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12月にみたコミミズクの幼虫
さすがに12月はいそがしい。
森林公園の手すりに集まる虫観察も、
寒いのと、虫が少ないのでつらくなってきました。
なのでこの季節はいそがしい合間に家のなかで
虫本を読んだり、今年見ることができたカメムシの写真まとめてみたりしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/c6/16f7dca3358d4f12b1ac5a52db396771.jpg)
『カメムシ図鑑』をはじめ、『カメムシはなぜ群れる 離合集散の生態学』(藤崎憲治著)という本を、
久しぶりに引っ張り出して読み直してみたら、
へえ~、そうだったのか、ということがいろいろ。
たとえば・・・・・
<カメムシは昔、「ホウ」と呼ばれていた>
ホオズキカメムシという、ホオズキにつく地味なカメムシがいます。
ホオズキというのは、誰でも知っているあのオレンジ色の袋のなかに
まん丸の実ができる植物ですが、ホウズキという名前は、ホウ―つまりカメムシがつく
植物、ということからついた名前なのだそう。
江戸時代に刊行された貝原益軒著『大和本草』には、
『ホオズキという名前は、ホオという臭い虫がこの葉っぱを食べることからついた』とあるそうで、
カメムシは昔(江戸時代ごろまで)はホウと呼ばれていたんですね。
<ホウズキカメムシの一齢幼虫は、カレイドスコープの模様のように集合する>
ホウズキカメムシは、成虫はごつごつしたイメージの、あまり飼育意欲をさそう
カメムシではないけれど、幼虫時代の生態がおもしろい。
1齢幼虫は集合する習性をもっていて、いっせいに顔を外側にして、
円形状に広がる体制をとるのだそうです。
写真で見ると、カレイドスコープの模様のようなものが、できあがっている。
外敵がきたときに、外側の1匹が攻撃されると、
警戒フェロモンが発動されて、他の幼虫はいちもくさんに逃げられるということらしいけれど
・・・・・・いちばん外側にはいたくないなあ。
<スコットカメムシは、越冬中でも交尾する>
また、山小屋などに冬季集合するスコットカメムシはというのがいます。
このひとたちは、越冬中でも交尾するのだそうです。
でもこの交尾行動は、精子だけではなく、
婚前贈呈という、メスにとってありがたい栄養分もいっしょに贈るためなのだそう。
<カメムシも縄張りやハレムをつくる種がある>
カメムシのなかには、繁殖のための縄張りやハレムをつくるものもあるという。
そういえば、ミナミアオカメムシを飼育していたときに、
成虫をあつめた飼育ドームのなかで、
ときどき、ブーンと翅を激しく震わせる音がして、
かすかにカメムシ臭がしたことがある。
ふつうに悪臭を出している、というのとはちょっと違う
人間からみても、あ、これは性的な興奮状態なのでは?と感じ取れる独特の雰囲気があった。
これも縄張りやハレムに関係していることだったのかもしれない。
<人間にとってカメムシの集合は大迷惑!>
東北地方の旅館などでは、春と秋のカメムシが集合する季節には
一時営業をストップするところもあるとか。
こんなところでは、とてもカメムシは好かれそうもありませんね。
カメムシ被害にあっている旅館に泊まったことがある知人の話では、
しかたがないので、匂いをがまんしたそう。
いくらカメムシ好きな私でも、これはいやだ。
<それでも、カメムシが群れるワケ>
人間にとってはこのように大迷惑きわまりないカメムシの集合は、
なぜ行われるのか?
それにはカメムシとしても譲れないいろいろなワケがあるらしい。
1:生存や生育にかかわる集合効果。
2:カメムシの臭い匂いには、フェロモンの役割があり、低濃度なら集合フェロモンとして、
高濃度なら捕食者が来た!逃げろ、という警戒フェロモンとして、また捕食者を
撃退する働きもある。
3:交尾縄張りやハレム形成のための集合。
4:越冬時に集合することで、湿度、温度などを適度に保ちやすくなる。
などなど、カメムシもワケもなく集まっているわけではありません。
人間には人間の都合が、カメムシにはカメムシの都合があるようで。
また大阪府立自然史博物館の便覧に、桂幸次郎、宮武頼夫氏による
『ウシカメムシの幼生期、分布および生活史の概略について』という研究資料があるのを知り、送っていただきました。
今年は念願のウシカメムシに何回も会えた年。
来年はぜひ卵をゲットして、1齢から成虫までの生態をみてみたい。
この資料によると、ウシカメムシの分布域は1月の平均気温が2℃以上の地域であり、
春と秋の年2世代以上ということなので、時期をみて卵さがしをしてみよう。
今年みた虫でちょっと1年を振り返ってみると・・・・・
1月は、赤穂のアース製薬研究所の有吉さんからわけていただいた
憧れのミナミアオカメムシの飼育からはじまり、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/3a/f7e00daeb21def4c93451b3584d618bb.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/e1/959b294f8e99eee5e3c11c096c7ef0d3.jpg)
思いがけなく出会った1,8センチもあるトホシカメムシ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/84/75f1f43564b29ca1782711e74cb7eb9c.jpg)
ひとのよさそうな人(ムシ)相に、見ているだけで癒される。
青とムラサキ色の光沢が美しいツマジロカメムシも忘れられない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/04/db10f5c92c70c7f997de7654e7e4c55f.jpg)
そしてもちろんウシカメムシ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/6b/1069c9c0bcd7d2929a7dfd198a617c55.jpg)
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あ、アールデコ様式の幾何学模様を思わせるアカアシカスミカメもきれいだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/8a/2769327ed4846f11dbef864628c25261.jpg)
・・・とやっぱりカメムシが心に残っているみたいだ。
5月には、集中的にオトシブミさがしをして、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/f6/ff7b17dee50e3674120cfc94c37dc3e0.jpg)
ヒメクロオトシブミ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/a5/04d0ca6b413cc69e5093e6b3bced5e91.jpg)
ヒゲナガオトシブミ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/b8/3670b86e65d7811d2f440b703475fecf.jpg)
ゴマダラオトシブミ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/b6/ffa6be98566777629674cd7a2e975463.jpg)
コブオトシブミ。
西陽を反射して光っていた金ピカのジンガサハムシ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/05/e044ad8503bac0cba8aa77c19ddc4d9c.jpg)
時事通信社の昆虫記者氏や川上多岐理さんにごいっしょさせてもらったライトトラップでみた華麗な蛾たち。
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アカスジシロコケガ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/7c/c9d1923ebf2522d04dbc8fa582be9748.jpg)
ノンネマイマイ。
6月4日「ムシの日」に京都吉田山で見たマエアカスカシノメイガ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/cd/ed8d1c7b08876f356d4941b708eb5a55.jpg)
有吉さんにいただいたオーストラリア産のニジイロクワガタは、
樹木蜜ゼリーを1日1個食べる大食漢。
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池内美絵さんと行った大阪箕面昆虫館でみたイシガケチョウの幼虫。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/d7/652d5a778fc3c60f92301c418f028bff.jpg)
むこうみずな歩きっぷりにハラハラしたっけ―ナナフシのこども。
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無事におとなになった?
内気そうなまなざしが忘れられないカラスハエトリ(メス)。
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トリノフンダマシもね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/1d/edc6dfa6fc3d5340505a81a035f98767.jpg)
妖怪顔のオオトリノフンダマシ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/54/b1a19790adc151ba798b7c91bba833fc.jpg)
アカイロトリノフンダマシ(黒色型)。
そうそう、モミジの葉の上で身づくろいのあと、
後ろに倒れないように肢をつっかえたくつろぎ(?)ポーズを見せてくれたコフキゾウムシもかわいかった。
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日本人が価値観や生き方を変えざるを得ないような災厄の年。
「えっと、来年はぁ、この虫とあの虫をみたーい!」などと、
無邪気100パーセントにいっていられたときはもう終わったのだなあ。
震災のもたらしたものはあまりにも大きい。
その影響の大きさは、時がたつにつれ、さらにふくらんでいる。
それでも―
次の春を待ちこがれる年の瀬です。