自分のアタマで考えよう』(ちきりん著)を読み始めたよ。冒頭、プロ野球人気の変遷についてグラフがあり、ここから考えられることを述べよ、という問いかけがありました。

1970年の調査、プロ野球ファンは20~30代が多い。
2010年の調査、プロ野球ファンは40~50代が多い。

プロ野球は、若いファンの獲得に成功していない。このままだと、ファン離れは進む一方。いまの中心ファンが亡くなる頃には、ファンがいなくなるのではないか。

これは、考えられることでなく、既に知っていること、とちきりん氏。

考えられることは色々あるが、一例として、日本の野球事情を知らない留学生が、もしこのグラフを見て考えれば、として書いています。可処分所得の多い高齢層にファンが多い。野球ビジネスは有望だ、と。

僕は、調査の時間差に着目したよ。40年前の娯楽、2010年の娯楽。後者は多様化している。スポーツも、野球ばかりでなく、サッカーもバスケットもプロリーグができたし、多様化している。「巨人、大鵬」でないが野球と相撲だけでない。若い人ほど多様なスポーツに接している。だから、高齢者のほうが、かつてよく視聴したプロ野球ファンの比率が高くなるのは当然。

グラフを文章化しているので、話がうまく伝わるか。興味のある方は、同書を読んでください。

ちなみに、このグラフ。「架空のデータ」とか。3ページで明かしています。ぼくが編集者なら、このネタ、序章の最後か同書の最後に移動させますね。

まだ読み始めたばかり。とても興味深いです。






『犯罪捜査の心理学』(越智啓太著)読後記

2013年02月18日 | よむ


『犯罪捜査の心理学 プロファイリングで犯人に迫る』(越智啓太著)を読みました。

プロファイリングとは、連続犯罪について、犯人の動機から迫るのでなく、その犯跡を分析し、類型化し、犯人のタイプを探るという捜査手法です。

確かに犯罪は一度であれば、その犯人特有の傾向もへったくれもありませんが、「連続」犯罪なら、その犯人の特徴が犯跡に表れる、と考えられますね。プロファイリングとは、この犯跡の特徴によって、犯人のタイプを読むというものです。読んでいて「究極の帰納法」な~んて言葉が浮かんできました。

FBI(アメリカ連邦捜査局)が開発した初期のプロファイリングは、わずか36件の事件の分析でした。例は少数ですが、かなり的確に犯罪者のタイプを当てています。具体的には、犯行現場が散らかっているか、被害者は切り刻まれているか、などと犯跡を分け、「無秩序型」と、その逆の「秩序型」に分類します。

無秩序型の犯罪の犯人は、知的水準は平均以下、非熟練的職業(単純作業)に従事、子供のころのしつけは厳しかったetc、とします。

秩序型の犯罪の犯人は、知的水準は平均かそれ以上、熟練を要する仕事に就いている、子供のころのしつけは一貫性がなかったetc、とします。

なお、プロファイリングが有効なのは、被害者=加害者間に何の関係もない犯罪、ストレンジャー犯罪です。つまり、最も頻発する、古典的な、色恋や金銭がらみの犯罪ではないので、ご注意を。

本書はこの犯人のタイプ以外にも、犯人の居住場所や次の犯行現場の予測、犯人の危険性の予測、「大量」殺人のケースの動機の推定も解説しています。

危険性の予測は、警察のストーカー相談に応用されているとか。もちろん、すべての相談に真剣に警察は応えるべきですが、物理的に不可能。そこで、より危険度が高い相談にウエイトをかける、というのです。

ちなみに、ストーカーは、次の4つに分類されます。
1)拒絶型。元恋人、元夫婦などで、よりを戻そうとするが拒絶され、ストーカーになるタイプ。
2)憎悪型。全く関係ない人で、満員電車で押されたといった些細なことを重大事と受け止め、その相手を付けまとうタイプ。
3)無資格型。大好きな相手に告白するが、ふられた(つまり交際の資格がない)のに「内心では俺のことを好きなはずだ」と勘違いし、付きまとうタイプ。
4)親密希求型。無資格型の激しいもの。

このうち、暴行や殺人に至りかねない、最も危険なのは、1)です。多くのストカー事件を分析すると、そのことが数字で明らかになります。かつては「痴話げんか」とされ、警察が相手にしなかったタイプが、実は最も危険だったというのです。プロファイリングの面白さは、こうした意外な盲点が明らかになることですね。

なお、本題とは逸れますが、一言。研究者が対象とする事件は、殺人、放火、レイプなどの連続事件です。(以下引用)「サンティーラ(Santtila)らのグループは、フィンランドの連続レイプ事件のデータを用いて、研究を行いました。用いたのは16名の連続レイプ犯人の43のレイプ事件のデータです。犯人の平均年齢は31歳で、その範囲は16歳から49歳、被害者の平均年齢は32歳で、その範囲は15歳から62歳でした。」。62歳にしてレイプ被害に遭うとは! ちょっと驚きました。

プロファイリングの入門版としてぴったり。推理小説好き、心理学好き、心理学の学生は、ぜひ。