壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『松本清張短編全集(7)鬼畜』読後記

2013年06月17日 | よむ

『松本清張短編全集(7)鬼畜』を読みました。

「なぜ「星図」が開いていたか」
「反射」
「破談異変」
「点」
「甲府在番」
「怖妻の棺」
「鬼畜」

解説で、山前譲氏が「清張作品と家族」について論じています。たしかに清張の作品は、愛憎とか偏愛とか家族関係が背景にあることが多い。注意しないと気付かない点ですが、重奏低音のように流れています。

(あとがき)より。「武田家は勝頼のときに滅んだが、その遺臣は家康が多く召し抱えている。甲州の地が徳川家にとっても重要だと家康が考えての懐柔策だろう。しかし、その懐柔にも応じなかった頑固な遺臣も少なくなかったにちがいない。彼らは郷士となり、帰農したり山に入ったりした。」

10年ほど前に読んだ『奥多摩町異聞』『桧原村紀聞行』(いずれも瓜生卓造著)には、この地の先祖は甲州から流れてきた武田の遺臣とありました。それとちょうど符号します。

「江戸周辺で甲州はなんとなく秘密を持っている国のように思える。それだけに前から魅力があった。」

文庫片手に、1泊くらいの山旅をしたくなりました。