「私は何を間違えたのでしょうね。ポチくんはわかりますか」
くーん
夕日を写した瞳でポチくんは菊を見上げた。
思い出すのはあの日、ようやく戦乱が終わる気配が感じられる頃、迎えに行った幼い妹。
自分に妹がいるなど知らなかった。どういう存在なのか想像もつかなかった。
権力者の意向を背景に菊はむりやり神奥を開けさせた。
その手には戦乱の時代をともに生き抜いた愛刀。
もしも、自分にとって危険な存在なら、この国を混乱させるような存在なら。
そして、開いた扉の奥に彼女はいた。
外見はせいぜい3歳。ちょこんと座って、ただ見上げてくる。
国の言葉で名を尋ねても答えない。
「桜さんは「国」ではありません」
では何であるのかについて、菊は答えを持たない。
調べた限りでは桜はずっと前からそこにいた。
へたすると自分より昔から。それ以上は調べようがなくて今も分からない。
菊は彼女を妹と呼び名を与え、大切に守りぬいた。それはあの戦争の時期でさえ一切の悪いものを近づけないほどに。
ことりがヒナを育てるように国の言葉を教え、自分と同じものとして歴代の上司に認識させた。
桜は完全に菊の妹になった。
くーん
夕日を写した瞳でポチくんは菊を見上げた。
思い出すのはあの日、ようやく戦乱が終わる気配が感じられる頃、迎えに行った幼い妹。
自分に妹がいるなど知らなかった。どういう存在なのか想像もつかなかった。
権力者の意向を背景に菊はむりやり神奥を開けさせた。
その手には戦乱の時代をともに生き抜いた愛刀。
もしも、自分にとって危険な存在なら、この国を混乱させるような存在なら。
そして、開いた扉の奥に彼女はいた。
外見はせいぜい3歳。ちょこんと座って、ただ見上げてくる。
国の言葉で名を尋ねても答えない。
「桜さんは「国」ではありません」
では何であるのかについて、菊は答えを持たない。
調べた限りでは桜はずっと前からそこにいた。
へたすると自分より昔から。それ以上は調べようがなくて今も分からない。
菊は彼女を妹と呼び名を与え、大切に守りぬいた。それはあの戦争の時期でさえ一切の悪いものを近づけないほどに。
ことりがヒナを育てるように国の言葉を教え、自分と同じものとして歴代の上司に認識させた。
桜は完全に菊の妹になった。
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