金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

すあし11

2012-07-06 10:48:02 | Weblog
どうして?
問う桜に兄はにこやかに答える。
ぽちくん達もさみしそうですし、そろそろ良い頃でしょう。
え、

え、と言葉を切った桜はちょうど入ってきた秘書官に次の言葉を妨害された。
もし、秘書が入ってこなければ桜は言っただろう。私の意思は無いのですかと。

仕事も忙しくなったので手伝っていただけたいのですよ。
兄は言葉を人の言葉に変えて続けた。
人のいるところで国の言葉を使わないのは国人の常識である。

その場で秘書を紹介され、数日休んだ後お国様の仕事を始めた。
しかし、桜に回される仕事はあまり必要が無いものばかり。

そんな折、ドイツから使者が来ることになり、それがギルベルトだという事を桜は聞いた。
会えると思いウキウキしている桜にその前日、兄は言った。

神奥の様子を見てきてください。
そこは江戸時代の少し前まで桜がずっといたところ。
兄が迎えに来てくれたあの日まで、桜は名も無いままにそこで生きていた。
自分がどういう存在なのか知らないままに。

そして、桜は神奥に来た。ここは何も変わらない。千年経っても変わらない。
兄からはギルベルトが帰国してすぐ、家に帰っていらっしゃいと連絡があった。
桜は答えた。
「帰りません」
驚く兄に桜は続けた。
「私がここで安定しているのが、一番お兄さまの役にたちます。」
ですから、帰りませんと言い切り、桜は電話を切った。

グリム童話の家はここにいるという意思の表明のように造られ、報告を受けた兄を大層嘆かせた。

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