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スターフォックスの一ファンのブログ

「ファルコとの出会い」その3

2007年05月13日 23時58分52秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「ペッピー・・どう思う? これを」
 防衛軍基地内の一室で、二人の人物がなにやら話している。
「機体の持ち主は、わかっておるのですかな?」
「うむ・・名はファルコ。近年、惑星間航路の近辺をうろつきまわっている暴走族どもの、どうやら親分格らしいのだ」
 防衛軍最高司令官・ペパー将軍は、やれやれというように顎を撫でまわした。
「この基地のパイロットは、訓練中の若い者がほとんどだ。しかし中には、数々の戦いをくぐり抜けてきた勇士もいる。にもかかわらず、暴走族の親玉ごときを捕らえられなかった・・・」
 モニタには、先日のファルコの機体と、それを追撃しては次々とかわされるコーネリア軍の機体が映し出されていた。
 あるときは地表すれすれをきりもみで飛び、あるときは急旋回し姿をくらます、ファルコ機の俊敏さに、ふたりは一時心を奪われていた。
「ウム・・実にいい腕だ。こいつと空でやりあうのは、ちと骨が折れますな」
「いい腕か。確かにな」
 将軍はため息混じりに言った。
「ベノムのことで頭をなやましておる最中にこれだ。正直私には、暴走族の始末にまで、時間を割いておる余裕がない」
「なあるほど。そこでワシの出番となるわけですか」
 もう一人の人物、ペッピーがヒゲを揺らしながらうなずいた。
「つまりは、そういうことなのだ。すまんな・・このようなことで呼び出して」
「いやあ、なァに。将軍きっての依頼とあらば、受けないわけにもいきますまい」
「そうか、やってくれるか」
「もちろん!」
「ありがとう。君には本当に、世話になる」
「何をおっしゃる。では、ワシはもう行きます。最初の依頼が将軍からのものとなれば、ヤツも喜びますよ」
 ペパー将軍はいぶかしげに鼻をひくつかせた。
「ヤツ? ヤツとは・・」
「将軍。いずれお話しようと思っていました。ジェームズのせがれのことです」
「何」
 驚きを隠しきれない将軍を前に、ペッピーは話し続けた。
「フォックス・マクラウド。つい2ヶ月前まで、士官学校の候補生でしたわい。そして今は、新生『スターフォックス』のリーダーです。将軍、今のワシはフリーの傭兵ではない。昔同様、スターフォックスの一員なのですよ」
「ペッピー・・そうか・・・」
「正式な依頼をいただけますかな。われわれスターフォックスに」
 短い沈黙ののち、将軍は答えた。
「良いだろう。正式に依頼しよう。ただし、その前にフォックスと直接に話させてくれんか」
「もちろんですとも! ヤツも久方ぶりに将軍に会いたがっていますよ」

 ドアノブに手をかけたペッピーが、ふと振り向いて言った。
「そうだ・・問題のスゴ腕、名前はなんと言いましたかな? ド忘れしちまいましたわい」
「ファルコ。ファルコ・ランバルディだ。もう忘れるなよ」
 呆れたように、ペパー将軍が言う。
「そうかファルコ。ファルコの、ランバルディですな。任せてください、かならずヤツを捕らえてみせますぞ!」
 ばたん、とドアを閉めて、あとは慌ただしく廊下をかけて行く音だけが残った。
 将軍は呆気に取られて、ドアの向こうに視線を泳がせていた。
 ベノムでの惨劇から生還してから、ペッピーは一気に老け込んだと思っていたが・・やつめ、以前の自分を取り戻したか?
「よく帰ってきたな、ペッピー」
 ペパーは静かに、そうつぶやいた。


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