鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

9月30日(日)オオムラサキの棲む森で、本邦初!女性のための虫愛ずる一日開催

2012-09-07 18:39:07 | 日記

 オオムラサキの3齢幼虫。愛称「ムーちゃん」




 8月の半ば、山梨県北杜市にあるオオムラサキセンターの館長さんから
こんな連絡をもらいました。

『当館では、昆虫ファンをもっと増やそうと、様々なイベントを行っています。
しかし子供と家族の参加は多いものの、女性の虫捕り参加が皆無です。
女性の虫ファンをもっと増やしたいと考えています。
そこで女性のための虫を楽しむイベントを企画したいと思います。
1・女性だけの秋の虫捕り観察会
2.虫捕りの他に、虫の話の講演(講演には男性も参加させたいと思います)
ご協力いただければ有難いと思います』。



全国で国蝶オオムラサキが最も多く生息するという、山梨県北杜市長坂にある
オオムラサキセンター。
いちど行ってみたいと思っていました。
  開帳10センチという大型のオオムラサキは、もちろん成虫も華やかで美しいタテハチョウですが、
耳のように見える突起のある頭部をした幼虫がまたかわいい。
こういった施設が本邦初、女性目線の、虫を楽しむ企画をたててくれるなんて!

「女性の虫好きを増やしたい」・・・・・うーん、私の感触では、
虫に興味を持って目を注いでいる人はすでにかなりいる、のではないか、と。
ただ、従来の昆虫採集中心の虫好きのイメージとは、ちょっと違うので認知されていないだけじゃないか。
あまりおおっぴらに「私の趣味は虫の観察です」と言わない人も多いから。
だって、『虫愛ずる姫君の昔から、女子だって虫が好きでした』、だから。

 虫が好き、という気持ちに老若男女はない、と思っていますが、
ここ数年間で出会った虫の好きな人たちを見てみると、
たしかに、女性の虫とのかかわり方、見方は、男性のそれと
ちょっと違う傾向が、確かにあるように思います。
また虫への興味の持ち方は多様化してきている、ともかねがね思っています。

 そして、さらにうれしいことに、『昆虫エクスプローラ』『むし探検広場』の
川邊透さんも、ゲストとしてご協力くださることになりました。
1部の観察会では、スマートフォンとWEB図鑑という野外観察での新しいツールを駆使して、
川邊さんが、みんなで見つけた虫について教えてくださいます。

 ランチ&交流会のあとの対談では、
朝の観察会で見たいくつかの虫を取あげて、さらに知識を深めます。
また、毎日全国の虫好きから、投稿を受けとる『むし探検広場』の園長として、
川邊さんが、投稿の内容から男性と女性の違いなど、興味深いお話も。










 詳細を打ち合わせるために、きのう下見に行ってきました。

 世田谷から、オオムラサキセンター最寄駅、山梨県の日野春(地名は長坂)という駅まで、
電車を乗り継いていくと2時間半あまりの、オオムラサキの棲む森への小さな旅でした。

 約束の11時、なんとか日野春駅に着きました。




 小さな駅舎は無人ではないのですが、切符を受け取る駅員さんもいないし、
パスモ(ここでは利用不可)を清算する器械もないので、いいのかなあ?と思いつつ
そのまま駅を出ると、オオムラサキセンター唯一の女性スタッフ、渥美さんが
車で迎えにきてくれました。

 日野春駅から、オオムラサキセンターまでは、徒歩でも15分ほど。


 館のエントランスは、翅を広げた(オスの)オオムラサキのディスプレイに彩られています。




 館長の跡部さんとスタッフのかたたちと、打ち合わせをしたあと、
自然林に近い環境でオオムラサキを育てている「びばりうむ」へ。



たくさんのエノキが植えられているオオムラサキの生態園です。



あれ?オオムラサキの幼虫はどこ?

渥美さんに教えてもらって、葉っぱを見ると、あちこちに
緑色の幼虫が。



わっ、ちっさい。




9月のはじめのこの時期、オオムラサキは3齢虫の姿。(イベントのころにはもう少し大きくなっているはず)
1、2センチくらいです。

オオムラサキセンターでは、オオムラサキの幼虫を「ムーちゃん」という愛称で呼んでいます。

朝早く起きて、この時点までまだ寝不足気分だった私ですが、
顔をあげたムーちゃんをみて、完全に覚醒!


チョウの幼虫には、頭部に耳のような、突起のような、角ように見える部分をもっているものが、いくつかいますが、オオムラサキもそう。

こんな風に顔を俯けているのが多い。


顔をだんだん上げて、



3齢の今は、枝分かれした茶色い突起を持っている。



いろんな方向から撮ると、いろんな表情が限りなく見えてくるので
写真を撮るのに夢中に。


まだ卵も少しあった。






 国蝶オオムラサキは6月下旬から7月下旬にかけて羽化するタテハチョウの1種。
開帳10センチとタテハチョウで最大サイズ。
オスの翅は光沢のある青紫色、メスはオスより一回り大きいが翅に青紫色の光沢はなく茶色っぽい。

 8月に孵化した幼虫は、夏から秋にかけてエノキの葉を食べて成長し、幼虫のまま冬は地面に降り、エノキの枯葉の下などで越冬する。この間は体の色が緑色から枯葉色―茶色に変化。
そして春、休眠から覚めると再び食樹に登って葉を食べはじめ、ふたたび体色は緑色に。
蛹化直前の6齢幼虫になると大きさは6センチにもなる。
この6齢幼虫は、突起の部分にブルーの線がはいって、とても美しい。
そしてやがてサナギとなり、夏に羽化という、年一化の生活史をもっている。

 オオムラサキの標本はもちろん、館内には、カブトムシやクワガタなど、世界から集めた花形昆虫たちの標本や生き虫展示もあって、見ごたえがある。

えっ、これなに?!


つくりものではありません。
近隣で飼育している学校から贈られた
こんな幼虫の頭部をつけたまま羽化した珍品標本も。






 イベントでは、びばりうむでムーちゃんを見た後に、センター付近の自然観察路で虫さがしをするので、そのコースを下見。

こんな観察路。



3センチと小型のナツアカネがあちこちに。



ジョロウグモのカップルも。



 そして、クロヒカゲ。









 女性のための催しだから、ランチにも気を使いたい、
と、渥美さんとセンターから歩いて5分ほどの里山カフェに下見に行くことに。
古い民家を改装したという里山の雰囲気にぴったりのカフェで、
カレーうどん、と日野春の地鶏を使った鳥丼、






そして、食後にこだわりの粉で焼いた、まわりがぱりっ、なかはふわっ、のパンケーキ。



 どれも美味しかったけれど、遠方から電車代をかなり使って来てくれる参加者にとっては、
ちょっと値段が高いかな。
というと、「それじゃあ、センターで1枚300円の薪ガマで焼いたピザっていうのは、どうでしょう?」と渥美さんから新提案。


 里山とピザ?
きいてみると、里山の保全に薪を使うピザ釜が活躍しているのだそうで、
間伐材を燃料にして、地元の野菜を使ったピザをスタッフ総動員で焼いてくださるのを、
センターのウッドテラスで食べるという案。


里山感いっぱいのテラス。



これが間伐材を燃料にしたピザ釜。


うん、いい、いい!
するとそばに、なになら網のかかった台があるので、これはなあに?ときくと、
「これは団子を焼くためのものです」と。

いい、いい!焼きたての団子も食べたい~。ということで、
里山ランチは、薪釜で焼いたピザと、団子に決定。(両方食べても450円です)
もちろん、お弁当を持参してこのテラスで食べるのもOKです。


 でも・・・・予約がたくさん入ったら、ピザを焼いたり、団子を焼いたり、
スタッフはてんてこ舞いでは?
というと、館長の跡部さんが、
「鈴木さんと渥美さんのふたりで女性が楽しめるような計画をたててくれれば、
あとは、わたしらがなんとかするから、いいよ」と。

 ジーン・・・・・・・。



 さらに「ムーちゃんの写真、いっぱい撮りたいなあ」というと、
このテラスの一画に、エノキの鉢植えをいくつか並べて、
参加者が、心行くまでムーちゃんの写真を撮れるコーナーをつくることも決定。
(びばりうむでは、柵のなかに入れないので、いろんな角度からムーちゃんの写真を撮るのが難しいため)


 などなど、現地に行ってならではの、いろいろなプランをたてていると、
事務所から「今、山梨日日新聞の記者が、取材に来たから
ちょっと来てください」と。


 山梨日日新聞の記者さんに、女性虫ファンをメインターゲットにした催しは
掛け値なしに「本邦初!」であること、女性の虫ファンが増えている理由などなど話す。
催し開催の告知記事と、さらに当日も同行取材して、その様子も報じてくれるとのこと。
地方に密着した情報を細やかに報じる地方新聞には憧れを感じている私としてはなんだかうれし~。
思いがけず「浅見光彦な気分」を味わったのでした。


 新聞やポスターの告知を見て来てくださる近隣の方々にも、
他県から時間をかけて来てくれる方々にも、
またひとりで参加する人にも、家族で参加する人にも、
そして、女性はもちろん男性にも楽しんでもらえるように
知恵をしぼった『虫愛ずる一日』の催しの計画です。
たくさんの虫ファンの参加をお待ちしています。


1部と2部、どちらか一方だけでも参加できますが、
1部だけ、予約が必要です。
オオムラサキセンターのHPから申し込んでください。
 詳細と申込み、問い合わせはこちら、オオムラサキセンターの公式HPで。
フライヤーのPDFをダウンロードできます。


また、この催しについて、さらに詳細を訊きたいという方は、
下記アドレス(鈴木海花宛て)にメールでお問い合わせください。
mushimezuru@hotmail.co.jp




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 もうひとつ、姉妹サイトの『バニャーニャ物語』(虫も出てくる)でも、展覧会を予定しています。




『バニャーニャ物語』も、この10月で連載20回目を迎えることになりました。
いつもはモニターで読んで、見ていただいているこの物語を、
いちど紙の上に展開してみたいと常々思っていたので、
これを機に、原宿にある絵本の読める小さな喫茶店『シーモアグラス』さんで、
『紙で見る、読むバニャーニャ物語展』という
展覧会を開くことになりました。

 会期は、2012年10月7日(日)~10月21日(日)

 

 シーモアグラスは、原宿にある小さいけれど、絵本がいっぱいの落ち着ける雰囲気の
すてきな喫茶店。常設には、荒井良二さんの原画もあります。
     


〒150-0001
東京都渋谷区神宮前6-27-8 京セラ原宿ビルB1F
Tel&Fax:03-5469-9469
最寄駅:東京メトロ 明治神宮前



 店主の坂本さんがおひとりでやっていらっしゃるので、
不定休のため、来ていただく前に、営業日を確認してください。

営業日確認はツイッターで。
SEE MORE GLASS‏@seemoreglass96


 モニターで見て、読むのとは、
一味もふた味も違うバニャーニャの世界へどうぞ!